米国主要企業の経営者団体であるビジネス・ラウンドテーブルは、従来の「株主第一主義」を見直し、顧客や従業員、地域社会など全てのステークホルダー(利害関係者)を重視する方針を表明した。(2019年8月)
これはなんということはない、日本が戦後(江戸時代からかもしれない)一貫して実行してきた「日本型資本主義」と考え方は一緒である。
本来「日本型資本主義」を修正しながら維持していれば、日本は今のような惨状を呈すことはなかった。
ターニングポイントは小泉・竹中による「構造改革路線」にある。
小泉純一郎は経済は詳しくないが郵政改革一本やりで人気が高かった。
この人気を利用して日本の構造改革を推進したのが竹中平蔵である。
最悪の選択が「派遣制度の拡大」である。今の格差拡大を生んだ元凶だ。
竹中は何ら反省することなく人材派遣会社のパソナの会長におさまり、さらには菅政権の指南役だ。
「日本型資本主義」の原型は、日本社会に残っていた村社会などの共同体指向や平等指向が企業に持ち込まれたもの。
戦後の日本の再建を担ったのは、農家の次男・三男などだ。
(長男は概して故郷で家を守らなければならなかった)
彼らが大量に東京を中心とする関東圏や大阪を中心とする関西圏に進出して、終身雇用制度や企業内組合による労使協調路線が広まった。
近江商人の家訓として知られる「商売十訓」などを見ると商売(ビジネス)の原点はいつの時代も変わらない。
商売は世のため、人のための奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
竹中平蔵やデービット・アトキンソンの主張する「新自由主義的立国論」は危ういが、必ずしも全否定する必要はない。
日本流の社会構造になじむものは取り入れたらよいと思う。
しかし構造改革路線以降急速に進んだ「アメリカ型資本主義」では日本は豊かになれない。
日本は日本である。
アメリカにも中国にもなれない。
東アジアの経済力とアメリカの軍事力の間でうまくバランスを取る必要がある。
その意味では韓国や台湾と友好な関係を築いておくことは重要だ。
日本が有する強みは何かをしっかり持ったうえで、したたかな国家運営を行うべきだ。