ナースを長くやってると、今まで当たり前にやっていたことが実は根拠なき習慣であったりして愕然とする。
さてこれはどうだろう。
最近の注射時の部位消毒について、ドクトル・ウッピーが書き込みしてる。(2008年)
いか、そっくり無断コピー。
注射前のアルコール消毒って・・・
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それってホント?
予防接種などの注射の前に、アルコール綿で皮膚をゴシゴシと擦って消毒するのは、ほとんどの方がされている、いや全員がされているはずです。
でも、このアルコール消毒は、実は全く根拠のない行為で、ひょっとしたら多くの医師は意味がないと思いながらも行っていると思われます。
正常な皮膚の表面には、種々の皮膚常在菌が定着しています。皮膚常在菌は、皮脂を栄養源としていて、その代謝産物(パルミチン酸やステアリン酸など)を生成していますが、これによって皮膚表面は弱酸性(pH5.5)に保たれています。一方、体内はほぼ中性(pH7.4)の環境です。
皮膚常在菌は、pH5.5で生存できますが、体内環境のpH7.4では生存できません。
逆に皮膚常在菌以外の菌、たとえば黄色ブドウ球菌などは、体内環境のpH7.4で繁殖するので、弱酸性の皮膚の上では付着しても繁殖しにくいので、休眠状態で張り付いているのがやっとです。ですから健康な皮膚の表面では感染を成立させるほど繁殖できずにいます。
つまり皮膚常在菌のおかげで、皮膚表面が感染から守られているのです。
針を刺すことで、皮膚の表面の種々の細菌が体内に入り込んで、感染を引き起こすかどうか・・・
針の表面積などから考えると、注射によって体内に入り込む細菌数はわずか数個と推計されます。常在菌より少ない常在菌以外の細菌はさらに少ないと思われます。
また、注射が終わるとすぐに針は抜去されるので、菌は増殖する前に体内の免疫細胞に攻撃されます。
常在菌は先に述べたように体内では生きていけません。常在菌以外の細菌も感染を成立させる前には処理されてしまいます。
しかしながら、血管カテーテルや点滴など感染源となる異物を体内に留置するとき、もしくは関節内に注射をするときは、注射前に入念に皮膚を消毒しなければなりません。関節腔は本来無菌状態なので、外部からの感染に弱いからです。
注射前のアルコール消毒が本当に必要かどうかの、かなり厳密な検討(二重盲検ランダム化比較試験)をおこなった研究があります。
これでは、アルコール綿で拭く群と蒸留水で拭く群に分けて検討していますが、接種後2日後もしくは3日後に接種部位の感染はいずれの群でも1例も認められていません。
実際に、アメリカで糖尿病の患者さんがインスリンを自己注射するのにアルコール消毒しなくても注射部位の感染を起こすことはないという論文が10年くらい前に出ました。糖尿病の患者さんはそうでない人に比べて感染を起こし易いにもかかわらず感染を起こさないのです。現在、糖尿病の患者さんは服の上やズボンの上から直接インスリン注射をしていますが、それでも感染を起こすことはほとんどありません。
じゃあ、どうして予防接種の時はアルコール消毒をするの、という疑問が当然出てきます。
「予防接種実施要領」が厚労省から出ています。これには予防接種を実施するに当たって、細かい指示が書かれています。ここにはっきりと「・・・接種前には接種部位をアルコール消毒し、・・・」と記載されています。
ですから、必要ないことがわかっていてもアルコール消毒をしなくちゃいけないんです。
・・・なんか、変でしょうシラー
さあ、あなたはどうする!!!!!

とりあえず、寝る。