蛍のひとりごと

徒然に、心に浮かんでくる地唄のお話を、気ままに綴ってみるのも楽しそう、、、

『編曲八千代獅子』訂正のお詫び

2006年05月23日 | 地唄箏曲よもやま
「元来尺八の曲なるを政島検校胡弓にうつし、藤永検校三絃にうつせるより世にひろまりぬ。」

今から300余年ほど前のことでございましょう。
『八千代獅子』という古典の名曲のいわれでございます。


     いつまでも かわらぬ御代に 合竹の
     代々は幾千代 八千代ふる
     雪ぞかかれる 松のふた葉に
     雪ぞかかれる 松のふた葉に


園原勾当によってつくられました歌詞には、豊年の吉兆といわれる竹と松と雪とがおりこまれ、大変お目出度い曲でございますので、とりわけご祝儀の会などで、300年余を経た今でも良く演奏されます。



この古典の名曲を、宮城道雄先生が昭和27年に、お舞台用の大合奏曲に編曲なさいましたものを、『編曲八千代獅子』と申します。


もともとは三曲合奏(三絃&箏&尺八の3パートで合奏する形式)でございましたものが、本来のお箏やお三絃の手はあまり変えないで、しかもお唄の部分は全くそのままに、原曲の味わいを少しも損なうことなく、荘厳な前弾きを加え、横笛やお箏の高音パート、十七絃、胡弓に鼓も加えまして、リズミカルで一層楽しいお合奏曲に生まれ変わりました。私共のところでも、会員様方が皆様とてもお好きな曲でございますので、これまでに何度もお舞台で演奏させていただいております。



もうひとつの編曲物でございます『編曲松竹梅』と較べて、いささか長いお名前でもございますので、私共お仲間内では、平素は『編曲八千代』などと省略して呼び習わしたりして親しんでおりました。

それほどに親しみ深い曲なのでございましたが、あるとき、何気なく楽譜をみておりましたら、あら~!!!
なんと楽譜の表紙に『八千代獅子編曲』と書いてあるではありませんか。
正式な曲名は、『編曲八千代獅子』ではなくて『八千代獅子編曲』だったのですね・・・
これは大変とばかり心を入れ替え、呼び慣れた口には云い難いところも頑張って、キチンと必ず『八千代獅子編曲』とお呼びするよう心がけ、プログラムにもそのように書かせて頂いておりましたのでございます。



ところが・・・つい先日のことでございます。
尺八演奏家の松本陵風先生にご用でお電話をかけさせていただきましたおり、
「あの曲の正式な曲名は、『編曲八千代獅子』というのですよ。」と教えていただきました。
「ちゃんと宮城会の事務局に電話をかけて確認しましたから間違いありません。」とのこと。
もう一度、まあ~!!!

美緒野会の会員様方には、ああ申し上げたりこう申し上げたり、私ったら軽率でホントに申し訳ございません。
ご迷惑をおかけいたしますけれども、これからはやはり以前のように『編曲八千代獅子』とお呼び下さいませね。


松本先生には、品川三曲協会でお世話になっておりますが、いつもご博識で感心いたしておりますけれども、何につけても早とちりなさらないという、こういったお心がけの蓄積でもございましょう。
いっぽう暢気な私は、恥ずかしながら、そのあたりがオッチョコチョイで困ったものでございます。
反省致しております。






昨日は、月に二回のお楽しみ、上永谷教室への出稽古の日でございました。
都心とは違ってお空のひろ~い横浜の閑静な住宅街の道すがら、生暖かい風に乗って、すがすがしい新緑にいろいろなお花の甘い香りが、どこかしこと、いっぱいに混じり合って漂ってまいります。
確かに小満の候・・・。「次第に草木が茂って天地に満ちあふれる」という息吹を身体いっぱいに浴びて、短いお散歩を楽しませていただきました。
天の恵みは本当にありがたいですね


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2 コメント

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八千代獅子 (もりもとみなこ)
2006-05-24 01:56:39
先生、ご無沙汰しております。

私達の間では単に「八千代獅子」と呼んでいましたが、”本名”は色々と複雑だったことを知って驚きました。

歌ざんまいを締め括る「八千代獅子」の、華やかな舞台と深遠な響きに、いつも憧れていたことを久しぶりに思い出し、コメントさせて頂きました。
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Unknown (hotaru)
2006-05-24 23:45:30
お久しぶりですね。お元気ですか?

本日はコメントを下さってありがとうございました。懐かしく嬉しく拝見いたしました。

すっかり代替わりなさった学生部の方達がちょうど今、さかんに『編曲八千代獅子』のお練習をしていらっしゃいます。

お時間があったら、いつでもお遊びにいらして下さいませネ。

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