蛍のひとりごと

徒然に、心に浮かんでくる地唄のお話を、気ままに綴ってみるのも楽しそう、、、

爪塚

2009年05月04日 | 地唄箏曲よもやま
うかうかとただ何気なく過ごしておりますうちに 月日ばかりはめぐりきて・・・とうとう2年ぶりの更新になってしまいました。
ずいぶんなご無沙汰をどうぞお許しくださいませ。

平素はたいへん出無精の私なのでございますが、このところ、どういう加減か片雲の風に誘われることしきり。ちょうど1週間前の4月27日にも、たまたま薦めてくださる方がいらっしゃいまして、京都紫野の大徳寺へふらりと出かけるご縁に恵まれました。『興臨院』という塔頭が、普段は非公開のところを春の特別公開で入れていただけるとのこと、そんなことならと訪れてみました。

表門のたたずまいに、遠く室町の御代に思いを馳せるもありがたく、ご本堂のちょうど真ん中で手を叩くと、びぃ~んと響く『響き天井』を面白く体験させていただいたり、たまたま、ひと月前に訪れたばかりの西湖(中国杭州)の景色が襖絵に描かれているのを見つけたなつかしさに、やはり旅なるものはしておくものと心得たのも嬉しく、おかげさまで贅沢に胸躍らせるひとときを過ごさせていただきました。

なかでも、穀雨にしっとりと包まれた新緑のお庭に植えられた、さまざまな椿の可愛らしいこと こちらは別名『椿寺』とも呼ばれているそうでございまして、椿には少し季節の外れた気味のお庭といえども、珍しい絞りの椿や黒椿がところどころに花をつけて、咲き乱れているほどではないのがかえって趣深い楽しさでございます。


つらつらつばき はるあきの 名は千里まで たかがみね・・・


地唄の『椿づくし』を心の内でひとり唄いし、こんどまた時間をつくり是非鷹峯をも訪ねようなどの企みを胸にしまって、うっとり楽しくお庭を拝見しておりました。

お廊下をまわると、前庭ではない目立たないところのお庭の隅に、私の好きな牡丹が今を盛りと咲いています。まぁっと老眼の目を瞠り、身を乗り出しましたら、ナントその横に 『 琴 爪塚 』 と刻まれた石碑がございました。添付しておりますピンボケの下手くそな写真がそれなのですが、お判りにくくて申し訳ございません。伺いましたら、なんでも先代ご住職の奥様がお箏の先生をなさっていらして、お建てになられたものですとか・・・。


思いもかけない、好いものにお出会いさせていただきました。


お道具を粗末に扱ったことはないつもりです。いつもたいへん大切にしておりますけれども、役目を終えてゆく小さなお道具のひとつひとつに感謝をこめて、しっかりと手を合わせてご供養したことはございませんでした。不肖な蛍に、こんな立派な石碑を造る甲斐性はなくとも、屑籠にポイッと投げ入れるようなことは慎むべきことだったと識りました。
偶然、出会った『爪塚』に胸うたれ、来し方の思いの浅さを恥じながら、今後は心を入れ替えて、諸事おろそかにせず、日々の恵みを大切にしようと強く心に誓ったホタルでございます。


旅とは、かくもあらまほしきもの・・・





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4 コメント

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祝blog復活 ()
2009-05-10 20:31:51
ブログ復活、おめでとうございます。
最低月に1度くらいの更新を心より祈念いたしております。
コメント記帳、何度かチャレンジしたのですが、巧くアップされませんでした。
今度はうまく行きますように!
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ゆ様 ()
2009-05-11 11:27:17
さっそくコメントをご投稿下さって、ありがとうございます。

こんな拙文でも読んでくださるご奇特な方がいらっしゃるとはありがたや・・・ご厚意に励まされ更新を続けます。今後ともよろしくお願いいたします。
返信する
お待ちしておりました (youdosu)
2009-05-18 23:11:56
やっと更新してくださいました。
ありがとうございます。
私がこのブログを知ったのは丁度2007年でした、何度も読み返しお勉強させていただき早く更新をと願っておりました。
京都の大覚寺、私も機会があれば行ってみます。
とっても長い間待っておりました、嬉しいです又早めに更新お願い致します。
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youdosu様 ()
2009-05-19 14:20:42
なんたる光栄なお言葉・・・もったいないことと感激しております。筆無精を悔い改めて頑張ります そうでないと罰があたりますよね。
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