蛍のひとりごと

徒然に、心に浮かんでくる地唄のお話を、気ままに綴ってみるのも楽しそう、、、

間の良いところで

2006年04月05日 | 楽しいお稽古講座
概ね「リズム」に似たようなもののことを、私共は「間(ま)」と呼んでおります。


邦楽用語が日常生活で普通に使われている例は多々ございます。

     間を外す
     間が悪い
     間を取る・・・
     間一髪???

最後のひとつは眉唾でございますけれども、こんなところでざっとイメージをお作り頂ければと存じます。


『大辞林』を拝見しましたら、

   「間」  日本の伝統芸能(音楽・舞踊・演劇など)で、
        拍と拍(動作と動作)のあいだの時間的間隔。
        転じて、リズムやテンポの意にも用いられる。    とございました。

リズムやテンポのことをも、「間」と呼んでしまいますと、本来的な意味がいつしか薄らいで、
単旋律の絡み合いの妙を楽しむ独自の感性を損ねやしないかと心配になってしまいますのは、
杞憂でもございましょうけれど・・・。


各民族の持つ固有のリズムは、無意識な身体の動き(主に歩き方)と密接な関わりがございます。
ウインナワルツの三拍子が、ウイーンっ子の専売特許であるのと同じくらい
地唄の「間」は、日本人固有のもの・・・

『時間的間隔』だなんて、世界的にも、とびきりお洒落な感性ですもの
大切にしたいものでございます。






さて、それでは、楽しい地唄のお稽古講座を始めましょう。

まず最初は、お口を大きく開けて、はっきり言葉が分るように、
正直に間拍子の通りにお唄いになるお練習をなさって下さいませ。
拍子の通りに「ふし」が動いていくお唄は「べたつけ」と呼ばれ、
まして、いつの間にか四分音符がはためいて聴こえてくるようなお唄は、
決して巧者なとは申せませんが、まず始めは基礎をしっかり固めましょう。

次に、昨日ご説明させて頂きました「ふしの味付け」を、だんだんに
ほどこしてまいります。
程好く「ふしの味付け」もお出来になられましたら、最後に、
お唄がお三味線の手と同じ場所にならないように頑張ります。
ほんの少し前か、または、ほんの少し後、どちらでも結構でございます。


     春は花、夏は橘、秋は菊
     冬は水仙、梅の花


さあ、こんな簡単な手ほどき曲でも充分に地唄の味わいが出てまいりましたでしょう。
美しい日本語の流れに逆らわず、間の良いところで、どうぞ楽しくお唄い下さいませ。







春分から15日目にあたる今日は、清明(せいめい)と申しまして、暦の上では早や晩春。
清浄明潔の略で、万象に清朗の気があふれくるそうでございます。

折りしも、ふるさとからは、たらの芽や野芹といった好物の山菜の便りが聞こえて参りました。
私も長い冬眠から目覚めて、いよいよ動き出さなければなりません・・・でも