電車内での出来事その３

昨夜新宿駅より小田急線に座って帰ろうと列に並ぶも、前から７人目だったので座れるかどうかぎりぎりのところであった。

待つことしばし、やがて電車が入ってきて最近出来たホームドア－が開き前の方から車内に。

私が足を進めたとき、女性と女性の間にたった一つの座席がどうぞとばかり空けて待っていてくれた。

これはこれはとその席に静かに座った。

座れたのは良いが、左側の女性がいかにも嫌なやつが座ったというようなしかめっ面をして、こちらをちらっちらっと見るではないか。

それとなく観察すると４０歳台と思われる、言っちゃあなんだが貧相な顔をした女だ。

私は「変な女だな」と思いながらも、なるべく接触しないように気を使い、尻をちょっぴり右にずらした。

電車が出発し何事も無く進んでいたが、下車する駅の二つ手前ぐらいでついうとうととしたらしい。

突然左側の彼の女が右ひじをまげてぐっ、ぐっとかなりの力で２度も私の側面をど突いた。

痛いではないか！

うとうとっとしたことは確かだが、気を使っていたのでそんなに寄りかかったとは思われない。

なんだこの女は！

さすがの私もむかっ腹が立ちそうになったが、その立ちそうになったエネルギーを少し大きめの「ごほんっ！」という咳払いに変えて、すっくと席を立った。

そのまま座っていても釈然としない思いが湧いてくる恐れがあるし、何はともあれ関わりたくないというのがその理由だった。

電車は間もなく下車する町田駅に着いた。

観察者を標榜する私としては車内から出る前に、彼の女を見たい誘惑に駆られたが、この場合は関わりを絶ったのだからそうすることは止めにした。