路上のミステリー

またまた路上に不思議な光景を見た。

ミニ自転車が投げ出された状態になっていて、籠の所には二本のワイヤーキーがからまっている。

東急の名入りの袋から中味が飛び出したらしいが、右側サドルの下あたりには割れたコーヒーのビンが散乱し、手前の転がっているビンはキャべジンのラベルに中には錠剤が入っている。

なんとも不思議なものが左のサドルの下に転がっている物だ。
素材はベニヤ板の様で胴体と頭と両腕らしく見えるが、片方は白く先が尖ったＶ形をし、片方は暗灰色の丸長くなっていて何やらよくわからない。

気持ちが悪いので触る気がしなく確かめ様が無かった。

それにしてもこれはどう言うことなんだろうと、例によって観察人の推理癖がむくむくと湧き起こった。

昨夜遅くあるワンルームマンションの一室で若い男女の言い争う声がした。
このマンションは女が借りている。そこへ男が転がり込んだ形でしばらくは仲良くやっていた。

ところが昨夕男はレンタルビデオ店で昔付き合っていた女とばったり出合い、懐かしさのあまりいっしょに飲むことになった。
飲むほどに酔うほどに、かっては濃く触れ合った仲、互いに求める欲望が押さえきれなくなり、行く所まで行ってしまった。
男は今の彼女と今日は二人のある記念日で、いっしょにシャンパンで乾杯の約束の日であった。

マンションで独り待つ女は男のケータイを呼び出すも通じず。
何も食べずイライラして待っているところへ遅くなって男が帰ってきた。
酒の匂いをぷんぷんにおわせ、しかもその中に女の匂いまで持って。

感の鋭い女はそれを嗅ぎ取ってしまった。
さあ～怒り心頭に達した女は夜叉の形相で男を罵倒し始めたからたまらない。
男も抵抗を試みるも、勢いと口では女にかなわない。

ついに「うるせ～こんな所出ていってやる」とばかり、わずかばかりの持ち物を袋に放り込み、マンションを飛び出した。ちょうどそこにあったミニ自転車を勝手に引っ張り出し、乗りながら自分のことは棚に上げ、女に対する怒りをぶちまける。

残っていた酒と怒りが男の脳を麻痺させ、男は自転車ごと電信柱にぶち当たり、道路に投げ出された。
幸い男にけがはなかったが、やけくそでそのままふらふらと立ちあがりそこを去った。

後には写真のような状態が残った。

てなストーリーでいかがでしょうか？