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紫の物語的解釈

漫画・ゲーム・アニメ等、さまざまなメディアにひそむ「物語」を抽出して解釈を加えてみようというブログです。

【ジョジョ】岸辺露伴の物語を追う

2010-03-21 02:34:32 | ○○の物語を追う
岸辺露伴(きしべろはん)は、コミック【ジョジョの奇妙な冒険】第4部に初登場した漫画家である。



非常に強引で我侭な性格をしており、自分の作品のためなら他の全てを犠牲にしても
かまわないと思っており、また世の中に自分よりスゴイ人間はいないという傲慢さも
持っている。



その傲慢さも彼の漫画技術の成せる業で、露伴は作品のすべてを自分ひとりで完成させている。



漫画に対する姿勢もほとんど異常と言ってよいほどのもの。
漫画に大切なものは「リアリティ」であるとし、漫画のネタになると思ったことなら
なんだってやってのける。
クモのことをよく知るために、クモを殺して内臓がどう詰まっているのか確認したのち、
食べてどんな味がするのかを確認するほどエキセントリックな人物だ。

そんなインパクトも相まってか、漫画家「岸辺露伴」はジョジョ作品の中で
非常に人気のあるキャラクターなのである。

今回は、そんな岸辺露伴の物語を年代順に追ってみる。


  1983年(4歳) 杉本一家惨殺事件に巻き込まれる

S市杜王町に住んでいた露伴は、ある日家族ぐるみの付き合いのあった杉本家に
預けられる。露伴の両親はその日急用があり、露伴だけが一晩預けられる形となった。

ところが、ちょうどその晩杉本一家を悲劇が襲った。
真夜中、杉本家の長女・鈴美(れいみ)(当時16歳)と寝室で休んでいた露伴は
杉本夫妻の部屋の方から不審な物音を聞く。

鈴美は両親の部屋へ物音の正体を確かめにいくと、壁のコート掛けに愛犬アーノルドの
死体が吊るされているのを発見し、ベッドの下から男の声を聞いた。
鈴美はあわてて犯人に見つからないうちに露伴を窓から逃がしたが、
自身と両親は男に殺されてしまった。

露伴は警察に保護され、この事件のただ一人の生きのこりとなった。
露伴は泣きながら「鈴美おねえちゃんが窓から逃がしてくれた」とだけくりかえし、
結局この事件の犯人が逮捕されることはなかった。
それから、露伴の一家は杜王町から逃げるように東京へ引っ越したのだった。


  1995年(16歳) 『ピンクダークの少年』で漫画家デビュー

4歳のときの事件の記憶をほとんど忘れ去った露伴は、週刊少年ジャンプにて
自身の代表作となる『ピンクダークの少年』の連載を開始する。
弱冠16歳の漫画家デビューであった。


  1999年初春(20歳) 杜王町への帰郷~スタンド能力覚醒

20歳となった露伴は、故郷・杜王町のはずれに一軒家を購入し引っ越してきた。
この時点で4歳のときの事件のことは一切記憶には残っていない。

また、ちょうどこの時期スタンドの矢で射抜かれ、スタンド能力を獲得する。



「人を本に変化させ、その人物の体験や記憶を読むことができる。また、その本に内容を
書きくわえることで、記憶を操作する」能力が発現し、「ヘブンズドアー」と名づける。
露伴、この「ヘブンズドアー」を漫画のネタ探しに大いに活用する。

この時点では、このような能力を「スタンド能力」と呼ぶこと、他にもスタンド使い
がいることなどは知らなかった。


  1999年初夏 広瀬康一と出会う

ある日、仕事場を訪ねてきた広瀬康一(ひろせこういち)という高校生の少年に
ヘブンズドアーを使用した露伴は衝撃の事実を知る。




なんと、康一は露伴と同じような能力者だった。
このような能力者を「スタンド使い」ということ、
他にもスタンド使いが多数、杜王町に存在することなどを知った。

そして、なによりも広瀬康一という人間に興味を持った。
「普段は臆病だがイザとなったら恐怖を克服できる勇気を持っている」という
漫画向きな性格が気に入ったようだ。
のちに広瀬康一は、露伴の数少ない(唯一?)友人となるのであった。



だが、康一からネタを採取し続けていることを康一の友人・東方仗助(ひがしかたじょうすけ)に
知られ、仗助のスタンドにボッコボコにやられる。
この負傷で、『ピンクダークの少年』をしばらく休載することになってしまった。


  1999年夏 杉本鈴美(の幽霊)と再会



昔の自分の家の近くを散策していた露伴は、偶然にも4歳のとき殺人事件に巻き込まれた屋敷に
迷い込んでしまう。
そこで、かつて自分をかばって死んでしまった杉本鈴美(の幽霊)と運命の再会を果たすのだが、
4歳のときのことを全く憶えていない露伴は、鈴美と昔会ったことがあるということすら
思い出すことができなかった。



15年前自分を殺した犯人を止めてほしいと願う鈴美を見て、
最初は「僕がそんなことをする義理はない」と冷たくつっぱねていた露伴も
最終的には「犯人を追って取材してみるのもいいかな」とひねくれた返事を出した。



そして、杉本家の墓を調べに来た露伴は寺の住職から衝撃の事実を告げられる。
すなわち、15年前の殺人事件現場に自分がいたこと、鈴美が命をかけて逃がしてくれたこと
をである。
ヘブンズドアーで「自分の遠い記憶」と「運命」を読むことはできないと悟った露伴。
こうして、露伴の殺人犯探しが始まったのだった。


  1999年夏 ジャンケン小僧との対決

康一、仗助らが殺人犯・吉良吉影(きらよしかげ)と交戦したが、あと一歩のところで
吉良は逃走、顔と名前を変えて姿を消してしまった。

露伴は顔を変えた吉良を探し出すため、杜王町駅の通勤客をひとりひとり写真に撮って
調べていた。
そんな中、露伴の前に奇妙な少年が現われる。



しきりにジャンケンをやりたがる少年。
少年はジャンケンに勝つと相手の能力を吸収するスタンドの使い手だった。
露伴は少年に追い詰められるが、持ち前の精神力を発揮し危機をしりぞける。



ジャンケン小僧に勝利した露伴は、短時間に急成長を見せたジャンケン小僧に敬意を表する。
あの唯我独尊の露伴が・・・。人間的に成長した証拠かもしれない。


  東方仗助との関係



ある日、露伴は東方仗助からチンチロリン賭博の勝負を挑まれる。
露伴は嫌いな東方仗助から金をむしり取るのが面白そうだと勝負を受けた。



ところが、仗助のイカサマのように不自然な勝ちが続き、露伴キレる。



そして勝負に熱中しすぎるあまり、仗助のイカサマ探しに使用した虫メガネから火が出ていたことに
気付かず、仕事場が半焼する事態となってしまった。
初対面でボコボコにされ、さらには仕事場半焼とあって、
露伴はますます仗助嫌いを強くしたのだった。



その翌日、仗助が乗るバスを待ち伏せ、後頭部を睨みつづけるという地味な嫌がらせをする露伴。
その最中、新手のスタンド使いと遭遇する。



養分を吸い取るスタンドに苦戦する露伴。
仗助が助けに入るが、「勝ち目がないから逃げろ」と突っぱねる。
だが仗助はかまわずに露伴救出を敢行するのだった。

結局、露伴は仗助に救出された形となったが、「逃げろ」と忠告したのに
仗助が逃げなかったことに腹を立てており、結局二人の仲は悪いままだった。



ちなみに、半焼した仕事場の修繕費の見積りは2000万にものぼった。


  1999年夏 吉良吉影との対決



ついに吉良吉影が入れ替わった人物「川尻浩作」に行き着いた露伴。
川尻浩作の息子の川尻早人と接触する。

が、川尻早人には吉良が仕掛けた「バイツァ・ダスト」という爆弾が仕掛けられていたのだった。
そうとは知らない露伴だったが、早人の機転でバイツァ・ダストの発動を免れた。

そして、康一や仗助らの健闘もあり、ついに殺人鬼・吉良吉影は地獄へ落ちたのだった。



そして、幽霊だった鈴美との別れ。




「さびしいよ、ぼくだって行ってほしくないさ」
と素直になる露伴。素直な露伴はこれが最初で最後?

吉良のいなくなった杜王町に平和が戻った。


  1999年晩夏 イタリア取材旅行

仗助にボコられた怪我から休載していた露伴は、休載期間中にイタリアへ取材旅行へ出かけている。



教会の懺悔室を取材していた露伴は、偶然にも懺悔に来た男の「恐怖のエピソード」を
聞いてしまう。
この話をネタに露伴が漫画を描いたかどうかは不明。


  2000年正月~初春 「本」のスタンド使いの調査

この頃『ピンクダークの少年』の第三部が終了。次回から第四部の執筆に入るところだった。
そんなある日、康一と露伴は血まみれの猫を目撃し、追って行くと女性の不審死の現場に
行き着いた。
露伴はヘブンズドアーを使い、女性の死亡がスタンド攻撃によるものだと特定。
相手のスタンド使いの能力をも分析し、「本」のスタンド使いとの戦いに一役買った。


  2007年(27歳) 破産し、一文なしに




なんと27歳になった露伴は破産して一文なしになっていた。
それというのも、山林を購入したのち地価大暴落にあったのだという。

山林を購入した目的が、その山で妖怪伝説の「取材」をするために買ったと
いうのだからすさまじい。
この山林で、露伴は「六壁坂」という妖怪の取材に成功している。

破産で家まで手放した露伴は康一の家に泊まっているとのことで、
二人の友情は継続中のようだ。


  2012年(32歳) 加速する時のなかで締め切りを守る



プッチ神父のスタンド「メイドインヘブン」により、全世界規模で時の加速が行われる。
全ての人間の体感時間をそのままに、時だけが加速するという異常事態に、
岸辺露伴が唯一締め切りを守る漫画家として、漫画家のなかで伝説となる!?


と、まぁこうやって通しで彼の物語を見てみると、
いかに「漫画」に対して真剣であるかがわかる。

岸辺露伴は基本的に漫画のためにしか動かない。
漫画が、彼のすべての行動のモチベーションリソースとなっているのだ。
加速した時の中でも漫画を描き続けることのできる彼なら、きっと世界が崩壊しようが
漫画を描き続けるに違いない。


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