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不眠閑話

政治、経済、教育、文化、社会、時事など。殆どは旧ブログからのコピペ・転載です。

【再掲】坂口安吾語録

2022-07-02 00:01:21 | 文学
坂口安吾の名言――
     
「絶望は、愚か者の結論である。」
    
「私は弱者ではなく、強者を選ぶ。積極的に生きるためである。」
   
「人間は生きることが全部である。死ねば全てなくなる。」
   
「すぐれた魂ほど、大きく悩む。」
   
「人間の尊さは自分を苦しめるところにあるのさ。満足はだれでも好むよ。けだものでもね。」
    
「苦しめ、そして、苦しむのだ。それが人間の当然の生活なのだから」
   
「命を人にささげる者を詩人という。唄う必要はないのである」
    
「美しく見せるための一行があってもならぬ。美は、特に美を意識してなされた所からは生まれてこない。どうしても書かねばならぬこと、書く必要のあること、ただ、そのやむべからざる必要に応じてのみ、書き尽くされねばならぬ。」
   
「本当の美しい魂は悪い子供がもっている」
   
「個人の自由がなければ、人生はゼロに等しい。何事も、人に押し付けてはならない」
   
「私は、闘う、という言葉が許されてよい場合は、ただ一つしかないと信じている。それは、自由の確立、の場合である。」
               
「魅力のない女は、これはもう、決定的に悪妻なのである」

【再掲】芥川龍之介の自殺

2022-06-30 18:41:25 | 文学
私の知り得る限り、最も哲学的な自殺をしたのは、芥川龍之介である。
   
こういっていいか知らんが、芥川の自殺は深い。少なくとも、芸術的である。
       
何が深いか? 芥川の自殺は、実は完璧に「論理武装」されているのである。
       
実際、芥川は自分に与えられた才能を、100 %使い切った。そうして、生きられるだけ、生きた。他人を愛せるだけ、愛そうとした。彼なりに正しい道を見つけ、それを守り続けた。その結果、自殺以外の選択肢がなくなってしまったーー芥川はそういう人である。
      
従って、芥川の自殺は、論理的にも、道徳的にも、批判しようがないものだ。
     
私がもし閻魔大王で、芥川みたいな人が目の前に来たら、随分困るだろう。
      
芥川を自殺した罪などで、地獄に落とすか?しかし、芥川は「私を地獄に落とす気なら、なぜ最初からそんな風に私を造ったの?」と反論してくるだろう。私が閻魔大王なら、そうした芥川の反論を、論破出来ないだろう。
        
芥川の自殺は、被造物の造物主に対する、強烈な復讐になっている。
      
「神はなぜ人間(私)を造ったか?」「なぜ人間(私)を苦しめるのか?」という、人間の側からの神への痛烈なプロテストになっている。
        
芥川の自殺には、そういう哲学が含まれている。
       
「自殺はいけません」などという、薄っぺらい言葉など、簡単に吹っ飛ばす程の重みである。分かる奴には分かる。


町田康の詩

2022-06-28 12:40:15 | 文学
旧ブログからの転載。町田康の詩集。
   
町田康は芥川賞を獲ってからダメになった気がする。無名時代の方が良いものを書いていた気がする。以下は無名時代の詩集より。
   
※  ※  ※
「下りみち」

夢も希望も無い者どおしで商店街へゴー
最後の金を握りしめて爆笑しながらゴー
  
手を取りあって足を踏みなして
我々の怒りと喜びを道行く人に浴みせかけて
肥りまくって食いまくれ
   
おいしい豆を買いにゴー
最上のエイズ女を買いにゴー
俺らの為だけに用意された快楽をゴー
幸福な気分を確認しあってゴー
    
諸君 同じ場所であがいているより
前々から決まっていたその場所へ
我々と一緒に行ってみんかね?
    
※  ※  ※
「きりきり舞い」

前進せよと謂う声がする俺は歩いて 立ち止まる
愚民が樹木の下で愛し合っている
後退せよとおっしゃる声がする
犬はすべて氷河に走っていってしまった
そのまま居れとおっしゃるか?
大仏が建立され 陛下が地球の長さを測る
きりきり舞いをしています
汝 我が民に非ず
きりきり舞いをしています
もはや慈悲なし
俺はブラウン管のむこう側で何度も何度も死ねる
    
※  ※  ※
「蓄財のうた」
   
誰と話しても殺されるときに
誰と遊んでも狂わされるときに
ただ一人の熱いおまえらと
ただ一人の憎いおまえらと
何もかもを呪いつくそう
恥の中で焼け死んでしまおう
銭をもうけて遊び呆けよう
嬉しさをかみしめてはしゃぎまくろう 
    
※  ※  ※
「あさましかりける」
   
あの栄光はどこへ行った
背中の苦しみの針を降ろして
ちょっと一服しようか
誰の罪でもないことを
うまそうに食ったあの人も
今は見張っていまへんぜ
私の眼球におまえは
青と黄にしかはりつかず
私は繰り返しあさましく狂う




こんな小説は如何?

2022-06-27 00:53:43 | 文学
こんな小説は如何?
      
日本の将来を憂う国粋主義者(主人公)が、神道系の宗教団体を立ち上げ、創○学会を上回る規模の巨大組織に成長させる。
     
そうして、信者らの寄進などによる莫大な金を使って、秘密裡に核開発を進め、成功する。
       
最終的に自衛隊と共謀して、軍事クーデターを謀ろうとするが、国内世論の大反対もあって失敗。切腹して果てる。
        
後日、その切腹動画が、You Tubeなどに流出する。主人公の創設した団体は、アメリカによって徹底的に解体され、ゴミのように捨てられる。

【再掲】石川啄木「一握の砂・悲しき玩具」

2022-06-26 08:25:32 | 文学
石川啄木「一握の砂・悲しき玩具」。
    
専門家からは、あくまで「入門者向きの歌集」と位置づけられ、あまり評価しない人もいる。が、たまに読み返したくなる一冊ではある。暗記している歌も多いが、ここでは個人的に好きな作品だけ簡単に紹介しておく。
    
※   ※   ※
東海の小島の磯の白砂に
われ泣きぬれて
蟹とたはむる
  
※   ※   ※
草にねて
おもふことなし
わが額(ぬか)に糞して鳥は空に飛べり

※   ※   ※
腕くみて
このごろ思ふ
大いなる敵目の前に踊り出でよと

※   ※   ※
死ね死ねと己を怒り
もだしたる
心の底の暗きむなしさ

※   ※   ※
はたらけど
はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり
ぢつと手を見る

※   ※   ※
死にたくてならぬ時あり
はばかりに人目を避けて
怖き顔する

※   ※   ※
あたらしき心もとめて
名も知らぬ
街など今日もさまよひて来ぬ

※   ※   ※
人といふ人のこころに
一人ずつ囚人がいて
うめくかなしさ

※   ※   ※
クリストを人なりといへば、
妹の眼がかなしくも
われをあはれむ

※   ※   ※
叱られて
わっと泣き出す子供心
その心にもなりてみたきかな

※   ※   ※
不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて
空に吸われし
十五の心

※   ※   ※
ふるさとの山に向ひて
言うことなし
ふるさとの山はありがたきかな

※   ※   ※
白き蓮沼に咲くごとく
かなしみが
酔いのあいだにはっきりと浮く

※   ※   ※
どうなりと勝手になれというごとき
わがこのごろを
一人恐れる

※   ※   ※
話しかけて返事のなきに
よく見れば、
泣いていたりき、隣の患者

※   ※   ※
かかる目に
すでに幾度(いくたび)会えることぞ!
成るがままに成れと今は思うなり