うつぶせのままで

気の触れた友達との毎日の出来事、あの日の些細な思い出を、面白おかしく誇張する。更新は、力を抜いて、うつぶせのままで。

ワンパターンの話。

2005-07-03 02:53:58 | 日々
例えば学食で毎日唐揚げを食べる人がいるとする。
「お前毎日おかずがワンパターンだな。飽きない?」
と聞かれるだろう。

例えば同じズボンばっかり買う人がいるとする。
「お前毎日同じズボンだな。ワンパターンすぎる」
と言われるだろう。

だが彼らは「ワンパターン」という認識はしていない。
こう認識しているのだ。
「これは、ぼくにとっての王道である」、と。



あだち充という漫画家がいる。代表作は、「タッチ」「みゆき」「H2」など、一つくらいは聞いたことがあるだろう。
ぼくは水泳がテーマの「ラフ」が一番好きなんだけれども、今は関係ない。
彼ほど、「ワンパターン」という言葉と「王道」という言葉が入り混じっている漫画家を、ぼくは知らない。

まず、キャラの書き分けが出来ない。
その作品の中で、という意味ではなく、他の作品との、である。
とどのつまり、毎回主要人物の顔が同じなのだ。

次に、話の流れが同じだ。
主人公がいて、女の子がいて、その恋敵がいて…。
いろいろなスポーツを題材にしているが、その主題となるものは、恋愛や青春である。



しかし、前者は確かにワンパターンとも思えるが、実際ぼくらは、ドラマや映画で同じ役者が演技しているのを見ても、あまり違和感を感じないのではないか。
そう考えると、ワンパターンというよりむしろ、王道(工藤官九郎のドラマだって登場人物がかぶりすぎではないか)と言っても差し支えないように思う。

後者も同じである。
少し設定が違うだけのドラマや映画、小説で、テーマが同じものは腐るほど見かけるし、ワンパターンだから面白くない。とは言えないのだ。
これもやはり、王道と言ってもいいだろう。

このように、見る人によって、
「まただ。またワンパターンだな」とげんなりする人もいれば、
「これこそが、あだち充の王道だ。こうでなくっちゃ」と感嘆する人もいるだろう。



それを述べた上で、ぼくは、あえて断言しよう。
今回の連載では、ほとんどみんながこう思ったはずである。
「逆タッチかよ!」、と。

小学4年生(確か)である主人公の幼なじみは、全員女の4人兄弟である。
題材は野球。
そのうちの次女と同い年で、主人公とほのぼのカップルみたいになっていた。
三女は少し気が強く、主人公に全然気がないみたいな素振りをしていた子なのだが、ぼくの中では、この子も主人公を好きになってしまいそうだな。と思っていた。

そんな矢先、今週号で、次女が死んだ。
しかも小さな子をかばって。さあご一緒に。
「逆タッチかよ!」



「タッチ」でも、かっちゃんが子供をかばって自動車事故にあったし、「ラフ」では仲西が車を運転中、子供を避けた交通事故で選手生命の危機に瀕し、「H2」でひかりのお母さんが病気で死んだ。

ただでさえ、ドラマの流れを劇的に変える手法として、親しい人の死を用いてきた彼であるが、今回は題材が野球で、4姉妹の次女が死ぬ、という近似。
あれ、これってデ・ジャ・ヴ?

しかも、かっちゃんが死んだときは、連載から一年は経った上での死だったため、衝撃はおおきかったが、今回はまだ連載数回である。
これでどういう葛藤を主人公達に強いてゆくのか。

今はまだ、「ワンパターン」であるけれど、これが「王道」に昇華してくれれば、とてもぼくは嬉しい。
前回の連載である「KATSU」が、全然面白くなかったので、少し頑張ってもらわなければならない。



なんだかんだ言って、毎週読むのではあるが。

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2 コメント

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Unknown ()
2005-07-03 20:51:00
また始まったんだね、アダチミツルさんの漫画。



今週のヤンジャンの漫・画太郎はイマイチだったね。あの人も当たりはずれが大きいからね。はずれてればはずれてるほどヒットんだけど。単行本じゃなくて週一のペースで俺が安心して読めるのはバキぐらいだなあ。そういえばドリームスはどうなったんだろう。
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Unknown (omaru@管理人)
2005-07-03 21:23:25
バキは、「金剛体だ!」みたいに言ってた人が、オリバにペシャンコにされたときは、まじ最高だった。



ドリームスなんてすげぇよ!昔はかつお一本釣り打法みたいのだったけど、最近はバットでライオンを殴り殺したアフリカからの留学生が出てる。
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