「クリスマスなんて大迷惑よ!」といった女の人がいました。
クリスマスは、元を正せば宗教的な行事だから、クリスチャンでもないのに祝う筋合いはない…
そういいたくなる気持ちも、わからないではありません。
多くの人は、クリスマスはイエス・キリストの生誕を祝う日、ということを知っています。
ミッション系の幼稚園や保育園では、クリスマス劇をやるのが定番になっていたり。
ベツレヘムの馬小屋でイエス・キリストがお生まれになった、というあの劇です。
実際、子どものころにヨセフとかマリヤとか、三人の博士とかに扮して、劇に参加した人も多いでしょう。
(ちなみにぼくは星の役でした。金色の折り紙でつくった星を棒の先につけて、上手から下手に移動する役。)
劇をやったり、賛美歌を歌ったり、そのあとにプレゼントももらえるので、好きだったな。
ステキな日でした。
クリスマスをさらに不動のものにしたのは、サンタクロースでしょう。
いつごろからこんなビッグな存在になったのだろう?
19世紀に出版されたディケンズの『クリスマス・カロル』にも、オルコットの『若草物語』にも、
サンタクロースはまだ出てきません。
サンタクロースはクリスマスの夜にやってきて、
子どもたちの寝ている枕もとに、プレゼントを置いていってくれるんですよね。
この全世界共通の(と思う)約束事は、どのようにして拡がっていったのでしょうか?
★クリスマスを〝とうとい〟ものにする3つの要素
もはや、地球きってのビックイベントとなった感があるクリスマスは、
3つの要素から成り立っています。(そう思います。)
一つは、昔ながらのクリスマス・ブックで語られてきたように、
「喜び」と「感謝」をお互いに分け与える日
一つは、サンタクロースがやってくる日
もう一つは、現実と、目には見えないイメージの世界との境界線が、極めて曖昧になる日
「サンタクロースはほんとうにいるの?」
「サンタさんがプレゼントをくれた!」
いったいどっち? いつも子どもたちのあいだで論争になります。
クリスマスの夜、地球を遠くから見るとしたら、
トナカイが引くサンタクロースを乗せた橇は、
地球の夜空をくまなく、秒速で、光の尾を引きながら飛びまわっているはずです。
なにしろ一晩で何億という子どもたちにプレゼントを届けるのです。
そりゃあ、スパークするような光景に違いない。
クリスマスは相手を思う気持ちとか、何かプレゼントをあげたい気持ちとか、
人を助けたい気持ちがあふれる日です。これは絶対!
つまり、思いやりがMAXになる日です。
クリスマス・ブックは昔から、愛にあふれたクリスマスの光景を、
あたたかい眼差しでとらえ、語り継いできました。
ハル文庫通信『物語眼鏡』では、
これからクリスマスに向けて、そんなクリスマスの物語を、
できるだけご紹介していきたいと思っています。
まず最初に
クリスマス・ブックの金字塔というか、不動の物語
──『クリスマス・カロル』についてご紹介しましょう。
次回に!