サラ☆の物語な毎日とハル文庫

『ピアノの森』は美しい旋律に満ちた心に沁みる素敵な物語

 

『ピアノの森』は漫画だ。

1998年に連載が開始され、18年をかけてシリーズが完結。

主人公は森に捨てられたグランドピアノをおもちゃ代わりにして育った少年、一ノ瀬海。

 

〝森の端(もりのはた)〟と呼ばれるやくざやチンピラ、娼婦たちの街で育ったカイは

耳で聴いただけで楽曲をピアノで再現し、微妙な鍵盤の音の狂いを聞き分ける

天才的な少年として登場する。

 

誰に習ったわけでもなく、森に打ち捨てられたピアノで弾き方を覚えたカイのピアノは、

荒削りではあるけれど、人の心を奥底から惹きつけずにおかない。

 

そのカイが、同じ小学校に一時的に転校してきた

ピアニストの卵、雨宮修平と出会い、

さらには小学校の音楽の先生で、じつは事故で左手が思うように動かなくなった

かっての天才ピアニスト、阿字野荘介と運命的に出会い、

ピアニストとして成長していく姿を描いている。

 

ショパンコンクールで世界に挑む後半の展開は圧巻!!

 

冒頭当たりのシーンで、カイはいじめっ子にボコボコにされ

音楽室のピアノの下に隠れて泣いている。

それを見つけた音楽の先生、阿字野壮介は『茶色の小瓶』を弾いて

カイを慰めようとする。

 

ところが負けん気の強い男の子であるカイは、

壮介が音を外したことを言い当てる。

そして「そんなヘタクソなピアノ…聴きたくない」と言い放つ。

 

その耳の良さにおどろいた阿字野が「ちょっと話を」と言いかけたのを振り切って

「バーカ!」と逃げていくカイ。

 

なんか、こういう男の子、威勢がよくて好きだ。

 

そのあと、カイは新しいクラスメートとなった雨宮修平に

森の中のピアノで、『茶色の小瓶』を弾いて聴かせる。

ピアノのを弾くカイの肩のあたりから音符が流れ出る絵がステキ。

 

全編クラシックの物語なのに、最初の曲として『茶色の小瓶』をもってきた

作者、一色まことの感性が気持ちいい。

知ってる、知ってる! JAZZの名曲だ。

心が跳ねるような明るい曲。

すでにここで心が奪われて、もう最後まで読まずにいられなくなる。

 

本当に心に沁みる珠玉のコミック。

 

講談社から出ていて、文庫だと18巻、

コミックスなら26巻。

一気読み、必至。

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