『赤毛のアン』のキーワードの話の前に、石盤について。
青森県にある、私設子ども図書館・杉の子図書館のホームページで次のような文章に出会いました。
「……石盤・石筆にはもっと懐かしさを覚えました。小学校1年生の時、授業で仮名を倣ったり、絵を描いたり、算数の計算をするのに使ったからです。石盤とは黒い粘板岩の薄い板に木枠を嵌めたノート大のもの。この石盤に5×5×100㎜程の蝋石の棒でできた石筆を使って書く訳です。消すには小布を用いました。石盤に描いた絵に先生から赤い三十丸を貰おうものなら、消えないように気を付けて持ち帰り、親に見せたものです。私は石盤や石筆を学用品として使った最後の世代ではないでしょうか。
石盤(石板)・石筆は児童読み物に時々出てきます。ローラ・インガルス・ワイルダーの「プラム・クリークの土手で」(恩地三保子訳 福音館書店)の<ネリー・オルソン>の章。メアリィとローラは学校に行き始めるが、貧しい父親は石板を買ってやるので精一杯。子ども達は相談して、二人で一本の石筆を買うために小遣いを使います。
バーネット作の「小公子」第11章にも出てきます。雑貨やのホッブスさんの売り上げの計算を、セドリックが指と石盤と石筆を使って手伝う場面。ところが、原書のpencilを石筆と訳しているのは、杉の子図書館所蔵の“小公子”に限れば、講談社の<少年少女世界文学全集>に入っている村岡花子訳のみです。後は、全て“鉛筆”と訳しています。黒い石盤に黒の鉛筆で書く、想像してみればおかしさに気付く筈。英語の辞書を引けば、石筆もpencilの意味として出ています。皆が皆“pencilなら鉛筆”と固定観念でやってしまったのでしょう。あの川端康成までがと思ってしまいます。」
★この文章は杉の子図書館を運営されている田口康夫氏により、書かれたものです。
石盤って、ちっともなじみがないけど、19世紀から20世紀前半までは、つまり手軽にノートを使えるようになるまでは、使われていたもののようですね。
なるほど…。
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