昨日、夕方4時から、村上春樹のラジオが放送されました。
16回目だそうです。
いつもながら、安定した心が感じられて、元気をもらえたかな。
今回はリスナーの質問に答える構成。
村上春樹さんの答えが、なかなか印象深いので、書き留めます。
まず「限られた時間しかなくて、忙しいときに、必ずやることは何か」という質問に対しては、
「きちんと睡眠をとること。
眠っておかないと、何もできません」
「小説家になりたい」という人に対しては
「使用説化になるのは、わりと簡単かもしれないけれど、
小説家であり続けるのは大変なこと」と回答。
それから、「親切心」について、こんな話があった。
「僕が好きな言葉に、“愛は消えても新設は残る”という言葉があります。
作家のカート・ヴォネガットの言葉です。
含蓄のある言葉ですよね。
僕の好きな、もう亡くなった河合隼雄先生は、
『男女間のロマンチックラブなんて、そんなもんはすぐに消えるんですワ』
とあっさりおっしゃっていました。
でもね、愛は消えても親切は残ります。
その親切心からまた、新しい種類の愛が芽生えてくることもあります。
そういう再生って、考えてみたらステキですよね。
頑張って上を向いて歩いていきましょう」
さて、時代への警鐘かなと思った最後の部分は……
「いつもこのコーナーでは、音楽家やミュージシャンの言葉を取り上げるんだけど
今日は趣向を変えて、ちょっと違う分野の人の言葉を紹介します。
アドルフ・ヒットラーさんです。
例のナチスドイツのヒットラーさんです。
さんづけで呼ぶのも変ですけど、
一応このコーナーでは、慣習的にさんづけでやっているのですみません。
彼は著書『わが闘争』の中でプロパガンダについてこう述べています。
『プロパガンダは常に、感情に向けられるべきであり、
分別に向けられるべきではない。
いかなるプロパガンダも大衆的でなくてはならず、その知的水準は
最も頭の悪いものの理解力に合わせなくてはならない』
すごーく率直でわかりやすい意見ですね。
でもね、これは大いに効果を発揮したんです。
そして、世界は大きな戦争に引きずり込まれていきました。
これってなんか、どっかの国の大統領のやり方を思い出させますよね。
それから現代、SNSなどで盛んに行われている声高な発信にも、
これに似たものが少なからず混じっていそうです。
分別より勘定、相手の知的水準を低く設定する、
そういう傾向が最近いささか気になっていたんで、
今日はアドルフさんに出演していただきました。
この番組はもちろん、聡明で心優しいリスナーを対象として設定しています。
ご安心ください」
クロージング音楽は、「It Is So Beautiful To Be」を
サキソフォン奏者のトム・スコットが演奏したもの。
魅力的なさわやかな音楽でいっぱいの55分でした。
まだ、あと少し、radikoで聴ける時間が残っています。
16時8分まで。
早く言ってよー、ですよね。スミマセン(ーー;)