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サラ☆の物語な毎日とハル文庫

ハンドラーの新シリーズは猫が脇役だ

ディヴィッド・ハンドラーは、『真夜中のミュージシャン』に始まるホーギー・シリーズで人気だった。ホーギーは元売れっ子作家で、いまはゴーストライター。彼が有名人の自伝を手がけると、必ず事件が起こり、人が死ぬ。事件を解決し、その事件の真相を盛り込んで仕上げた自伝は、ベストセラーに。
そんな仕掛けで展開されたシリーズは、1997年にアメリカで刊行された8作めの『殺人小説家』で、ひと区切りがついたようだ。最愛のメリリーとは寄りを戻し、娘が産まれ、少し前には父親とも歩み寄ることができたし。
ホーギーは、傷つきやすい若者の心を引きずった男から脱皮し、落ち着きのある大人へと成長した。
メリリーも、もうホーギーの心をハラハラさせたりはしない。
シリーズは一段落。

さて、その後満を持して登場した新シリーズが、NYでもっとも権威のある新聞のコラムを担当する映画評論家とドレッドへアの黒人女性警部補が活躍する、バーガー&ミトリー・シリーズ。記念すべき第一作は『ブルー・ブラッド』(講談社文庫)です。

この二つのシリーズは、内容的にもけっこう違いがあり、いろいろ比較するのも楽しかったりするけれど、もっとも違うのが、脇役のペットが犬から猫に変わったこと。

ホーギーの隣にはいつも、バセットハウンド犬のルルがいました。犬のくせに、鯖の入った缶詰めのキャットフードが好物。だからルルは、いつも魚くさい息をしているのです。みんな、ルルの吐く息に顔をしかめます。「なんか、変なにおいがするけれど…」みたいな感じで。

さて、新シリーズでは、デス・ミトリーは、隣に住むユダヤ人未亡人のベラとともに、野良猫保護の活動を展開しています。
アニマル・シェルターに捕獲されて処分される前に、野良猫たちを保護し、獣医のもとで寄生虫とミミダニを調べ、ジステンバー、恐水病、ネコ白血病のワクチンを注射してもらい、去勢、避妊手術もして、それから里親を探すという活動。
そのデス・ミトリーが保護した子猫が、ミッチ・バーガーの新居に持ち込まれ、押しかけペットに。

そういう筋書きで、猫はこのシリーズに定着します。アメリカでは、すでにこの第一作も含めて五冊が出版されているそうだけど、猫がルルと同じような格付けをされることは間違いないと思う。
押しかけペットに、最初のうちこそ困惑していたものの、子猫のあどけなさにあっという間にでれでれになってしまったミッチ。

同様に、この新シリーズにでれでれになりそうな気配のサラです。
なお、新シリーズは、タイトルに色を絡めるのが特長らしい。
第一作はThe Cold Blue Blood
つづいてThe Hot Pink Farmhouse
    The Bright Siver Star
    The Burnt Orange Sunrise
    The Sweet Golden Parachute

なんだか、ワクワクしませんか?
編集者がどんなタイトルをつけてくるのか、興味は尽きません。

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