こんにちは。
今日は、わたしの好きな詩を一編、紹介させて下さい。
世界一静かな詩と言っても過言ではないと思います。
たまにはこんな詩を読むのもいいのではないでしょうか。
ほんとうは縦書きの詩なんですけど・・・
【亀】 萩原 朔太郎
林あり、
沼あり、
蒼天あり、
ひとの手にはおもみを感じ
しづかに純金の亀ねむる、
この光る、
さみしき自然の痛みにたへ、
ひとの心霊(こころ)にまさぐりしづむ、
亀は蒼天のふかみにしづむ。
林の中の沼ですが、風の音も鳥のさえずりも何も聞こえません。
わたしはどちらかというと、意味や解釈がわかりやすい自己主張型の詩よりも
結果的に 解釈や感じかたを読む人にゆだねたような詩のほうが好きです。
言葉というアイテムでは表現しきれない、言葉にすればその意味に限定
されてしまって、伝えたい真実ではなくなってしまう。
この詩を読んだとき、瞑想をしているときの静寂、心の中が無になるような貴
重な一瞬の感覚を思い出しました。
でも、未熟ですのでその感覚はすぐに消え去って、また雑念にかき消されて
しまうのですけど ・・・
何も考えない、何も思わないということはとても難しいことで・・
わたしにはこの詩が無の瞑想をしているように思えました。
大正、昭和の時代に多くの詩を書いて天才詩人と言われた萩原朔太郎(はぎ
わらさくたろう)は、昭和17年(1942年)に44歳で亡くなりました。
この詩は永遠に同じ場所にいてくれるような安心感を与えてくれます。
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さて、 皆さんはこの詩をどんなふうに感じられましたか?