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管理人 まりあっち

第17回 マッカーサーの戦争準備

2006-05-08 18:37:20 | Weblog
    世界の環境ホットニュース[GEN] 582号 05年04月21日
     発行:別処珠樹【転載歓迎】意見・投稿 → ende23@msn.com     
            水俣秘密工場(第17回)       
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 水俣秘密工場                       原田 和明

第17回 マッカーサーの戦争準備

オクタノールの生産が国策ならば、チッソが湯水の如く垂れ流した水銀もまた国
策によって確保されたものでした。それも、朝鮮戦争を意識したマッカーサーの
指示である可能性が極めて高いものでした。

1949年、中国での内戦が共産党の勝利に終わると、GHQはその余波で朝鮮半島
にも火の手があがるのは必至とみて、その時期をさぐるべく対北朝鮮のスパイ機
関KLO(韓国連絡事務所)を設置しました。KLOからの情報でマッカーサー
は金日成の動きを正確に把握していたのです。

中国大陸及び朝鮮半島の動きと平行して戦争勃発の際には日本を後方基地とする
対策もこの頃から動き始めています。戦略物資の備蓄、その輸送ルートの確保、
工業生産力の育成などです。

開戦の4ヶ月前、日本では産業復興公団法 改正案が審議されていました。本土決
戦に備えて軍部が備蓄していた物資を民間に返還する目的で物資毎に配給公団を
設けていましたが、物資の隠匿、横流しなど様々な不正の温床となっていました

そのため、また一定の役割を終えたため、配給公団は次々に縮小または清算され
ていました。その時期に腐敗の巣窟とも言われた産業復興公団だけが新たに特別
融資を受けて『緊急重要物資』を備蓄する業務を始めるという法案が上程された
のです。与野党が賛成する中、ひとり風早八十二(共産党)だけがこの法案の本
質を指摘して、異を唱えました。(1950年2月15日衆院通産委員会、2月23日、衆
院本会議)

風早曰く「産業復興公団は特定の大企業、ブローカーに不正な払い下げを繰り返
し、腐敗の巣窟となっているにも関わらず、新たに特別融資を受けて『緊急重要
物資』を備蓄する業務を始めるのはなぜか? さらに『緊急重要物資』には水銀、
鉛、黒鉛、亜鉛、ニッケルなど特定の外国が特に必要としている物資と一致する
のはどういうわけか?」

「この点は私が再度にわたつて政府委員にただしたのでありますが、政府委員は
その都度言を濁して、何らわれわれを納得させる説明を與え得なかつたのであり
ます。私はますますこの点に関する疑いを深める印象を受取つたのであります。


そして、風早は占領国・米国を名指しすることを避けつつも次のように断じてい
ます。
「産業復興公団に 特別融資の 道を開かなければならないという理由は、これら
戦略物資の備蓄 以外にはあり得ない。はたして そうとすれば、これはきわめて
由々しき問題であると思う。私は、今 吉田内閣は、国民の負担において 特定国
の―――――下請機関を新しく作ろうとしているのである、そう断ぜざるを得な
いのであります。」

風早の演説にはもう一箇所伏字部分があります。
「この法案の意図するところは、その表面に現われたところよりも、はるかに深
刻なものである。結局、今後ますます吉田内閣によつて急速に進められようとす
る――――にこれが使われるということは、きわめて明瞭であります。われわれ
は、この意味において、この法案に 対して絶対に 反対を表明するものでありま
す。」(拍手)

風早は「特定国の何」だと言ったのでしょうか? この部分は 2月15日 衆院通商
産業委員会において風早が同様の演説をしていて、伏字部分を知ることができま
した。
「日本政府は国民負担において、特定国の戰争準備の下請機関をつくることにな
らないでありましようか。」とあることから、23日の議事録にある「―――――

の部分は「戰争準備の」であったことがわかります。米国に占領されていた当時
の日本には朝鮮半島情勢を独自に知りうる手段をもっていませんでした。当然、
風早八十二が数ヵ月後に隣国で戦争が勃発するなど予想できるはずがありません

それでも水銀などの特定物資の備蓄は政府が何と言い逃れしようとも「次の戦争
準備」としか解釈できない不自然さに満ちていたということです。法案は可決さ
れました。

オクタノールを生産するためにチッソが湯水の如く浪費した水銀はGHQの指示
でわざわざ法律まで作って「戦争準備」のため備蓄したものだったのです。この
ことからもチッソのオクタノールは民生用の塩化ビニル樹脂の可塑剤用途である
とは到底考えられません。

さらにGHQは戦略物資の輸送ルート確保にも着手していました。
1949年7月5日下山事件(初代国鉄総裁 下山定則の轢死事件)、7月15日三鷹事件
(中央線三鷹駅構内で無人電車が暴走。死者6人)、8月17日松川事件(東北本線
金谷川-松川間で機関車 転覆。死者3人)とウイロビーを頭とする米極東軍司令
部情報部の影のちらつく奇怪な事件があいついで起こっています。これら国鉄を
舞台にした怪事件を背景に 戦闘的な国鉄労働組合員9万人の首切りを強行し、戦
闘勃発の際の大動脈である鉄道の確保に成功すると、マッカーサーは日本で最も
強力な反戦勢力となりうる日本共産党と労働組合、朝鮮連盟に弾圧を集中しまし
た。世に言うレッドパージですが、これも戦争準備の一環だったのです。

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