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管理人 まりあっち

第18回(最終回) 「九条」と「従米」の谷間

2006-05-08 18:38:05 | Weblog
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     世界の環境ホットニュース[GEN] 583号 05年04月24日
     発行:別処珠樹【転載歓迎】意見・投稿 → ende23@msn.com     
             水俣秘密工場(最終回)       
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 水俣秘密工場                       原田 和明

第18回(最終回) 「九条」と「従米」の谷間

米軍は 金日成の動きを逐一知っていたのではないかという疑いが 開戦当初から
ありました。まだ戦争中の1952年に米国人ジャーナリスト、I.F.ストーンは著
書「秘史朝鮮戦争」の中で次のように指摘しています。

「米極東軍総司令部の諜報担当の責任者ウイロビー少将らが スパイから集めた
 情報をもとに、マッカーサーは北朝鮮が戦争準備を進めていることを知りなが
 ら、ワシントンには『1950年春または夏に朝鮮に内乱が起こらないと信じられ
 る』と正反対の報告を送っていた。」(萩原遼「朝鮮戦争」文藝春秋1993)

なぜ、マッカーサーは本国に虚偽の報告をしたのでしょうか? 米国は中国での
蒋介石の大敗、台湾落ちに打ちひしがれていました。米大統領トルーマンは台湾
が中国共産党に攻撃されても米国は介入しないと声明したほどです。(1950年1月
5日)この状況を巻き返したい軍部タカ派は 国務省を封じ込めるために、金日成
の妄動を知りながら敢えて先制攻撃のチャンスを与える道を選んだのです。その
ためには、タカ派のマッカーサーはワシントンを騙す必要があったのです。国会
議事録の風早演説から「戦争準備」の文言を伏字にした意味もここに通じるので
しょう。

金日成に助けられて米国は不法な軍事介入者を正義の使徒に装うことに成功した
のです。マッカーサーの米極東軍司令部はすべて中国革命の進展とそれに鼓舞さ
れた金日成の動きにあわせて動いていました。そして一連の動きを彼らの思惑に
利用したのです。

金日成の妄動と虎視眈々の米軍の介入こそが朝鮮半島を地獄に変えた元凶でした

米軍の無差別爆撃は都市と農村を焼き尽くし破壊し尽くし、数百万の朝鮮人民が
殺傷されたのです。さらに中国の参戦により朝鮮戦争は米中戦争になり、人命・
財産の被害はいっそう拡大しました。南北の憎しみと対立は戦争を凄惨なものに
し、南北分断は完全に固定化されました。

朝鮮戦争の影響は日本にも及んでいます。米軍の基地となり、警察予備隊が創設
され、日米安保締結、様々な面で米軍の「戦争準備の下請け機関」となるなど、
「従米国家」の基礎が固められ、憲法九条の理念は早くも踏みにじられたのです

「水俣病事件」は産業界もその例外ではないことを示す一例ではないかというの
が今回の仮説から導かれる結論です。

軍産複合体といわれる米国の巨大な軍需産業が生き延びるにはどこかの地域で紛
争が起きることが必要でした。第二次大戦から5年もたち、不況をかこっていた
軍需産業にとって「朝鮮は祝福だった。この地か、あるいは世界のどこかで朝鮮
がなければならなかったのだ。」(米朝鮮前線司令官ヴァン・フリート将軍)日
本の産業界もその一翼を担い、朝鮮特需に続きベトナム戦争に伴う特需を経て戦
後の復興を果たしたのです。

米国の繁栄は世界のどこかで戦争が起こる(起こす)ことによって担保されてい
るとするならば、米軍の後方基地となった日本の豊かさもまた戦争によって維持
される類のものなのかもしれません。これまで日本人は自衛隊を容認する一方で
憲法九条護持の道を選びました。戦後保守政権はその交錯する世論を背景に憲法
九条によって海外派兵できなかった分を公害という形で犠牲の分担を受け入れた
と考えると、水俣病をはじめ60年代を中心に全国で引き起こされた公害もまた結
果として日本人の選択したものだったとも言えるのでしょう。

このシリーズでは結局、チッソのオクタノールが航空燃料用潤滑油原料に使われ
たという証拠も提示できなかったし、潤滑油の製造工場を特定することもできま
せんでした。状況証拠の一部を提供できたにすぎません。チッソ水俣工場に秘密
のミッションがあったかなかったか? 真相は依然として藪の中です。

それでも、チッソ水俣工場に秘密のミッションがあったとすれば、水俣病事件を
拡大させた一方の当事者である通産省(軽工業局長・秋山武夫)の「チッソ水俣
工場の操業を継続させた」動機がひとつ解明されたのではないかと考えます。

事件拡大のもうひとつの当事者は「水俣湾の漁獲に対して食品衛生法適用を阻止
し、沿岸漁民に汚染した魚を摂取せざるをえない状況を作り出した」熊本県(副
知事・水上長吉)であり、その動機の解明にも改めてチャレンジしてみたいと思
います。