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管理人 まりあっち

第9回 ジェット燃料は米軍が独占

2006-04-04 06:34:22 | Weblog
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     世界の環境ホットニュース[GEN] 573号 05年03月28日
     発行:別処珠樹【転載歓迎】意見・投稿 → ende23@msn.com     
            水俣秘密工場【第9回】             
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 水俣秘密工場                       原田 和明

第9回 ジェット燃料は米軍が独占

チッソが作ったオクタノールを原料に、米国グッドリッチあるいはモンサントの
技術を利用して合成したと考えられる潤滑油を含むジェット燃料はすべて米軍が
独占していました。航空自衛隊は米軍の言い値で売ってもらうしかなかったので
す。

日本政府は航空自衛隊発足に当たり、米国からジェット戦闘機を購入(1954年度)

防衛庁の前身である保安庁 長官官房長・上村健太郎は1955年4月から使用する計
画であることを明言しました。(1954.2.25 衆院予算委員会第一分科会)ところ
が、同じ保安庁の経理局長・石原周夫は「1954年度は要員の確保をしていない」
と発言、横路節雄(社会党)はその矛盾を指摘しました。「55年4月 からジェッ
ト機を飛ばそうというのなら、54年度中にパイロットも整備士も訓練しておかな
いといけない。その予算を確保してなくてどうやって 55年4月からジェット機を
飛ばせるのだ」というわけです。さらにジェット戦闘機の維持費を既に購入して
いる練習機から見積もって5千万円と答弁する経理局長に、横路は政府の内部資
料を入手していたのか「練習機とジェット戦闘機は違う。一億円はかかる」と反
論、石原も一億円という試算結果があることを認めました。

経済成長前の当時の日本に、ジェット戦闘機の維持・管理は重荷だったことでし
ょう。運用する予定がない前提の予算案からジェット戦闘機は米国から売りつけ
られたものであったことが読み取れます。

それだけではありません。その燃料も米軍が独占していて、航空自衛隊の自由に
なるジェット燃料は一滴もなかったのです。米軍は日本人パイロットの訓練費用
として「どんぶり勘定」で日本政府に請求していたのです。1955(昭和30)年7
月25日の衆院大蔵委員会で明らかになりました。

横路節雄「防衛庁の装備局長の方では、航空用燃料については初めから税金がか
からないんだ、こう言う。なぜかからないんだと聞いたら、いやあれは自分で持
っておるものではないのだ。アメリカに全部委託して、そうしてアメリカの航空
燃料を使っているから、だから税金がかからないというお話しだ。」

防衛庁装備局長・久保亀夫「米軍の指導の下、T33(現代ジェット戦闘機の祖

朝鮮戦争後練習機となった)を築城基地(ついき・福岡県)で訓練しているが、
この基地の管理一切は米軍が行なっており、費用は適当な割合で日本側に請求さ
れる。その中にジェット燃料費もたまたま含まれている。」と説明、横路は重ね
て、「航空自衛隊は燃料を民間業者から買わず、米軍の燃料を使っているのだろ
う。」と質問しています。

久保は「米軍の燃料は訓練の場合のみ使用していて、通常は指名競争入札で民間
業者から購入している」と反論していますが、横路から燃料の購入量を聞かれて
辻褄が合わなくなっていきます。

航空燃料使用量の29年度実績は海上自衛隊、航空自衛隊併せて約1万キロリット
ルに対し、30年度予算に3万キロリットル(差額は2億5千万円)を要求していて、
横路に3倍増の根拠を示せと迫られました。久保は練習機、実用機とも「相当」
増えるので、燃料も「相当」増えるのだと回答、横路に「相当」では根拠になら
ないと具体的回答を要求され、久保は立ち往生しています。

ところが昭和31年4月9日衆院決算委員会では「ジェット燃料は米軍から1キロリ
ットル1万円で購入している。国内調達はまだきわめて部分的で、一万五、六千
円から七、八千円程度の間になる」と防衛庁装備局管理課長・竹田達夫がジェッ
ト燃料は米軍からの購入がお得であると答弁しています。米軍がそんなにディス
カウントしてくれていたとは驚きですが、ともあれ前年の装備局長・久保の「ジ
ェット燃料の調達は通常は指名競争入札」発言はその場しのぎの言い逃れだった
ことがわかります。

ここで明らかになったのは、この時代、ジェット燃料を含む航空燃料はすべて米
軍が牛耳っていたということです。それほどジェット燃料を含む航空燃料は重要
な軍需物資だったということが類推されます。