母の忘れもの

軽度認知障害になった母の記録

記憶の変換

2023-09-05 15:33:57 | 日記
母のハンガーラックを回収した後

ハンガーラックに戻していた服たちは

どうなってるか気になったのもあって

「ハンガーラック返して❗」と

母に責められるのも覚悟しつつ

ドキドキしながら実家に向かった

母の部屋をのぞくと脱いだ服が

増えていることもなく

ハンガーラックがあった場所も

今までハンガーラックに隠れていた棚も

なんだかスッキリしている

ハンガーラックに隠れていた棚に

載っていたものもいらないものばかり

だけど母なりに気になって

少し片付けたのか?

「なんかスッキリしてるけど片付けたの?」

と母に聞くと

「あれ、壊れてたから捨てたんだわ」

と返ってきた

棚はそのままなのに

何が壊れてたから捨てたんだ?

一瞬考え込んだ

母の言葉を反芻して答えを探した

あぁ

「あれ」とはハンガーラックのことか

あんなに私に

「なんでそんなことするの?」

って怒ってたくせに

自分の意思で

「壊れたから捨てた」事になったんだ

まあ責められなくて良かったけど

なんか手柄を横取りされた気分

でもそんな風に変換されるなら

今まで見た目が変わると騒ぐかもと

心配してた部屋の片付けも

母の留守中にやってしまえば

自分でやったと変換されるのではないか?

母の都合のいい変換はまだ続く

たまたまついてたテレビで

特殊詐欺のニュースがやっていた

母が

「こんなのに引っ掛かる人いるの?

と鼻で笑う

「いやいや、自分よく言うな⁉️

私が言うとキョトンとしている

約30年程前

母がまだ50歳台の頃

特殊詐欺に引っ掛かりかけた

当時父は工場勤務

私は事務職の会社員だった

携帯電話もまだなくて

連絡手段は固定電話だけ

家にいた母はかかってきた電話で

父の同僚と言う人に

「ご主人から(電話をしてと)頼まれた
お金を借りていて今日中に返さなくてはいけないので今から言う口座に振り込んで欲しい
ご主人は外出していて会社にいない」

と言われたらしい

冷静に考えればまんま詐欺電話なのに

冷静さの欠けている母は

私の会社に電話をしてきた

「あきらかに怪しいじゃん
パパがそんな借金するはず無いし
だいたい工場勤務なんだから会社に電話すればいいでしょ?」

と言うと母は

「だってその人が会社にいないって言うから」

とすっかり洗脳されている

「とにかくパパの会社に電話してパパに確認して❗お金は振り込んじゃダメだよ❗」

と言うと母は父の会社に電話をした

当然父は電話口に出て

「俺はそんなことしない‼️

と怒って電話を切ったらしい

そこで母も詐欺だったと理解したらしい

母にその時の話をすると

「あー、あったね思い出した
でも私は引っ掛からなかったよ❗

と自慢気だ

「私が止めたから引っ掛からなかっただけでしっかり相手に言われたこと信じてたじゃん❗

と言うと

「そうだったっけ?」と目をそらした

まあ、本当は覚えてないんだろう

ちょっとは片隅に覚えていても

だいたい自分の良いように変換する

覚えている私の

斜め上の答えばかり

いらっとして言い返しちゃうけど

こんな会話でも無いよりいいのかな?


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