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大学騒動とクリア不可能なRPG

2012-02-25 19:22:42 | ☆雑談

田中大臣の大学騒動に関して、こんな記事を見つけました。

「無責任の産物としての大学設置騒動
卒業生が社会に出てからの一生を考えた議論をしているか」/伊東 乾

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20121107/239140/

以下、引用します。

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今回NOを言われた3つの大学を具体的に見てみると

〈1〉秋田公立美術大学(秋田市)美術学部美術学科=入学定員100人、3年次編入学定員10人
〈2〉札幌保健医療大学(札幌市)看護学部看護学科=入学定員100人
〈3〉岡崎女子大学(愛知県岡崎市)子ども教育学部子ども教育学科=入学定員100人

という枠にNOが出された格好だったわけです。たとえば「秋田公立美術大」ですが、芸術の教授屋としてぶっちゃけていいますよ、いま100人からの若い人が、貴重な青春の4年を「美術」に使ったとして、その先に「美術」の仕事が100、あると思われますか・・・?

 ないんですよ。ない。まったくない。ぜんぜん、もうあきれるほど一切、ない・・・まあ、秋田県下で10年間のうちになんらかの意味で美術にかかわる仕事、学校の美術教師なども含め役職やポストが散発的にぽつぽつとできてくることまでは否定しません。

 でもですね、毎年100人、は絶対にないんです。10年で1000人、美術家が必要ですか? 秋田県だけでなく、日本全体で考えても、そんなに美術人は社会に必要とされていない。

 これは、東京大学で建学以来初の音楽実技教官として13年やってきた私自身の経験として、また東京芸術大学はじめ伝統を誇る芸術系教育機関で非常勤指導もしてきた現場の証人として言わせてもらいますが・・・ないんですよ、そんな職。

--------------------------------引用終わり

 

私も、このニュースを見たとき、最初はちらっと思ったんですよね。

進路の美大・芸大のところに書いたとおり、国公立の美大は少なく難関ですし、私立は学費がかなり高いです。

この時点で、美術系の進路をあきらめざるを得ない子はかなりいると思います。

だから、公立の美大が増えるのは、美術系を目指す子にはいいことかも・・・と思いかけて、正気に戻りました。

この伊東さんの記事と同じことに思い当たったからです。

 

その少ない難関の国公立大に入る実力も根性もなく、私立に行けるほどの余裕がない家庭の子が、無理やり美術系なんかに進んでも、結局その先で行き詰ってしまうんですよね。

専門学校のところで私が毒づいていたとおりです。

出口が限られているのに、入り口だけ広げたって、行き詰る人が増えるだけです。

 

私この記事読んで、先日やったフリーのRPGを思い出しました。

レベル上げが変ったシステムになっていて、レべルの上限が決まっているんですね。しかもそれまでに倒した敵の強さによって、レベルの質が変わるのです。

つまり、同じレベル10でも、弱い敵ばかり倒したレベル10と、強い敵を倒して得たレベル10では、強さが全然違うのです。そして一度上げてしまったレベルを元に戻すことはできません。

私このシステムをちゃんと理解してなくて・・・。

最初の簡単なステージで、弱い敵ばかりさくさく倒し、楽々と進んでいたのですが、その結果あっという間にレベル上限に達してしまい、後半の難しいステージでは強い敵をまったく倒せなくなってしまいました。

かといって、それ以上レべルをあげることもできなければ、レベルを上げなおすこともできません。

最初に楽をしたばっかりに、そのゲームはクリア不可能になってしまったんです。もう最初からやりなおすしかありません。

 

「難しい美大や芸大は無理だから」「独学で学ぶなんてできないから」と、安易に簡単な美術系の学校に入ろうとする子は、これに似ています。

いるんですよ、たまに。

「漫画家になりたいのですが、漫画を描いたことがありません。絵もヘタです。デッサンとかよくわからないので、美大とかとても無理です。なので、初心者でもやさしく基礎から教えてくれるような専門学校を探しています。そういう学校に行けば、こんな自分でも漫画家になれるでしょうか?チキンなので厳しい意見はやめてください」

こういう人・・・・。

回答としては、「そんなあなたでは漫画家にはなれません」としか言いようがないです。

なんででしょう。あまりゆとりゆとり言いたくないんですが、これもゆとり教育の影響ですか?(泣)。

なぜ、「何もできなくて、わからなくて、弱い自分」のままで、学校に行ったくらいで、漫画家のような特殊なモノになれると思うのでしょう。ていうか努力する気まったくないですよね。

 

漫画を描いたことがないなら描いてください。

絵が下手なら上手になるまで練習してください。

デッサンがわからないなら勉強してください。

チキンなら強くなってください。

 

「何もできなくて、わからなくて、弱い自分」という自覚があるなら、

「だから、人の何倍何十倍でも努力します。岩にしがみついてでも、何でもします。どんなに厳しくても死にもの狂いで頑張ります。絶対に強くなってみせます」

というのが正しい道です。

「何もできないので、できなくてもいいような道を教えてください。わからないので、わからないままでもなんとかなる方法を教えてください。弱いので厳しくしないで甘やかしてください」

ではどうにもならないです。

 

でもなんだか後者の人が多いんですよね・・・。

 

「初心者でもやさしく基礎から教えてくれるような学校」は確かに探せばあるかもしれません。でも、専門学校のところに書いたとおり、専門に通うような年齢から、そんなことをしていたら手遅れです。

もしゲームで、「苦労してレベル上げしなくても、強い敵と戦わなくても、入手困難なアイテムをとらなくても、さくさく進める道」があったとします。その先のボスまで弱くなっていたり、ボスをスルーできるような仕組みなら、それは確かに「夢の抜け道」です。

でも、もしその楽な道をさくさく楽しく進んでいたら、突然最強のボスに出くわし、そのボスを倒せないとクリアできないゲームだったら・・・・?

その道は「悪質な罠」です。

そして、絵やら漫画やらの道に進みたいなら、ボスは決して弱くはありませんし、スルーもできません。

「レベル上げしなくても進める道」は罠なんです。

 

死にかけてでも強い敵と戦わなければならないときに戦わず、苦労してでもアイテムを取らなければならないときに取らず、楽して弱いままでボス戦に向かったって、ゲームはクリアできないんです。

ゲームならリセットすればやりなおせます。でも人生はやりなおせません。

レベルを上げておくべきときにちゃんとあげて、ボス戦に臨みましょう・・・。


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