先日、「絵に関する仕事って」というカテゴリに、アニメーターさんについて書いたのですが、あまりにひどかったので「本当かこれ」と思い、ちょっと引き続き調べてみました。
まあ、結論からいって本当らしいんですが。
参考にさせていただいたブログが、形式上リンクがはれなかったので、すみませんが、各自いろいろぐぐってみてください。
「もともとコストに対し、そんなに儲かる業界ではない」→「安いカネしか出せない」→「安いカネでもやりたい一心でやってしまう人たちがいる」→「じゃあ安くてもいいじゃん」→「安いまま」
という、典型的な構造的な問題ですね。
私がイラストレーターのところに描いたのと同じ問題です。
ちなみに、いまだに「手塚治虫がもともと無料同然の値段で作り始めたから」と手塚先生のせいにする人がいますが、さすがにそれは責任転嫁ってものだと思います。
アニメなんて産業がなりたってない時代に、新しい産業として始めるには、ああいう強引な方法で割り込んでゆくことは必要だったと思います。
しかし、手塚先生がそうやってアニメを日本に根付かせてからいったい何年たつのでしょうか。1960年くらいからですから、半世紀以上たってますよ?
半世紀もの間、誰も改善しなかった(できなかった)ものを、始めた人のせいにするのはどう考えてもおかしいです。改善してこなかった後進の責任でしょう。
ちなみに、私が読んだブログでは下手くそなアニメーターが安い給料でもほいほい大量に仕事受けるから、仕事の質も給料もあがらないんだというような話になっていました。アニメーターは低い賃金での仕事ははねのけ、高い仕事を請けられる優秀なアニメーターだけにし、アニメの本数も質が悪いものは除いて大幅に減らし、視聴率のとれる上質なアニメだけにするべきだと。が、それについては、微妙に賛同しがたいです。
なぜなら、アニメーターという仕事のうち、一番人手がかかる仕事、動画については、素人目に見ても、「質より量」の仕事内容だからです。質も量も確保できるにこしたことないですが、どちらかを選べと言われたら量になると思います。
高品質な少数精鋭を残してもアニメは制作できません。というか、おそらく海外にすべて仕事が流れます。今すでに流れています。日本企業はリストラなどで、技術者を海外に流してしまい、液晶などさまざまな技術を海外企業にとられ、結果として自らの首をおおいに締めました。アニメで同じことをするわけにいかないです。
アニメの本数を減らす、これは最悪です。もちろん質を絞ることは無意味だとは思いません。でも実は本数が乱れ撃ちされるというのはそれはそれで、その業界の可能性をあげるんです。視聴率が悪くても新しい試みをしている作品もあるでしょう。今「惡の華」がちょっと変わった手法を試していますね。良い悪いは別として、そういった実験ができる土壌があるのは大切だと思います。
確実に売れるもの、数字がとれるものだけしか出せない、というのは冒険ができないということです。私は担当さんに、あるメジャー誌での地味なマイナータッチの連載をあげて「ああいうのに憧れるんです」と言ったら、涙目で「ああいう実験ができるのは余裕がある大手だけなんです」と言われたのは忘れられないです。
日本アニメ業界は成熟しています。そこで守りに入ったら腐るだけです。新しい芽を出す土壌を自ら壊してはならないでしょう。
本数を減らし、アニメーターの数を減らすのは、結果として日本のアニメ産業はものすごいスピードで衰退させることにつながると思います。
とりあえず、アニメはお金を得る道を、他にさぐらないといけないと思います。
もう放送のスポンサーだけからは厳しいでしょう。DVD、グッズも限界があります。
海外でいくら人気が出たって全部違法動画や海賊版。では、違法や海賊版を厳しく取り締まればいいのかというと、そんなことをしたら日本のアニメの認知度ががっくり下がるだけでしょう。
そうですね・・・何かしらのインセンティヴをつけてネット配信くらいしか思いつきませんが。たとえばTVより一週間早く放映する分、有料だとかね。あるいは声優さんのちょっとしたおまけ会話を毎回つけるとか。
ちょっと画質をあげたくらいでは、無料で見られるテレビにはかなわないと思いますし、多少のおまけ映像をつけても、DVDは何せ高いから買わない人は買わないです。
でも、一週間も早く見れるというのは、個人的には相当なインセンティヴだと思います。(まあ実際としてはテレビを一週間遅らせるというのが正しい説明で、いろいろなあれこれから、そんなことは不可能かもしれませんが・・・)
素人の思いつきですみませんが、根本的にお金を得るルートを新たに生み出さないと、アニメはもともと入ってくるお金に対して、制作コストのかかりすぎる商売です。低賃金がまかりとおっているからこそ成り立ってきた商売でもあります。
その大モトを崩すなら、入ってくるお金を増やすしかないと思います。
そして、その増えたお金は、動画・・・ではなく原画の人以上に配分するといいかと思います。動画については、もう職業としてなりたたせるのを諦めて、それこそ主婦の内職や、学生のバイトなど、他に食べていける人が副業でやる感覚で、広く浅くやってもらい、そこから抜きんでてきた、能力のある人だけが原画になる、原画になれたら、少なくとも専業で十分自活できる程度の給料にする。
みたいな感じでいいんじゃないでしょうか。
あるいは、動画部分の海外流出を防ぐなら、3年など期間を決めて、3年はちゃんと生活できる固定費を払うけど、3年で動画から上にあがれなければ固定費減らすとか。(鬼畜か・・・)
ところで。
話が最初から全部ずれたのですが、私が調べたかったのは、アニメーターの賃金って最低賃金のあれこれにひっかからないのかということなんです。
東京の最低賃金は850円ってことです。
動画1枚200円とすると、一時間に4枚ちょい描かないといけません。一枚15分以下です。
ちょっと現実的な数字に思えないのですが。(調べたら腕のいいベテランならこなせるそうです。すごい)
いくら出来高制とはいえ、これはいろいろあれこれに触れないんでしょうか・・・・。
これによると、労働者ではなく請負である・・・・・。という扱い?
ってことは、アニメーターは会社員ではなく、個人事業主って扱いなわけですか?自営業?
え?雇用契約結びますよね?結ばないの?
請負ならば、アニメ会社とは「請負契約」を結ぶことになりますが、そうなってるの??
↑これの一番下の記事部分読むとそうなっているらしい?
なんですかこれデザイン業界もひどいですけど、アニメはその比じゃない、業界全体のブラック度がすごい。
請負契約だとしても、下請法は??と思ったのですが。
「買いたたき(第1項第5号):類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めること」
価格の基準が「類似品等の価格又は市価」なので、業界全体が歴史的にブラック価格の場合、どうしようもない。
これは・・・・残念ながら、アニメーターさんたちから声をあげていかないと、法的にどうこうはできないか・・・・。
東映のケースのように、自分たちが動き勝ち取らないといけないようです。
でもこれ、大きな会社じゃないと無理ね・・・。
大人はやること汚いわー