漫画家を目指す人へ

漫画家を目指す人へ参考になれば。

それでも専門学校に行きたい場合

2010-06-26 08:30:24 | ■漫画専門学校について

デメリットは十分わかったけれど、それでもどうしても専門学校に行きたいんだ、という人もいるでしょう。

その場合の学校選びですが、私は以下のようなことを考慮して選ぶと良いのではと思います。

 

1.東京近郊に住める。

地方住みの人の場合、「上京できる」は大きなメリットです。編集部に通いやすくなるからです。アシスタントにも入りやすくなります。ただし、これは親が学費・生活費を出してくれる場合に限ります。バイトしないと生活できないような場合は、地方でも実家にいた方がいいです。東京でバイトで生活しようとすると、間違いなく漫画を描く時間がありません。

 

2.学費が安い

この記事で書いたとおり、基本は無駄な学校です。少しでも安いにこしたことはありません。なお、奨学金で行くのだけはホント薦めません。やめて。未来の自分に恨まれますよ。

 

3.デザイン科など就職できそうな学科に転科できる制度がある

可能性は広めにとっておきましょう。デザイナーなら専門出身でも(実力次第とはいえ)就職は可能です。漫画の専門行って、周囲のレベルの低さに、あるいは自分のレベルの低さに愕然として、退学するかどうか悩んでいる人はけっこういます。

 

4.その学校のカリキュラムが自分にあっているか調べる

週にどれくらい授業があるのか、何をどれだけ学ぶことになっているのか、わかる限り調べましょう。

高い学費をとっておきながら、週1~2日しか授業がないなんて学校もあります。

デザインと漫画とアートがごっちゃになっていて、それぞれを細切れでわずかしか学べない学校もあります。(2年しかない専門で、あれもこれもやろうとすると、そりゃそうなります)

何の役に立つのかわからん抽象的な講義が多い学校もあります。

たいていは「漫画制作実習」とか「CG演習」とかそういう何をするのかよくわからない名目になっているので、オープンキャンパスや問い合わせなどで、具体的な授業内容をできるだけ聞きましょう。(講師に任せていれば、学校側ではわからないこともあるかも)そのうえで、自分にその授業が必要なのか、考えてみるといいでしょう。

ただ問題は、カリキュラムから、その学校が自分に必要かどうか考えるには、自分が漫画家を目指すにあたって、何が課題で、何を学べばいいのかある程度把握してなければならないんですよね。そしてそれを把握していたら、たいていの専門学校は不要だってわかるんですけどね。座学で学べるようなもんじゃないからね。

漫画を描いたこともない~ってレベルの人はそんなこともできないので、やっぱり漫画を描いたことがないレベルの人は、専門はやめておいた方がいいって思いますね。学校選びの判断すらできないのでは、危険すぎです。

ちなみに私がカリキュラムをいくつか見てみた感想はこちら・・。

 

5.その学校の実績を調べる

その学校でデビューしている人がどれくらいいるのか調べましょう・・・といっても、載せてない学校も多いですけれどね。載せてない場合は、「ほとんどいないんだろうな」と思っておいて間違いないと思います。

気をつけないといけないのは、「デビュー●名!」と華々しく載せているけれど、分母を載せていない場合です。ヒュー●ンとかそうですけれど。あんな全国20校くらいあり、夜間も通信もあるような学校で、創立以来のデビュー人数載せられても、さっぱりわかりません。ざっくり分母を想定したら、結局100人に1人くらいでしたけど。

問い合わせる場合は「昨年度のみ」など絞って聞くといいでしょう。またデビューといっても、小さい企業のチラシに四コマ漫画載せてもらったとか、そのレベルも入れている学校が多いので(デビューには間違いありません)そのあたりも考慮しましょう。

もし学年のうち三分の一くらいデビューしている学校があれば、それはある程度学校に力があると考えていいと思うんですけど、見たことないですね。たいてい80~100人に1~2人くらいで、「学校がなくても自然にデビューする」と思われる数を超えてはいないです。

 

6.その学校の講師にネームを見てもらう

できるものならば、これが一番確実です。専門学校で唯一と言ってよい利点、それは「担当編集がつく前のレベルでも、プロットやネームをチェックしてくれる人がいる」ということです。

ネームチェック力が優れた講師がいるならば、それはかなり力強い味方となります。ただ、そういう人は多くはありませんので、期待はしないように。

本来、プロットやネームのチェックで一番確実で頼りになるのは「編集者」です。しかし、編集者はもともと普通のサラリーマン、必ずしも漫画指導のプロではありません。彼らが確実であるのは「自分がデビューしたい編集部に属する人間だから」というのが大きいです。デビューしたい雑誌に必要とされているジャンル、絵柄、作風、編集長の好み、雑誌の傾向などをリアルタイムで把握しているのは彼らだけです。それらをもって、原稿をチェックしてくれるので、一番頼りになるのです。

しかし、純粋に漫画を教えるだけとなると、ひょっとしたらもっと優れた人が講師にいるかもしれません。どうせ専門に入るなら、そういう講師のいる学校がいいに決まっています。

オープンキャンパスや学校見学に、完成原稿でもネームでも持ち込んで、実際にチェックしてもらいましょう。その批評が自分に役に立つと思えるなら、その講師がいる学校を選ぶのも一つだと思います。

ただ、これを断ってくる場合は・・・まあ、そういう学校だということで。あと、講師って簡単に辞めちゃうことも多いので、入学してみたらいない、ってこともあるかもね。

これまた、独学では原稿描けません!って人には無理な判断方法ですが、だからそういう人は専門行っちゃいけないんですって。

 

7.実際に編集者にみてもらえる機会がどれくらいあるか

最近の専門は、漫画雑誌の編集部と提携して、編集者を定期的に呼び寄せて批評会などを開いているようです。

この記事にも書きましたけど、それは本来志望者が無料で自力でできることです。なので、そのために何百万の学費を払って学校に行くのは無駄なのは間違いないです。

でもそれでもどうしても行きたいってなら、せめて編集部に見てもらえる機会が多い学校を選びましょう。漫画家になるためには編集部に漫画を見てもらわないと話になりません。

 

2015/6/26

 

 

 


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