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Maladet de Sahara

~ 人とのつながり、出会いの広がり ~

モルドバから 新たな旅立ち・・・

2007年を締めくくる 最後の授業 ~日本の音楽を紹介~

2008-01-17 22:10:28 | モルドバ・日本語

2007年12月22日、冬休み前の最後の授業は文化クラス。 普段はローマさん(日本の伝統文化が大好きで、剣道を嗜み、独学で書道をやっている私の学生)がいろいろなテーマで日本の文化を紹介している。 昨年度までの文化クラスとは違って、今年度の文化クラスは学生たちの出席率も高い。 ローマさんのがんばりがこの結果を生んでいるのだろうと思う。 日本から遠く離れたこの国で、日本人にはほとんど知られていないこの国で、こんなに多くの人たちが日本に興味を持ち、日本語学習に励んでいるというのは本当に驚くばかりである。 これからもこんなモルドバの人たちのことを少しでも日本の人々に伝えていきたい。

12月22日の文化クラスのテーマは「日本の音楽」。 まずはローマさんがスライドショーやムービー、実際の音源を使いながら、日本の伝統楽器、伝統音楽を紹介していく。 日本の若い人たちの多くは、このような伝統楽器を見ても、きっと名前が言えないのではないだろうか。 日本にいると、すべてが当たり前のように感じられて、逆に日本の伝統音楽に触れる機会も少ないように思える。 楽器が好きなので、尺八か三味線をやってみたいと思ったこともあったのだが、楽器の値段も高く、習うのにもお金がかなりかかるので、結局そのときはあきらめた。 いつかやってみたいとはまだ思っているが…

ここでモルドバですばらしい演奏を披露してくださった二十弦琴奏者の中垣雅葉さんを紹介したい。 私自身生まれて初めて二十弦琴の演奏を聞いたのだが、そのすばらしい音色に本当に感動した。 雅葉さん本人もその洗練された琴の音色のように本当に素敵な方。



ホームページ: http://home.t03.itscom.net/koto/

さて、ローマさんの伝統音楽の紹介が終わり、いよいよ自分の出番。 去年も文化クラスで一度、それから自分の誕生日のときにギターで日本の歌を歌ったが、この日ここに来た一年目の学生たちの前で披露するのはこれが初めて… 30人以上の観衆の前でギターを弾くのもまたこの日が初めてだった。



1曲目は去年も弾いた「夏色」(ゆず)。 元々ギターに触りだしたのは兄の影響だったが、そのときに最初に出会った曲もゆずの曲だった。 今回は何とローマさんがドラムで参加。 ちなみに、私の影響でローマさんも今やゆずのファン。 一緒に練習する時間がなく、文化クラスの直前に一度少し合わせただけ… そして、本番。



学生の拍手に包まれ、無事終了。 さらに、もう1曲ローマさんと演奏したのは「する~」(ゆず)。 何と1分以内で終わってしまう、自分が知っている中では一番短いラブソング…

この後も、曲名、アーティストの紹介、また歌詞を少し英語で説明しながら、弾きまくる…

[ 演奏した曲 ]
01. 「夏色」(ゆず) w/ ローマさん
02. 「する~」(ゆず) w/ ローマさん
03. 「JAM」(The Yellow Monkey): 歌詞を紹介したくて…
04. 「あなたに」(モンゴル800): 最近個人的にはまっているモンパチ
05. 「小さな恋のうた」(モンゴル800): もういっちょ、モンパチのラブソング
06. 「I Love You」(尾崎豊): 去年の学生たちも鼻歌で口ずさんでいる曲
07. 「バンザイ」(ウルフルズ): これもまた去年の学生たちに大好評だった曲
08. 「Train Train」(The Blue Hearts): 日本のロックと言えば…
09. 「リンダリンダ」(The Blue Hearts): この2曲は抑えておかないと…
10. 「シーソーゲーム」(Mr.Children): 大好きなミスチルの曲
11. 「しるし」(Mr.Children): 時にはしんみりバラード
12. 「琉球愛歌」(モンゴル800): 歌詞が好きなので…
13. 「夢叶う」(モンゴル800): 最近の日本を象徴した歌詞、それでも夢は叶う
14. 「Everybody Goes」(Mr.Children): 去年も大好評、今回は歌詞も紹介
15. 「車の中でかくれてキスをしよう」(Mr.Children): 去年学生たちに一番講評だった曲
16. 「春風」(ゆず) w/ ナステアさん

そして、いよいよ最後の曲に… この曲を一番最後に持ってきたのには訳がある。 原曲は「春風 meets 葉加瀬太郎」というタイトルになっていて、バイオリニストの葉加瀬太郎さんが演奏に加わっている。 確か金曜日(文化クラスの1日前)の午前中にローマさんから「春風」をぜひ弾いてほしいという電話があった。 当初、全く弾く気はなかったので、スコアさえ印刷したものがなかった… しかし、何とローマさんの彼女のナステアさんがバイオリンで合わせてくれるというのだ! すでに原曲を聞いて、バイオリンのパートは譜面に落としたとのこと… 一緒に練習する時間は当然ないので、それなら、原曲のままこっちも弾くしかない! 辛うじて、コンピューターの中にはスコアがあったので、原曲を聞きながら、前奏、間奏、後奏の部分のコードを書き込む。 普段、自分で弾くときは前奏や間奏は適当にアレンジして弾いてしまうのだが、今回は原曲どおりやらなければいけない。 実際に曲を聞きながら、何度も練習… 夕方にローマさんに会って、印刷したスコアをもらった。 そして、全く一緒に練習しないまま迎えた本番… 音あわせをして、いよいよ緊張のスタート…





自分のギターの音に、まるで原曲のように、隣からバイオリンの美しい音色が合わさる… 歌いながら、鳥肌が立つぐらい感動していた… 「音楽の世界に国境はない」、そんなことを思いながら、演奏していた。 間奏のバイオリンのパートもその音色に感動しながら、聞いていた。 初めて一緒に合わせたので何箇所かお互いに「あ、間違えた…」と苦笑いを浮かべながらの演奏だったが、一生忘れることのない感動的な一時だった。 そして、学生たちからの大きな大きな拍手に包まれながら、2007年 最後の文化クラスは無事終焉を迎えた。

音楽は本当にすばらしい。 テクニックは全然ないのだが、適当に楽しめるぐらいにギターが弾けて本当によかったと思った。 今でも「春風」を聞くと、あのときのことを思い出す。 これを通して学生たちが日本の音楽やさらにその歌詞に興味を持ってくれたらうれしい。

モルドバで感じる日本の伝統 ~モルドバに日本がやってきた~

2007-12-01 19:29:53 | モルドバ・日本語

10月20日(土)、モルドバ日本交流財団に一人の日本人がやってきた。(更新が遅れ、1ヶ月以上前になってしまいました…)  着付け、茶道、そして、風呂敷のことを伝えに宮代さんが来たのである。

M: 「おはようございます。」
宮: 「ああ、おはようございます。 日本の方ですよね?!」

早々から、こんなハプニング(よくあることだが… 汗)もあったが、こんな素晴らしい機会をモルドバの学生たちに与えてくれた宮代さんには心から感謝したい。 また、通訳として在ウクライナ日本大使館から来たカチャさんにも感謝したい。 普通に話す日本人の日本語を、特に今回の通訳は専門用語も多く大変だったとは思うが、巧みに通訳していた姿は、学生たちにとっていい刺激になったかと思う。

まずは着物の着付け。 正直、着付けを見たのはこれが生まれて初めてだった。 学生たちとともにモルドバで日本文化に触れる一人の日本人。 説明を加えながら、慣れた手つきで着物を着せていく宮代さん。 モルドバ人の学生がまるで日本人のような着物姿に変わっていく。









着物を着て会場を歩くカチャさん(こちらもカチャさん!)にはフラッシュの嵐。



そして、今度は男性の着付け。 女性のときとは異なり、一瞬で終わってしまった。



着物を着て歩くローマさん。 歩きにくそうな姿が印象的だった。

次は浴衣。 宮代さんの説明を受けた後、学生たちが自分たちで浴衣を着せていく。



浴衣を着せている学生も、着せてもらっている学生も初めての経験に本当に楽しそうだった。 ちなみに、写真右側のスーツ姿の女性が通訳のカチャさん。

この後は大写真大会! 着物、浴衣を着た4人はまるでスーパースター… そして、私はカメラマン。(汗) 自分のカメラだけで28枚… 学生たちのカメラでも撮っていたので、いったい何枚撮ったんだという感じ。 みんな笑顔が忘れられないような写真ばかりだったが。



  


写真大会も終わり、次は茶道。 ちなみに、茶道をちゃんと見るのもこれが初めてだった。 お茶会には必ずその日のテーマがあることなど、知らなかったこともたくさんあり、学生たちとともに頷きながら宮代さんの話を聞く。 季節を楽しんだり、見えないところにまで気を配ったりする昔の人の心意気は本当に素敵である。





茶室の雰囲気を出せないのは残念だったが、学生たちと同じように宮代さんの一挙一動を真剣に見つめる。



そして、質問タイムには学生たちとともに質問していた。 この後、実際に抹茶を飲んだり、お茶菓子を食べたりと楽しい一時を過ごす。 モルドバで抹茶をすすりながら、落雁を頬張るなんて思ってもみなかった… 日本はおいしい。

次は風呂敷。 元々は銭湯で自分の浴衣を他の人のと間違えないために使われていたという名前の由来から始まり、現代のエコロジーの視点からも風呂敷が見直されているという。 そんな話を聞きながら思い出したのは大学時代のドイツ人の先生。 「ビジネスマン」というドイツ語の単語を「商人(あきんど)」と訳したその先生は、坂も多く、30分以上かかるというのに、自転車で大学まで通っていた。 さらに、自転車の荷台には風呂敷! 日本をこよなく愛し、エコ先進国ドイツからやってきた先生らしい。



宮代さんが一通りいろいろなものを風呂敷で包んでからは、学生たちが前に出てきて挑戦。 みんななかなか上手で、たくさんの拍手が送られていた。

日本にいてもなかなか触れられない日本の文化を学生たちとともに心から楽しんだ1日だった。 ウクライナから日帰りという強行スケジュールの中来てくださった宮代さんに本当に感謝。

初めての書道 ~真剣なまなざし、緊張の一筆目~

2007-05-12 01:38:37 | モルドバ・日本語

先週の土曜日の文化クラス書道だった。 去年初めて筆を握った学生も参加していたが、今回初めて筆を握る学生も…



私は日本語を教えてはいるが、自分の字がきれいだと思ったことは一度もない。 実際、自分の字が好きではない。 筆を握ると、残念ながらそれはさらに醜くなる… 小学校の冬休みの宿題には、必ず書初めがあった。 まずは習字の道具をわざわざ出すのが面倒だった。 さらに何度書いても、満足のいくような字はどうせ書けないので、いつも5枚ぐらい書いて、その中でまだ”まし”なものを選んで提出していた。 そして、先日おそらく15年ぶりに筆を握った。 最初は写真を撮るために待機していたのだが、学生たちが書いているの見ていると自分もやりたくなり、筆をとった…



が、やはり下手だった…

学生たちはまずは墨汁をつけず水だけで練習。

  




学生たちの顔は真剣そのもの。 慣れない筆を握り、一筆、一筆、書いていく… 自信のなさのあらわれか、とても小さな字を書く学生もいれば、なかなか味のある字を書く学生もいる。 去年も参加した学生たちは自分で漢字を調べてきて、練習に励む。 練習用の紙で何度か練習をした後、墨汁をつけて清書。



おお、うまい、うまい…

  



真剣なまなざしで手本を見つめる…



緊張の一筆目…



小筆で名前を…


日本人の心の花、「桜」…

書き終わった後の学生たちの顔には満足の色。 こういう経験を通して、さらに日本のことを好きになってくれたら本当にうれしい。 15年経った今も決して自分の字に満足することはないが、久しぶりに筆を握った自分も実は学生と同じように書道を楽しんでいたりした。


La Multi Ani in Moldova ~お寿司でサプライズ~

2007-04-02 21:06:26 | モルドバ・日本語

3月29日は27回目の誕生日。 10年前、いや5年前でさえ、自分の人生においてモルドバで誕生日を祝うときがくるとは夢にも思っていなかった。 また過去にイメージしていた27歳と今の自分を比べると、これもまた想像とはかなりかけ離れている気がする。 が、ここモルドバで誕生日をこうやって祝えて、本当によかったと思う。

ここでは3つのクラスを担当しており、水・木・金にそれぞれ授業がある。 誕生日である29日の木曜日をはさんだ3日間、学生たちには「記念に一緒に写真を撮りたいから、絶対に授業に来てね!」と念を押してあった。 普段授業をしているときは、当然一緒に写真を撮ることもないので、写真を撮りたかったのも確かだが、本当の目的は別にあった。 ただサプライズにしたかったので、学生たちには一言もそのことは言わなかったが…

ここモルドバでは誕生日の人がまわりの人に感謝の意をこめて料理などをふるまったりするのが風習らしいので、これはいい機会だと思い、日本からその前に海苔や酢を送ってもらったり、モルドバに住んでいる数少ない日本人の方から巻き簾を貸していただいたりしていた。 キシニョフにも日本食レストラン(その名も「海苔」)があるのだが、高いわりに、あまりおいしくないという噂で、ほとんどの人が日本食に興味があっても、食べたことがない。 ちょうど授業でも「~たことがありますか」を教えているところだったので、学生それぞれに「お寿司を食べたことがありますか。」という質問をしたら、ほとんどのが学生が「いいえ、ありません。」と答えていた。 食べたことがある学生も、モルドバ国内ではなく、ロシアに行ったときなどに食べたと言っていた。



水曜日、財団へ行く前に、うちでせっせと巻き寿司を巻いて、財団へ… そして、普通の顔をして授業。 学生たちが授業中にカードらしきものをまわしているのは知っていたが、そこは見て見ぬふり。 授業が終わり、お寿司を準備しようと手を洗って戻ってくると、学生たちがプレゼントを持って待っている。 何回目であっても、本当にうれしいこの瞬間… ここでもお礼を言いたい、「みんなありがとう!」と。 財団の人にクラスのみんなと写真を撮ってもらい、今度はこっちが驚かす番… 大きな袋を理事長室から持ってきたのを見て、学生たちは興味津々… そして、お寿司登場。 初めてお寿司を見た学生は、「何だこれは・・・?!」という顔でまずはしょうゆ、そして、海苔をまじまじと見ている。 最初の一つを取るのをためらっている学生もいたが、食べ始めるとみんな「おいしいです。」と言って、笑顔で食べていたので安心した。





お寿司の後は、これもまたサプライズでギターを弾き語り。 土曜日の文化クラスに来られなかった学生もたくさんいたので… 携帯で写真やムービーを撮られながらミスチルや尾崎豊の歌を歌う。 土曜日に来ていた学生のお気に入りは「バンザイ」。 土曜日に来ていなかった学生もみんなすごく喜んでくれていて、本当にうれしかった。 歌ったあとに、学生から歌詞の中の言葉について質問が出たりもした。 音楽を通して、語学を学ぶのは楽しくて、いい方法だと思うので、学生たちがこれを機にさらに日本語に興味を持ってくれたらうれしい。

木曜日、誕生日当日。 この日もまたうちでせっせと巻き寿司を巻く。 このクラスは学生も多いので、全部で16本! 授業前に学生たちが「お誕生日おめでとうございます。」と言いながら、紙でできた三角帽と風船を持って登場。 三角帽をかぶり、小さなホワイトボードの横で風船がゆらめく中、授業開始。 木曜日は6時から7時半までの授業でその後他の授業もないので、財団の人にみんなで写真を撮ってもらったあと、そのままパーティー開始。 この日は学生たちがケーキとジュースを買ってきてくれていたので、まずはケーキカット。 このケーキカットも誕生日の人の仕事。 学生から聞いたとおり、願い事をしながらケーキカットをする。



そして、みんなで「乾杯!」。 デザートの前に、主食… また理事長室からおもむろに大きな袋を持って来る。 そして、お寿司登場! ちなみにこの日は財団に来る途中のマイクロバスが急ブレーキをかけたので、危うくバスの中でお寿司を披露することになりそうだったが、何とかそれはまぬがれ、財団まで無事たどり着いた。 このクラスでもお寿司は大好評♪ 初めてのわさびに挑戦している学生もいた。






お寿司の後はケーキを食べながらのギターコンサート。 文化クラスのときに歌わなかった曲も披露。 このクラスの学生のお気に入りは「I Love You」。 日本の伝統的な曲は… と言われ、ギターなしで「北国の春」も披露。 小学生のときに覚えたこの歌が今になって役立つとは…(中国語でもカバーされており、中国でも役立った。) やはりみんな歌詞にも興味があるようで、ところどころ歌った後翻訳もしながら弾き語り。 これは日本の曲ではないが、学生と一緒に「Imagine」も歌ったりして、楽しくすごしていたら、何と時間はすでに9時… 本当に楽しいひと時だった。 学生たちとともにこうやって誕生日を祝うのは今回が初めてだったが、一緒に祝うことができて、本当によかった。 このクラスの学生たちには土曜日にレストランにも招待してもらい、モルドバの伝統料理をお腹いっぱい食べた。 ここでは授業中に聞けないような質問もいろいろ飛び出し、とても楽しくすごすことができた。 「みんな本当にありがとう!」。

金曜日、寿司サプライズもこれで3日目。 前日と同様、巻き寿司を16本巻いて、財団へ… 授業前にパソコンをしていると、一人の学生がやってきて「昨日、おめでとうって言えなくてすみませんでした。」と… 何だかその言葉がすごくうれしかったり… 授業を始めようとすると、プレゼントを持って学生たちが教室に入ってくる… 「日本へ帰っても、私たちのことを絶対に忘れないでね。」って… 「忘れるわけないじゃん… こんなにかわいい学生たちのことを!」と心の中で叫びながら、プレゼントをもらう。 すごくうれしかったが、ちょっと寂しくなったりもした… 学生たちのことだけを考えたら、絶対にもう1年ここに残るのに… 授業後、みんなで記念撮影をしたあと、大教室は30分後に授業で使うので、まずはギターを披露。 このクラスの学生のお気に入りは「バンザイ」と「Everybody goes」。 自分のお気に入りの曲になると、mp3プレーヤーで録音している学生も。 30分熱唱したあと、場所を移して、寿司パーティー。 このクラスの学生たちは日本に行ったことがある人一人をのぞいて、みんな初めてのお寿司。 袋からお寿司を出したときには「お~~っ!」という歓声があがった。 しょうゆや海苔の説明をしたあと、みんなで「いただきます!」。







初めてのわさびの味は?!





みんなお寿司にも大満足で、笑顔で財団を後にしていった。

間違いなくここに来てから一番忙しい3日間だったが、学生たちの笑顔がその忙しさを帳消しにしてくれる。 自分にとってはもちろんこれから決して忘れることのない27回目の誕生日。 学生たちにとっても一生忘れられない1日になってくれていたらいいな…


「日本の若い人の生活」と「日本の音楽」 ~文化クラスを教える~

2007-03-30 04:28:07 | モルドバ・日本語

先週の土曜日、毎週土曜日に行われている文化クラスを担当した。 普段はモルドバ人の先生や日本人のN先生が担当しているのだが、学生からの要望もあったらしく、初めての文化クラス。 担当することが決まってから、学生たちにどんなことを聞きたいか聞いたところ、日本の若い人がどんな生活をしているのか知りたいという学生が多かったので、このテーマに決めた。

インターネットで主に日本の大学生の生活について調べ、いろいろなデータを集めて、それをもとに学生たちに質問しながら進めていった。 大学生活で楽しいこと、また不満に思ってることベスト5というのがあったので、モルドバの学生たちにも聞いてみたところ、かなり似通った結果だった。

学生たちの答え…

[ 楽しいこと ]
大学(高校)で友達に会って、話したりすること
クラブ活動等に参加すること
学校の授業(ある特定の科目… 全部ではないと、みんな強調していた。(笑))
好きな先生に会うこと 等

[ 不満に思っていること ]
宿題が多いこと
授業がおもしろくないこと
先生がえこひいきをすること
朝早く起きなければならないこと
制服がかっこわるいこと
クラスの中で対立があること 等

日本の大学生に対するアンケートの中で、「キャンパスが遠い」というのが不満の第2位に入っていた。 調べたデータによると、自宅から通っている学生の37%が片道90分以上、13%が片道2時間以上かけて毎日通学しているらしい。 私も大学時代は、最寄の駅まで自転車で行って、JRに乗って名古屋駅まで行って、地下鉄に乗り換えて終点まで行って、さらにそこからバスに乗って毎日通っていた。 1日の3時間を自宅と大学の往復に毎日費やしていると思うと、短くない。 学生たちにも自宅から学校(大学、高校)までどのぐらいかかるか、聞いてみたが、一番長い人で1時間だった。 ただ授業の始まる時間が日本より早いようで、7時半から始まる授業もあるとのこと。 それで、「朝起きるのがつらい」と言っていた学生が多かったのだろう。 また通学時間帯のバスが混んでいるという話から、日本の通勤・通学ラッシュの説明。 駅のホームに乗客を押し込むための係員がいるというのを聞いて、みんな大うけしていた。 話を聞いているだけならおもしろいが、特に夏は本当につらい…

私は学校の先生ではないので、学生たちはみんな自分の思っていること、特に不満をそのまま話してくれて、とてもおもしろかった。 学生が思うことというのは、どうやら万国共通のようである。 「勉強するためじゃなくて、友達に会うために学校に行っている」と言っている学生や「絶対本人も間違っていると気づいているのに、絶対間違いを認めない先生がいる」と言っている学生… 地理のテストで何かの建物の名前が書けなくて、10段階評価の2をつけられた先生に「どうしてこんなことも知らないんだ」と言われ、「私は建築家になるつもりはありませんから」と言ったという学生。 楽しいことのときは、あまり出てこなかった意見も、不満なこととなると、どんどん出てくる。 私も学生時代はもちろん同じように思っていたから、よく理解できるし、何だか懐かしくなった。 ただ先生も大変… 先生になってみないと、先生の大変さを考えさえもしないだろうけど…

掲示には「日本の音楽を紹介する」としか書かなかったが、もともとサプライズでギターを弾こうと思っていた。 中国では日本の音楽CDも結構売っているし、中国人アーティストが日本の音楽をカバーしていたりして、日本の音楽とふれあう機会も多いのだが、この国にはきっとどこの店をのぞいても日本のCDは売っていない。 もちろん本当に興味のある人はインターネットを通して、たくさん知っているのだが… ということで、理事長室からギターを持ってきて、再登場。 普段は本当に趣味で自分で弾いているだけなので、こんな20人以上もの人が見つめる中で弾くのは初めて… さらに財団の人がビデオとデジカメを持ってきて、撮影開始。 普段授業するときは全く緊張などしないのだが、今回ばかりはさすがに緊張した。 「夏色」、「バンザイ」、「I love you」、「車の中でかくれてキスをしよう」、「Everybody goes」等10曲ぐらいを熱唱。 学生たちもすごく喜んでくれていたので、よかった。 こうやって音楽を通して、これからさらに日本語に興味を持ってくれたら、すばらしい。

「とても楽しかったです♪」と言って、笑顔で学生たちも帰っていったので、よかった…


財団の一大イベント スピーチ・コンテストを終えて ~スピーチとは何か~

2006-12-21 22:09:27 | モルドバ・日本語

先週の土曜日、当財団における一大イベントであるスピーチ・コンテストが開催された。 この約1ヶ月は、財団職員、教師、そして、学生、それぞれがその準備に追われ、何かと忙しかった。 私の担当している学生は9月から日本語学習を始めたばかりなので、参加した学生はいなかった(2年目だが、私のクラスにいる学生は一人参加)のだが、S先生、N先生のところに原稿を持ってひっきりなしにやってくる学生たち、何人かのスピーチ原稿のチェックを私も手伝ったりはした。

ここに初めて来たときは、正直学生たちの日本語のレベルに少し驚いた。 2年目や3年目の学生でさえ、先生と話すときはほとんど英語で話している。 ここに来る前に2年いた青島には、日本人もたくさん住んでいるし、日系企業、日本と貿易をしている会社もたくさんあり、日本人や日本語に接する機会が確かに多い。 しかし、ここキシニョフでは、街で日本人どころかアジア人さえ見かけない。 当然日系企業もない。 この状況下では日本語を使う必要に迫られる機会は授業外ではゼロなので、それもまた仕方がないのかもしれない。 ただ、がんばっている学生もたくさんいるということがこの3ヶ月間でわかった。

今回はスピーチ原稿をタイプして提出しなければいけなかったので、日本語タイプに慣れていない学生たちの顔は真剣そのもの。 「先生、”を”はどう書きますか。」、「小さい”つ”はどう書きますか。」、慣れない日本語タイプに必死になっている学生たちの顔も私にはかわいく見えた。

スピーチ・コンテストの前日に在ウクライナ日本大使館の方とJICAからウクライナ日本センターに派遣されている方も到着し、財団の日本人教師3人も合わせて、5人が審査員として席に着いた。 N先生の担当するキッズ・クラスの学生たちの「あわてんぼうのサンタクロース」で幕開け。 歌も発音も本当に上手で会場中の顔がほころんだ。 去年のコンテストのビデオも見たことがあるのだが、キッズ・クラスの学生たちのスピーチは格段によくなっていて、本当にすごいと思った。 原稿を持たないで前に出てくる学生も多く、それにも驚いた。 私もスピーチではないが、アメリカにいたときクラスでよくプレゼンテーションをしなければならず、初めてのとき原稿を持って、読みながらやっていたら、「原稿を読んでるだけだったら、見なくてもできるように覚えてから、もう一度やってくれ」と退却を命じられたことがある。 大勢の人の前で外国語で何かを話すのは本当に大変なのに、10歳前後の子供たちが難なくやりとげているのである。 ある女の子は途中まではとてもよかったのだが、途中でわからなくなってしまい、必死で思い出していた。 友達が原稿を持ってきてくれたあとは、再び同じトーンでしっかりとやりとげた。 ウクライナのスピーチ・コンテストでは、同じような状況で、そのまま泣いて席に戻っていってしまった子供もいたとのこと。 子供ながら実に天晴れ! 「今回のスピーチはちょっと残念だったけど、きっと将来しっかりした大人になるよ。」とみんなで話していた。

キッズ・クラスの学生たちのスピーチのあとは、学習歴2年の18歳までの学生たちのスピーチ、それ以上の年齢の学生たちのスピーチ、学習歴3年の18歳までの学生たちのスピーチ、それ以上の年齢の学生たちのスピーチがそれぞれ行われた。 モルドバの伝統行事や結婚式について、日本のお茶や文学について、家族のありかたや人生について、また自分の好きなロックについてなど、スピーチの内容もさまざま。 内容的にとてもおもしろいスピーチもあったが、残念ながらそうではないスピーチもあった。 確かに学習歴があがるにつれ、スピーチの内容も難しくなっていたし、流暢さという面においてもレベルが高くなっていたのだが、同時に内容的には事実の羅列が多く、残念ながらスピーチとしてはおもしろくないものが多くなっていたように感じた。 スピーチを聞いていても、その学生とそのトピックの関係性が見えてこず、本に書いてある内容を日本語に翻訳し、それを暗記して発表しているかのような学生が多かった。 VCDを使っている学生も多かったが、実際のスピーチ中に何か映像を紹介するわけでもなく、ただ聴衆の目を引くためだけに使われていた感があったので、それもまた残念だった。 来年はもっと学生とスピーチ内容の関係性が見えてくるような”おもしろい”スピーチをする学生が増えてくれたらと思う。 ただ学生たちそれぞれのがんばりには心から大きな拍手を送りたい。

と、終われればよかったのだが、未だにこの審査結果に納得がいっていない人もいるので、少し大変・・・ どんなにその子ががんばっていても、どんなにすばらしいできのVCDを使っていても、スピーチの内容がただ事実の羅列であっては、おもしろくない。 また本人との関係性も全く見えてこなければ、さらに評価は低くなる。 それに、何よりこれはコンテストであって、誰かが入賞すれば、入賞できない人も出てくる。 どうしてそれがわからないのだろう、肝心の人が・・・


笑顔あふれる子供たち ~日本からのうれしい贈り物~

2006-11-21 21:35:54 | モルドバ・日本語



今月の初めに財団宛に日本から一通の小包が届いた。 その中には、子供向けの本が4冊。 ここにも書き込みに来ていただいている 夜勤明けさん からだ。 夜勤明けさんは、「ブログの題名」(左のメニューにリンクしてあります。)というブログをやっている方で、そのブログの名前の通り、本当にこちらに本を送ってくださったのだ。 財団のライブラリーには国際交流基金等から寄贈された日本に関する本が並んではいるものの、こちらではなかなか日本の本が手に入らないこともあって、まだまだ十分とは言えないので、財団の理事長、副理事長ともに大喜び。 「こういうつながりをこれからも広げていきたい」とうれしそうに語っていた。 そして、何より喜んでいるのは子供たち。 日本のアニメがきっかけで、日本や日本語に興味を持ち、ここで勉強している学生も少なくない。 若い学生たちは、少なくとも私よりはよっぽどよく知っている・・・ 興味があることに対しては誰でもがんばれる。 興味があることであれば、勉強が勉強でなくなる。 私は今でも読書好きとは言えない・・・ 子供の頃に本を与えられると、読書好きの兄はすぐに読みきり、私はというと、挿絵を見て、一生懸命絵を描いていた。 それが今の職業には幸い大いに役立っているのでいいのだが。 とにかく、子供たちが本を通してもっと日本語に興味を持ってくれることを心から祈るとともに、夜勤明けさんにここで感謝の意を表したい。 

ここのブログもモルドバと日本の小さな架け橋になってくれればいいのだが・・・


自己紹介 ~外国語学習の喜び~

2006-09-25 16:59:41 | モルドバ・日本語

先週の土曜日、日本文化クラスが開講するということで、実際に自分が教えるわけではないが、日本人教師も出席して、自己紹介をしてくださいと言われていたので、財団を訪れる。 いつも教室として使っている部屋に入ってみると、なんと5, 60席ほどの椅子がところ狭しと並べられている。 「げっ、こんなに来るの?!と内心思う。 そして、時間前になると本当にその席が全部埋まっている。 その中には自分の学生もたくさんいる。 実際、ここで勉強している人たちのほとんどが何らかの形で日本の文化にふれ、興味を持ち、日本語学習を始めているので、それを考えると、これだけ席が埋まるのはうなづける。 しかしながら、東ヨーロッパの小さな国、ここモルドバという地で、これだけ多くの人が日本に興味を持っているのかと思うと、結構うれしい。

部屋に入って驚いたのが、なぜか華原朋美の「I'm proud」が流れていたこと。(笑) 古いうえに、なぜにこの曲?! 最初に、財団についての説明がルーマニア語+英語通訳で行われ、いよいよ教師紹介。 財団2年目のS先生が日本語で挨拶、それにルーマニア語同時通訳が入る。 S先生らしく、簡潔な自己紹介。 そして、自分の番。

「Buna ziua, ズドラーストビチェ、Hello、こんにちは」

とりあえず、最初の挨拶だけで会場から笑いが取れたので満足。(「一授業一笑」以上がいつもの目標) 授業の最初でもやったように、知っているルーマニア語でがんばって自己紹介。 言えることは、せいぜい名前、出身地、中国で2年日本語を教えていた、ルーマニア語を勉強している程度のことなのだが、会場からは拍手が・・・(これだから、大変だが、勉強する気が湧いてくる・・・) すかさず、「Maladet!」(マラディエッツ; このブログの題名にもしているが、「すばらしい」という意味。 元々はロシア語らしいのだが、モルドバの人もよく使う一言)と言ったら、会場から再び笑い。 そして、また満足。 あとはルーマニア語の同時通訳の下、英語で自己紹介。 外国語学習には大変な労力を要する。 モルドバの人たちにとって、ひらがな、カタカナ、漢字という未知の文字を覚えることは、かなり大変だろうと思われる。 だが、がんばってよかったと思えるときがある。 それは、先ほど自分も味わった「相手に自分の言いたいことが伝わったときの喜び」を感じられたときである。 これを何より伝えたいと思っていたので、今回こういう場があってよかった。

自分の後は、同じくこの9月にここに来たN先生の自己紹介。 先週の月曜日に来たばかりだが、紙を見ながらも、ルーマニア語で挨拶。 イタリア語ができるので、発音がそれっぽい! 一緒にルーマニア語を勉強しているので、負けないようにがんばらないと・・・

教師紹介の後は、去年の日本語スピーチ大会のビデオが流される。 そして、次に流されたビデオとは・・・ なんとあの「マイアヒー」&「のまねこ」で一世を風靡したOzoneがミュージック・ステーションに登場したときのビデオが・・・(笑) 曲自体は中国でも流れていたので知っていたが、どんな人なのかをはっきり見たのは今回が初めて。 「のまねこ」が何なのかも流行がかなり昔に去った今日にして初めてわかった。


今週から授業開始 ~モルドバ人と日本語~

2006-09-21 16:29:22 | モルドバ・日本語

今週からついに正規の授業が始まった。 現在開講されているのは、初級Ⅰ(3クラス)、初級Ⅱ(2クラス)、初中級(1クラス)、キッズ(1クラス)。 1クラスの学習者の数は、どのクラスも10人から20人弱。 90分の授業が1週間に2回行われ、5月の末まで続く。

今回は初級Ⅰの3クラスを担当することになった。 クラスとしては一般クラスなのだが、11歳から40歳までと学習者の年齢層は広い。 一番多いのは高校生から大学生の年代で、だいたい7~8割は女性。

最初の授業でアンケートに答えてもらったのだが、学習目的も様々…

・日本に留学したい
・日本で働きたい
・日本で生活してみたい
・日本語を使って仕事をしたい
・翻訳家になりたい

・日本人と結婚したい
・さらに新しい言語を習得したい

現在働いている人にとっては、さらなるステップ・アップにつながるかもしれないし、学生たちにとっては、まったくこことは違う世界へ飛び立つチャンスを得られるかもしれない。 それぞれがそれぞれの目標を持って、授業に取り組んでいる。

ルーマニア語はラテン系の言語で、子音+母音の組み合わせが多いので、どの学習者も発音は特に問題なさそうだが、やはり文字を書いたり、覚えたりするのは大変そうだ。 ひらがなやカタカナは元々漢字からできているので、普段から漢字を書きなれている中国人の学習者にとっては、そこまで大変ではなさそうだったが、ここでは違う。 例えば、中国人の学習者であれば、当然のように左から右、上から下という順序で文字を書こうとするが、モルドバ人の学習者は何も言わなければ、自分の好きな位置から書き始める。 私たちがタイ文字やアラビア文字を見ているときのように、モルドバ人の学習者にとってはある種の絵が羅列されているようにしか見えないのだろう。 漢字となったら、さらに困難を要することは間違いない。

授業はまだ始まったばかり、まずはひらがな、カタカナをちゃんと書いたり、読んだりできるようにしていきたい。