All my loving ♪

短歌と猫とポールマッカートニーを
こよなく愛しています

中部短歌会『短歌』2月号

2010年01月08日 21時26分22秒 | Weblog
   哀しき性欲

ひとりごちながら立ちゐる厨辺にしんしんと積むしろたへの冬

逝きし日とまたそつくりな雪が降るふたりをしろくしろく隔てて

哀しみの寄らば真つ赤に燃ゆるべし風に爆ぜたる真冬の柘榴

きみを詠む挽歌はあをき自慰に似てまた新たなる欲望を生む

われの愛だけしか知らぬ子よママは父とならざるひとを愛せり

想ひ出をなぞるだけでは満たされぬ立心偏に生と書く欲

くれなゐの肌うすらひに透かしゐて枯葉は散りし日のまま凍る

頑として未婚・既婚のどちらにも丸をつけずに出すアンケート

すぎゆきに深くうもるる愛ならば忘れぬやうにあなた産みたし

哀しみが哀しみを呼ぶ寒の夜はいのち継がざる快楽に落ちむ
 (快楽=けらく)



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