All my loving ♪

短歌と猫とポールマッカートニーを
こよなく愛しています

過去ログ25より

2005年03月20日 17時17分24秒 | 題詠マラソン感想
[4832] 011:都 五十嵐きよみ 2005年03月09日 (水) 00時09分
終電の都営地下鉄おなじ名の知らないミサキが(たぶん)揺られる

五十嵐さんの歌に登場する少女はいつも膝をすりむいている
ようなイメージがあるとおっしゃった方がいらっしゃいますが
まさにその通り。
どこかに傷を負いつつ、それでも生きている少女が浮かんできます。

[4833] 012:メガホン 五十嵐きよみ 2005年03月09日 (水) 00時10分
気の利いた警句を探して叫ぶより社会学者をメガホンで擲(う)て

そうです。
理屈っぽい真理など叫んでいる場合ではありません。

[4847] 012:メガホン PDP 2005年03月09日 (水) 00時31分
メガホンに裸電球のせてみて寂しさだけで灯をつけてみる

なんだか分からないけどひかれました。

[4858] 006:時 ひぐらしひなつ 2005年03月09日 (水) 01時09分
潮時を告げる仕草で立ちあがるきみに遅れて応接ソファが

ソファーのへこみまでが消え去ってしまう。
少し間をおいて。
観察眼に感服。

[4900] 018:教室 足立尚彦 2005年03月09日 (水) 10時22分
教室の真昼 みんなに影はあり影に重さがあったみたいだ

重さがのしかかってきます。
今の虚無感を想像させられます。

[4902] 019:アラビア 足立尚彦 2005年03月09日 (水) 10時24分
アラビア語で雪は何と言うんだろう「ゆき」と言いつつ雪を見ている

文句なしにいいです!!!
一読しただけで気に入りました。

[4905] 022:弓 足立尚彦 2005年03月09日 (水) 10時36分
弓を引くその一瞬が殺意ならその湾曲に殺されるべし

これもすごいです。

[4980] 002:色 駿河さく 2005年03月09日 (水) 13時52分
灰色をねずみいろって言うひとがいるから冬はあったかいのだ

「のだ」がほのぼのとさせています。
たしかに灰色よりもねずみいろって言った方がうんとあったかい。
ねずみがお話ししているような気がしました。


過去ログ24より

2005年03月20日 17時03分36秒 | 題詠マラソン感想
[4606] 063鬼 西中眞二郎 2005年03月08日 (火) 15時10分
孫が来て見入るテレビに付き合えば百鬼夜行のこれぞポケモン

知らない方がご覧になったら、まさしく百鬼夜行ですよね(笑

[4643] 035:禁 黒田康之 2005年03月08日 (火) 16時28分
禁じよう酒もバイクもセックスも お前が好きだと百ぺん言おう

強さを感じました。
こんなこと、言われてみたいです。

[4662] 030:橋 吉野楓子 2005年03月08日 (火) 17時32分
ほたる橋ふたりで渡るやくそくを秘めて夕餉の菜をきざむ母

母とは自分なのか、自分の母なのか。
どちらにしても母の秘めた恋。
艶っぽい歌です。

[4685] 005:サラダ 田丸まひる 2005年03月08日 (火) 19時41分
わたしよりきれいな指を持つひとがちぎるサラダ菜(寒いね)(そうね)

「」ではなく()が視覚的にも利いています。

[4732] 003:つぼみ 新田瑛 2005年03月08日 (火) 21時31分
来年の梅がつぼみを見せるころ生まれることに決めましたから

何が生まれるのかは分からない。
自分が生まれ変わるという意味でしょうか。
謎解きをしないままなのも、読者の想像を刺激します。

[4771] 021:うたた寝 鈴木貴彰 2005年03月08日 (火) 22時19分
うたた寝の父がときどきつぶやいた ぼくの知らない兄のなまえを

スペースの分の時間で読者に想像を促しているよう。

[4773] 022:弓 鈴木貴彰 2005年03月08日 (火) 22時20分
洋弓を定めるような父の目だ ぼくのどこかに的をさがして

両親の目というものは温かいもの。
そんな常識を覆されます。

[4775] 024:チョコレート 鈴木貴彰 2005年03月08日 (火) 22時20分
チョコレートを溶かした夏の陽は落ちて成型されるあらたなかたち

「あらたなかたち」
この表現には衝撃を受けました。



過去ログ23より

2005年03月20日 16時33分53秒 | 題詠マラソン感想
[4401] 040:おとうと 参田三太 2005年03月08日 (火) 06時55分
(三木露風作詞山田耕作作詞「赤とんぼ」2番「十五で姐やは 嫁にゆき お里のたよりも 絶えはてた」承歌)
おとうとはおさなきままのおとうとで離れてともに齢(よはひ)かさねぬ

最初、ひらがなの羅列に読みにくさを感じました。
その分ゆっくりと読むために、逆におとうとさんへの愛情が
じんわりと沁みてきたように思います。

[4412] 015:友 舟橋剛二 2005年03月08日 (火) 07時24分
気がつけばいつも隣りにやつがいたまだ友という語も知らぬ頃

「やつ」に親近感を感じます。

[4405] 018:教室 謎彦 2005年03月08日 (火) 07時04分
教場が呼びかへられて教室となりおだやかな密室となる

うーーん、密室とはすごい視点ですね。

[4582] 001:声(再投稿) 謎彦 2005年03月08日 (火) 14時19分
銃声が五百余名をちりぢりに奔らす西の半球もあり

悲しいです・・・・。


過去ログ22より

2005年03月20日 10時29分59秒 | 題詠マラソン感想
[4200] 007:発見 村本希理子 2005年03月07日 (月) 20時45分
かすかなる愚鈍発見せしのちはnon-noを読まずan・anを買ふ

non-noに比べるとan・anはアンニュイな雑誌。
もうなにもかもがダルな気持ちなのでしょうか。

[4209] 001:声 飛永京 2005年03月07日 (月) 21時04分
一斉にこちらを向いたパンジーの黄色い声が姦しすぎて

パンジーは丈夫、元気な花。
言い得て妙です。

[4236] 017:陸 岩波ラスミチ 2005年03月07日 (月) 21時56分
陸ならば溺れないって思ってた。…思ってたんだ。思ってたのに…。

溺れないはずの陸で溺れてしまった・・・。
思ってたのリフレインが利いています。

[4259] 042:官僚 春日山 2005年03月07日 (月) 22時26分
大臣の答弁せるは官僚の作成になる資料棒読み

その通りだ!と叫んでしまいました。

[4287] 083:キャベツ 船坂圭之介 2005年03月07日 (月) 22時58分
すでにして父と呼ぶ座にわが居らぬゆえかキャベツに娘の匂い

キャベツの匂いに遠く過ぎ去った昔を思う。
視覚より聴覚より、嗅覚で過去が蘇るのはなぜだろう。

[4308] 010:線路 謎彦 2005年03月07日 (月) 23時29分
線路より999(スリーナイン)を解きはなつところ「つ」の字に裁たれてありき

999、大好きでした。
何度となく目にしたシーンなのに「つ」の字型と思ったことは
ありません。
何を見ていたのでしょう(泣

[4368] 064:科学 田貫 砧 2005年03月08日 (火) 03時33分
理に暗き愚者ぞろいゆえ名称に「科学」を入れてみた文部省

科学とつくとワンランク上がったような錯覚に陥ります。
張子の虎ですね。

[4385] 079:ぬいぐるみ 田貫 砧 2005年03月08日 (火) 04時52分
アダルト誌買う十七の心以て無言でレジに置くぬいぐるみ

楽しいです。
アダルト雑誌を買うよりもぬいぐるみを買う方が今は
お恥ずかしいのですね。

過去ログ21より

2005年03月20日 03時17分52秒 | 題詠マラソン感想
[3999] 016:たそがれ ハナ 2005年03月07日 (月) 11時44分
5歳児もたまにたそがれするらしいひとくちだけで残したプリン

5歳児のたそがれ。
5歳児なりに考えるところがあるかも知れません。
大好きなプリンを残してしまうほど、たそがれてしまうとは・・・
かわいいです。

[4057] 023:うさぎ     さゆら 2005年03月07日 (月) 14時50分
口元に不敵な笑みを浮かべてる昔作ったうさぎのミミー

自分で作ったぬいぐるみ。
そのぬいぐるみが命を持つようです。
でもちょっと怖いです。

[4068] 041:迷 蜂田 聞 2005年03月07日 (月) 15時03分
作りかけ捨てたる幾多の土偶見つ古人の指の迷い知らぬも

捨てた土偶を見つけられてしまった古代の芸術家たちは
今どう思っているのでしょうね。

[4091] 013:焦 前野真左子 2005年03月07日 (月) 15時56分
「伏せ」「まだか、まだなのか、まだ?」黒ラブの尻尾の先が焦れ始めてる

短歌にあまり犬が登場しないのはなぜ?
猫に比べると友好的で協調性があるからでしょうか。
「まだか、まだなのか、まだ?」
聡明な犬のイメージが崩れて、思わず笑ってしまいました。

[4127] 003:つぼみ 阿部定一郎 2005年03月07日 (月) 16時48分
咲かぬまま落ちたつぼみの中心で花粉がそっと輪廻をはずれる

落ちてしまったつぼみ。
その花粉。
受粉することのない花粉。
輪廻をはずれるの比喩に運命を感じます。

[4136] 010:線路 阿部定一郎 2005年03月07日 (月) 16時50分
目障りなことに線路が二本とも捨てたつもりの国につながる

故郷なのでしょうか、夢なのでしょうか。
目障りとはきっとそんなものを捨てきれないご自分への
憤りなのでしょうね。

[4157] 003:つぼみ 近藤かすみ 2005年03月07日 (月) 18時14分
淡彩の絵のなかの春フリージア百年先もつぼみのままで

ずっとつぼみであることは、ある意味悲しいです。

[4191] 010:線路 たなかたかと 2005年03月07日 (月) 20時31分
四畳半の万年床のその下に行き先のない線路がのびる

行き先のないとは、先の見えない自分の人生なのでしょうね。
それに対する虚無感。
四畳半の万年床がさらに物悲しさを誘います。




過去ログ20より

2005年03月20日 02時55分58秒 | 題詠マラソン感想
[3871] 022弓 西中眞二郎 2005年03月07日 (月) 00時26分
弓抱え午後の電車に乗りて来し女子高生の眉の凛々しき

弓道部の女性でしょうか。
弓と眉が響き合うよう。
電車の美しい一コマです。

3932] 016:たそがれ 鈴木英子 2005年03月07日 (月) 09時38分
消息を絶ちしひとをもたそがれはおなじ速さに浸すだろうか

「同じ速さ」とは時差なのでしょうか、心象なのでしょうか。
たそがれの向こうを見ているような作者の視線が印象的。

[3933] 006:時 あみー 2005年03月07日 (月) 09時38分
しあわせなしあわせな痛みだったから忘れてしまう時など来ない

悲しみは時が忘れさせてくれる。
でも、幸せすぎた痛みは忘れる日がこないのでしょうか。
甘く切なく心に響いてきました。

[3945] 027:液体 鈴木英子 2005年03月07日 (月) 09時49分
砂時計、液体時計、落ちてゆく時間をたやすく返すわれの手

本当の時間もそんな風に簡単に返せればいいのに・・・。

[3959] 012:メガホン 吉野楓子 2005年03月07日 (月) 10時43分
くるくると冊子をまるめたメガホンでナイショ話はくすぐったいわ

幸せそうな二人の姿が浮かんできます。

[3987] 055:ラーメン 田貫 砧 2005年03月07日 (月) 11時32分
割り箸で卵つつけばラーメンのスープに滲むおぼろ月かな

黄身が広がっていく様子。
それをおぼろ月にたとえられた作者に拍手。

[3997] 015:友 ハナ 2005年03月07日 (月) 11時43分
お弁当一緒に食べるためにだけ友達になる4月始まる

お弁当を一人で食べるのは寂しい。
それだけのために友達になるのはもっと寂しい。




過去ログ19より

2005年03月20日 01時39分55秒 | 題詠マラソン感想
[3663] 008:鞄 あや 2005年03月06日 (日) 18時28分
寅次郎帰るとすぐに置く鞄みやげ話の七つが詰まる

鞄の中には恋の思い出と人情がいっぱいです。

[3679] 003:つぼみ 田丸まひる 2005年03月06日 (日) 19時10分
乳白のつぼみを間引く 誰にでも愛されているなんて思うな

つぼみはかわいらしくて守られるもの。
その考えを覆す作者の心の声。
どきっとしました。

[3715] 070 曲 冬野由布 2005年03月06日 (日) 19時57分
曲がらないきゅうりはどうしてできるのか結婚十七年目の会話

あたり前になった夫婦の生活。
何気ない会話。
そんな平凡な暮らしこそ幸せなのかも。

[3735] 002:色 ジテンふみお 2005年03月06日 (日) 20時48分
夕暮れて色も薄れるグランドにりんごを齧る音だけ響く

何かの比喩とも取れます。
りんごに哀愁を感じてしまいますね。

[3754] 011:都 ハナ 2005年03月06日 (日) 21時56分
かあさんの手紙のせいで重くなる東京都指定生ごみ袋

母を慕う気持ちの照れ隠しでしょうか。
重いぐらいのたまった手紙。
母さんの愛情、あったかいです。