「題詠マラソン２００５」 （０４１～０４５）

041:迷
もう別に夢はいらない迷いなく空よりあおき紫陽花を切る


042:官僚
官僚はアンパンマンのようなもの危なくなると首すげ替える


043:馬
乱れ飛ぶ馬券と叫び声のなか買わざりし②のウィニングラン


044:香
似たような生命線の手をつなぎひと日おさなと香草を摘む


045:パズル
四隅しか見つけられへん千ピースすべてが白いジグソーパズル

過去ログ３８より

[7413] 007:発見 荻原裕幸 2005年03月16日 (水) 22時03分
他人には発見されぬひとがたのしろきかたちで三月を行く

ひとがた・・・実態を失くした自分のことなのでしょうか。
漂うような作者の姿がよく表れていると思います。

[7438] 010:線路 飛永京 2005年03月16日 (水) 22時22分
手袋の指人形がすわってる線路の脇にすみれは群れて

手袋の指人形・・・
手袋そのものなのか、実際の人なのか・・・
読み飛ばしてまた戻ってきたほど、引き込まれていきます。

[7459] 019:アラビア 八香田 慧（ようかだ　けい） 2005年03月16日 (水) 22時31分
音（ね）を上げてネット検索次々と“２０へぇ”ですアラビアの事

２０へぇが今風でおもしろいですね。

[7468] 016:たそがれ　 kitten 2005年03月16日 (水) 22時58分
暴走族『たそがれ』結成！老人募集！バリバリ行くぜ！夜露死苦！

元気なおじいちゃんたちの姿が浮かんでしまいます。
なんか本当に存在しそうです。

[7476] 018:教室 五十嵐きよみ 2005年03月16日 (水) 23時29分
教室に持ち込み禁止の空想はなくて自由にゆるむくちもと

自由にゆるむくちもと
自由だった昔を思い出します。

[7484] 037:汗 みやちせつこ 2005年03月16日 (水) 23時39分
洗濯槽に投げ入れるとき子のシャツは異性の汗をまといておりぬ

息子の成長にとまどいに似た嬉しさを感じる作者。
生き生きとしたいい歌ですね。

[7554] 056:松 足立尚彦 2005年03月17日 (木) 08時38分
松林抜ければそこは日向灘だった「だった」を風は知らない

後半が絶妙です。

[7559] 060:影 足立尚彦 2005年03月17日 (木) 08時50分
ジャンプして影から離れたつもりでも何かで満たされている隙間

そうですね、影とは何かでつながっている気がします。

過去ログ３７より

[7198] 036:探偵　 やそおとめ 2005年03月15日 (火) 22時04分
名探偵神津恭介登場の本と揺れゐる夜汽車の木椅子

探偵の固有名詞を使うことによってイメージが膨らみます。

[7216] 010:線路 杉山理紀 2005年03月15日 (火) 22時46分
線路へだててあなたがみえてあなたからみえないままの淋しさに乗る

あちらからは気づいてもらえない寂しさ。
何かの比喩にも受け取れます。

[7240] 077:櫛 参田三太 2005年03月16日 (水) 00時02分
櫛けづる妻のかたへに毛づくらふ猫をり・・・解らぬ魔性の絆

魔性の絆がどんでん返しのようです。

[7266] 069:花束 謎彦 2005年03月16日 (水) 02時20分
にんげんの痕跡として電柱の根元にしばられたる花束

「にんげんの痕跡」としたところに深いものを感じます。

[7273] 072:インク 謎彦 2005年03月16日 (水) 02時47分
侵攻はリチャード・クレイダーマンのウインクほどに的をはづして

「リチャードクレイダーマン」が最高ですね。
他にウィンクをしてはずす人が浮かばないほどのインパクトです。

[7284] 074:麻酔 舟橋剛二 2005年03月16日 (水) 07時45分
青空も麻酔打たれしごと霞みテロの世紀の始まりにけり

麻酔を打たれた青空という比喩に感動しました。

[7370] 007:発見 睡蓮。 2005年03月16日 (水) 17時01分
昨夜から行方不明の地図帳がおもちゃ箱にて発見される

道を調べるための地図。
その地図が行方不明になる。
よくある光景をうまく詠んでいると思いました。

[7383] 025:泳 今泉洋子 2005年03月16日 (水) 19時43分
雨強き真夜のコンビニ水槽の魚のやうに人影泳ぐ

たしかに外から見ると水槽のようかも。

[7392] 080:書 岩井聡 2005年03月16日 (水) 20時25分
『ヘイ・ジュード』裏の林檎にいつの日の走り書きなる　革命なんて…

遠い昔の自分。
強大なものへの抵抗。
気恥ずかしさと懐かしさが入り混じった気持ちがよく表れています。
具体的な題名も効いています。

過去ログ３６より

[6997] 008:鞄 飛永京 2005年03月15日 (火) 01時57分
猫路の毒だみ草に同化して形をほどく学生鞄

学生鞄が何の比喩なのか・・・。
作者にいろいろ伺ってみたいと思わせる作品です。

[7000] 012:メガホン あみー 2005年03月15日 (火) 04時25分
メガホンはもう使わない　大切なことならきっと聞こえるはずだ

さらっとした口語なのに実に心に響きます。

[7033] 054:靴下 足立尚彦 2005年03月15日 (火) 11時16分
靴下が仮に靴上だったなら靴の気分を訊いてはいけない

はい、訊いてはいけません。

[7045] 073:額 岩井聡 2005年03月15日 (火) 12時22分
教科書のバッハよ太宰よチャーチルよ何度額に書かれたか「肉」と

キンニクマン（字が分からない・・・）ですね・・・。

[7137] 088:食 春畑　茜 2005年03月15日 (火) 17時40分
誰も誰もおのれを生くるほかになし時にさびしくもの食みながら

人間はどんなにつらい時、悲しい時も空腹を感じます。
そして自分からは逃げられない。
人間の持つ性がしんしんと感じられます。

[7162] 002:色 荻原裕幸 2005年03月15日 (火) 20時02分
この朝の深いところにあるみづの色をたしかめつつ髭を剃る

鏡と向き合う時間。
「深いところにあるみづ」に朝の清らかさとともに少しの
寂寥感を感じます。