All my loving ♪

短歌と猫とポールマッカートニーを
こよなく愛しています

「題詠マラソン2005」 (021~025)

2005年03月18日 04時00分51秒 | 題詠マラソン
021:うたた寝
もう二度とみごもらぬ身を泳がせり大白蓮のごときうたた寝


022:弓
死の床にありて最期に見し夢の中に引きしか信濃の真弓


023:うさぎ
雑音の多き大地を一蹴しうさぎは何を夜に響かせる


024:チョコレート
くれないの空のギブミーチョコレート 見栄は捨てたと目を伏せし父


025:泳
冬ざれにかたく凍れる娑羅の枝(え)の間を泳ぐ黄のちぎれ雲

「題詠マラソン2005」 (016~020)

2005年03月18日 03時57分46秒 | 題詠マラソン
016:たそがれ
雲海のたそがれ明日は何が来るしろき凡下の花散らしつつ


017:陸
大陸の匂い孕んだ風が今そっと娘の髪を梳きゆく


018:教室
教室のへのへのもへじ起きなさい春だ子供は一人もいない


019:アラビア
いにしえをゆるり湛えるアラビアに流砂のごとき悲しみの在り


020:楽
悲しみが悲しみを呼ぶ寒の夜はいのち継がない快楽(けらく)に落ちる

「題詠マラソン2005」 (011~015) 

2005年03月18日 03時55分21秒 | 題詠マラソン
011:都
「お客様の都合により・・・」と悪友の金欠病を伝えるDocomo


012:メガホン
メガホンを逆さにあてて呟けば妬心やさしくデクレッシェンド


013:焦
焦がれては反古にせし恋そのままのおぼろさに咲く桜 さくらは


014:主義
今の無と劫初の無との差は何だ三無主義者の無聊なる日々


015:友
友達という曖昧な位置づけがちょっと不満な夜の帰り道

「題詠マラソン2005」 (006~010) 

2005年03月18日 03時51分27秒 | 題詠マラソン
006:時
「別れよう」・・・か?って言い足す三秒の間(あい)に流れるうそうその時


007:発見
永遠に発見されぬ湖でふたりひとつの化石になろう


008:鞄
鞄から青鉛筆がとびだせば蘇るあの夏の日のif


009:眠
白昼の浅き眠りにみる夢はひかりの群れにまみれ哀しい


010:線路
うららかな線路の土手に築かれしたんぽぽぽぽぽ黄色帝国

「題詠マラソン2005」 (001~005)

2005年03月18日 03時42分24秒 | 題詠マラソン
001:声
ユリアヌスユリアヌスとぞ背を打つ刃のような月の夜の声


002:色
初夏の水平線にめぐり逢う海と空との似て非なる色


003:つぼみ
風吹けば風のかたちに傾いて空を見ている菜花のつぼみ


004:淡
さみどりの濃淡だけで描かれし森にジュラ紀の始祖鳥の声


005:サラダ
たっぷりと空気を抱いたサラダ菜のように育てるわが卵子たち