プラマイゼロ±

 某美少女戦士の内部戦士を中心に、原作、アニメ、実写、ミュージカル等問わず好き勝手にやってる創作、日記ブログです。

目的と手段

2014-04-07 23:59:56 | SS





 夕暮れの光がまともに差し込んで目が痛い。だが、それがまだ日が出ている時間であることとカーテンを閉めていないことを実感させられて、レイは唇を噛んだ。ボタンを外された制服が心許ない。首のすぐ下でふわふわと動く髪にくすぐられて落ち着かない。

 学校の帰り、家に寄らせてもらった。自分が会いたかったのか、向こうが自分に会いたがっていると感じたのか、それすらもはっきりしない。ただ、今、日も落ちない時間からまことの狼藉を許している自分がいるだけだ。

 ベッドで、ふたりで倒れ込んでいる。制服の前を開かれて、ブラジャーを押し上げられて、半端に脱がされた状態でまことに胸に吸い付かれている。
 情事というにはキスも愛撫も睦言もなかった。ただ、最初から、雰囲気に流されるようにベッドに転がったかと思うと、いきなり服を剥かれ乳首を舐められた。

 すでに尖った乳首を、ゆるく唇がはさむ。くすぐったくて身をよじりたくなってもまことがしっかり腰を抱き込んでいた。舌先でつつかれる。形を確認するように、静かに這い回る。

 まことがなにがしたいのか、自分がなにをされているのかもレイにはよくわからない。スキンシップというには度が過ぎているし、かといってはっきりと睦み合っているいるわけでもない。情欲や熱といったわかりやすいものをまことから感じない。そのくせ、決して冷たい感情を抱えているわけでもない。

 甘く、吸われる。激しいものではない。あたたかいものに浸される感覚。

 下腹部がゆるく熱を持って、もどかしい。背骨が痺れる感覚に耐えて、足の指にぎゅっと力を込める。文句以外の音が口から溢れることが怖くて、レイは呼吸すら飲み込むように歯を食いしばる。
 力で勝てないのは重々承知しているが、そんなあきらめの境地に立っているわけでもない。かといって積極的に受け入れるには、あまりにもまだ理性が残りすぎている。まことのほうにもだ。

「・・・・・・・・・」

 まことの仕草は少しも乱暴ではない。レイが明確に拒絶をすればおそらく離れてくれるだろう。だが、それは解決ではない。まことの心が見えなくて、それでも、決してひどいことをしようとしているわけではない様子にレイは混乱していた。

 ただ、怖くはない。相手がまことだからだ。だからわけがわからなくてももどかしくても、まだこうしていられる。

 ただ乳首だけをいじりまわして、それからなにをする気なのか、それともなにもする気がないのかもしれない。まことは本当にそれ以上のことをしようとしないままそうしている。いっそ抱くなら抱けばいいのに、と言いたくてもレイは言えなかった。ただ口をつぐんで、制服越しにまことの背中に爪を立てて耐える。

「・・・っ」

 少し強めに、ちゅう、と音を立てて吸われる。それで微かに漏れた声がかき消されたかもしれない。だが、声を漏らしてしまった不覚にレイの体の熱が一気に上がる。乳首が殊更に尖る感覚。
 乳首を通じて、まことの唇の熱が下腹部に堆積していく。足の間がずきずきと脈打って、下着が濡れる。もうたまらなくなってレイは更に身をよじろうとする。だが、のしかかったまことの体が妨害して、足を動かすことも出来ない。

 まことの心を探りたくても、レイの心のほうが乱れていく。ぬるぬるとあたたかく濡れる乳首が、時間をかけて愛撫を受けて敏感になっていく。乳首だけの行為が、ただもどかしいだけだったのに。
 まことから落ちる髪の毛が、素肌に触れて鳥肌が立つ。先端の窪みを丁寧に舌でなぞられる。心臓の鼓動に合わせて、下腹部の熱が膨らんでいく。愛撫を受けていない反対側の乳首にも触れてほしくてたまらなくなる。そちらも、赤く充血していやらしく存在を示していた。

 それでも、まことは変わらない。ただ、乳首を舐めている。いつもの行為と違い、同じ場所だけをひたすら愛撫しているというのがまことにとってどういう意図があるのかはわからないまでも、レイの体は確実に変化していた。

 もっともっと、愛撫が欲しくなるのは同じだ。いつもそうやってまことに、態度に出さなくてもねだる。まことも、いつもだったらレイの反応を引き出そうとさまざまな手を加えてくる。
 もう羞恥心を超えて、そろそろ、果てさせてほしいのも同じなのに。

「・・・っぅ、あ」

 行き場のない熱が体中に染みわたって脹れていく。もう、まことの心より、自分の肉体がわからない。
 レイは声を漏らす。まことの前髪の先が乳房にちくちく刺さってくすぐったいことや、かかる息が熱っぽいことや、そんなことが、もう、普段の愛撫と変わらないくらいに感じるほど体が敏感になっていく。まことが開こうとしてくれないからだが、勝手に開いていく。
 殊更、足の指を固く握りしめる。足の間が、なにもしていないのにひくひくと痙攣して熱い蜜を垂らす。まことの体の下で、背中が反る。

 声を出したことにまことが反応してくれたのかは、レイにはわからない。それでも、今まで舐めるだった乳首を、ようやく。

「あっ・・・」

 それはゆるかった。ほんとうにゆるくて、ここまで過敏になっていなければはっきりわからないほど優しい力で。

「・・・ぅ、う」

 噛まれた。乳首に噛み付かれた。舐めるから噛む、そんな、些細な変化だった。それでも、レイにとってはあまりにも大きな変化だった。まことの行為も、自分の肉体も。
 尖った固いものに挟まれて、今まで焦らしに焦らされた体に激流がほとばしる。電流を流されたような刺激にレイは喘いだ。直接愛撫を与えられているわけでもないのに足の間の熱が一気に弾けて、その落ち着かなさとかつてない感覚がたまらなくなって目をぎゅっとつぶった。

 それでも、真っ白になっていく頭に、どうしてもわからなかったものがふわりと浮かんでいた。







「・・・っは、あ」

 それからどれくらい経ったのか、そう意識したころには夕日はすっかり落ちていた。レイは思い出したように呼吸をする。むき出しで濡れた乳首が、蛍光灯の光を反射してぬらぬらと光っている。
 結局肝心の場所には触れてももらえないまま、レイは果ててしまった。自分の体の変化にも驚いたし、冷静になってみると頭も下着の中もぐしゃぐしゃで、情けないし泣きたくなる。走って逃げ出したかったが、体に力が入らない上未だにまことにのしかかられているので、どうにもならない。それに、未だに体が熱かった。

 ぱくぱくと金魚のように口を動かして、レイはなんとか空気を吸い込む。まことはなぜか、果てたわけでもないのにレイの体に顔を埋めたままぐったりしていた。ほんのり熱が残るその体を、非難の気持ちも込めて見つめると、まことはぽつりと言った。

「・・・おなか、すいたねえ」

 それはいつもの口調で。どこか独り言のような、同意を求めるような。

「なに、食べようか」

 この流れで言う言葉には聞こえなかったが、果てた瞬間、それこそいらないことを考えず思考回路が押し流された瞬間、むき出しになったレイの第六感に、まことのまとう気配がようやくはっきり流れ込んできた。そして、今のこの言葉。
 認めたくなかったけど、やはり認めざるを得ない。レイは呼吸を整えると、なんとか言葉を吐き出す。この状況で、もう羞恥もなにも、二の次だった。

「・・・・・・ま、こと」
「・・・ん?」
「・・・帰らない、わよ」

 はっと、ようやくまことの気配が尖った。曖昧に漂って、なにげなく愛撫をしていた時からようやく、まことの気配がはっきりする。あのときレイにはようやくわかって、でもやはりぼんやりしていた気配。

 まことは、レイに帰ってほしくなかったのだ。

 約束があるわけでもない。どうしてもそばにいてほしい理由はない。どうしても聞いてほしい話があるわけでも、こらえきれない悲しみがあるわけでも、耐えきれない熱を持て余しているわけでもない。明日も学校があるし、レイに帰らないで、という理由は、まことにはどこにもなかった。
 それでも、今日はまことはどうしてもレイに帰ってほしくなかったのだ。愛撫は、まことがレイをつなぎとめる手段であって、目的ではない。甘えるのが恐ろしく下手な彼女が起こした行動は、あまりにも遠まわしでわかりにくいもの。

 もしかして、あの時点でレイがあれ以上のことを自分でねだったら、ちゃんと最後まで抱いてほしいとねだったら、まことはきちんと抱いてくれたのかもしれない。でも、そのままだったら、まことの心は見えず、ただ自分が欲望に押し流されていたのかもしれない。まこともまさか、レイがあれだけで果てるとは思っていなかったのだろう。次の展開をレイに任せる形で、まことはレイをつなぎ止めようとしていた。

 それがわかって、レイは怒るべきなのかもしれなかったし、咎めるべきなのかもしれなかった。こんなことをされてまでここにいる理由はないと、突っぱねることは可能だったのに。

「・・・うん」

 少し困った顔をして、そのあと、ようやく、まことがほころんだ。
 素直に最初からそうやって甘えればいいのに、まことはしない。拒絶を怖れているにしたって、もっと方法があるだろうから、ほんとうに深い意味はなかったのかもしれない。手段のための愛撫と言っても、本気ならもう少し。できるなら、もっと。

「・・・あと、寝かさない、から」

 こんなわかりにくいわがままを、笑顔で受け入れられるほどレイは甘くない。
 甘やかすのは嫌いだが、甘えてくれるのは嫌いじゃないことをわかってほしいのに。家に帰る手段をつぶさなくても、もっと、素直に。まことをこんな風に受け入れることが自分にだけしかできないという自負はあっても、こうやってちゃんとまことの心を察するには、まだ時間がかかるから。

 ほんとうに必要なときはそばにいるから、信じてほしいのに。

「・・・・・・・・・」

 だが、レイもまた、肝心なことは言わない。言わないでも、わかってほしいから。 

 まだ気怠い熱が残る体をなんとか起こして、レイはまことを下に敷く。まことの体が、少しだけ熱い。

 まことにとっては手段かもしれないが、レイにとっては十分すぎる目的だ。誘ったのならそのつもりでいてほしい。

 まことは、意外なことをされた、とでも言いたげにきょとんとした顔をしていたが、なにも言わなかった。黙って少しだけ首をもたげるようにして、片手でレイの頬に触れると、静かに触れるだけのキスをした。
 そのキスはあまりにも自然で、なんの気負いも感じさせなくて、色っぽくも熱っぽくもないもの。だがそれが却ってレイの理性を揺るがした。まことがほんの少し動いたことで微かに軋むベッドの音が、先ほどの愛撫よりも卑猥だ。
 頭も体もぐしゃぐしゃだ。だから深いことは考えない。まことが望むようにここにいて、ここにいるのなら自分のしたいことをする。一度果てたことによって敏感になって、それでも触れ合っていない体によけいにせつなさが募る。もっと、欲しい。

「・・・レイ、カーテン閉めてよ」
「先に閉めときなさいよ」

 本気でねだってる様子もない声で、まことは言った。レイも、配置的にカーテンを閉めなくても外から見えないことは知っている。むしろ、まことがこんな風に普通に会話を取り戻したことのほうが安心していた。レイが帰らないと知って、ようやく安心したのだろう。下から、やわらかな目つきで見上げてくる。

 どうしてくれようか。

 自分以上に素直じゃない彼女を、レイは見下ろす。夜はまだ長いからこそ、体を開いて、じっくり心まで触れたい。間に挟まるものはなにもかも邪魔で、レイは手始めに、目先のまことの制服のリボンをほどいた。




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 ゆるえろとまこちゃん攻めに見せかけて誘い受けとか書きたかったんですすみません(土下座)
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