鍋

　キッチン用品売り場。




「さて、買おうか、買うまいか・・・悩むなー」
「なにを？」
「鍋。手ごろなのが欲しいんだけどなー・・・レイ、どう思う？」
「どう思うって・・・大体、鍋って、どんな？まことの家、結構そろってるじゃない」
「調理用の鍋は、不自由しない程度にはそろってるんだけどねぇ。まあ圧力鍋とか中華鍋とか、ほんと欲しいのあげていけばきりないんだけどさ・・・高いんだよなぁ。安いだけのしょうもないの買って失敗したら悔しいし。なにより場所取るし・・・あー悩むなぁ」
「・・・あなたの好きにしたらいいでしょ。あなたのなんだから」
「そうなんだけど、人の意見も聞きたいじゃないか」
「だから、あなたの好きにすればいいっていうのが私の意見よ」
「もうちょっと関心持ってほしいなぁレイだって関係ないことないんだから」
「・・・どういう意味よ？」
「べーつーにー。あ、鍋と言えば、調理用じゃなくて、鍋物食べるための土鍋も欲しいんだよね。冬だと鍋つい食べたくなって」
「土鍋？あなた持ってなかったっけ？」
「一人用のならね。みんなで食べるときは金属の出すし」
「あるんじゃない」
「だから、土鍋で、二人用くらいのがそろそろ欲しくなってね。あ、これは買うつもりだから」
「・・・・・・・・・・・・・・・‥‥‥‥‥」
「でもそんなの一人で使ったら食べ過ぎちゃいそうだな。太るのも嫌だけど、これ以上縦に大きくなっても困るし」
「・・・それ、いるの？」
「いるんだよ。ただ、一人で使うと困るんだけど。だから、寒い日誰か一緒に鍋つついてくれたらちょうどいいんだけどなー」
「・・・買うのやめたらいいでしょ。必要ないわ。お金もったいないし」
「・・・・・・なんだよ」
「だから・・・鍋食べたいんならうちにくればいいでしょ。土鍋くらいならあるし・・・それに圧力鍋と中華鍋だってうちなら置く場所あるわよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・‥‥‥・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・なによその顔は。言いたいことがあるなら言いなさいよ」
「そういうことはちゃんとあたしの目を見て言ってほしかったなぁ」
「お互い様でしょ」
「でも土鍋は買うから。圧力鍋と中華鍋はいいの見つかったら買って持ってく」
「だから好きにしたらいいでしょ」









「キッチン用品売り場ってキッチンバサミとか包丁とか目に入るところにあって危険よねぇ。ショーケースに入ってなかったら刺身包丁ひっつかんであのリア充バカップルに襲いかかるところだわ・・・ねえ亜美ちゃんフヒヒ」
「美奈・・・目以外の場所で笑うのやめて。そしてそれを聞かされてる私は笑えないわ」
「じゃあ怒るわよっ！なんなのよあの二人！中学生があんな結婚間近のカップルみたいな会話していいと思ってんの！？不純だわ！不純！」
「だからってあなたが怒ることじゃないでしょう・・・」
「あたしだってあんなラブラブな会話したいのに・・・亜美ちゃんがふがいないからついリア充どもに憎しみが・・・亜美ちゃんが・・・あみちゃんのせいでぇぇ」
「わ、私が悪いの・・・？なんで・・・？」
「あなたがもうちょっと頑張ってくれたらあたしだって心穏やかでいられるのに・・・ぐずっ。あの二人の半分でもいいから頑張ってよう・・・」
「え、えっと、あの二人の半分って言ったら・・・じゃあ一人分の土鍋をあなたにプレゼントしたら・・・いいかしら？」
「そういう半分じゃないわよ！！！実家住まいのあたしが一人用鍋もらって心満たされるわけないでしょこのすっとぼけ！！！」








　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


　内部と鍋をつつきたいです(報告)
　木野家のキッチン道具事情がかなり気になります。火野家と水野家もそれぞれ気になりますが。