栄養ドリンク

「まこちゃん！聞いてほしいことがあるの！」
「うえっ！？なんだよ美奈、藪から棒に」
「夏の初体験をね…聞いてもらおうと思ってね…」
「な、夏の初体験って…なにごとだよ？」
「なにごとだよって…ぴちぴちフレッシュの１６歳が夏の扉を開けて初体験するっつったらひとつよ」
「…バイクの免許でもとったのか？」
「はいはい亜美ちゃんみたいなすっとぼけはよしましょう。まあ初体験つっても初めてなのは亜美ちゃんで、あたしは亜美ちゃんの導いただけだけどね～」
「ええっ！？」
「経験豊富なあたしがリードしてあげたのよ…亜美ちゃんてばヘタレだから」
「おお…はぁ～…つ、ついにか。ついに亜美ちゃんも陥落したのか…いつ来るかいつ来るかとは思いつつ、なんかわがことのように衝撃だな…」
「それはちょちょいっと頭を使ってね…亜美ちゃんを家に呼んで、飲み物にきつめの栄養ドリンクを混ぜてね…」
「一服盛ったのか！？」
「人聞きの悪いこと言わないでよ！ヘタレな亜美ちゃんに些細なきっかけを与えて背中を押したのよ」
「まぁ…その気持ちも分からないでもないけどなぁ…」
「成人男性向けの結構きついやつだったから、亜美ちゃんもみるみる燃え上がっちゃってねぇ。冷房効いた部屋なのに汗かいてきて、顔真っ赤になって、だんだん息も荒くなって…だんだん落ち着かなくなってもそもそしててかわいかったのよねぇ…ふふ」
「へぇ～…」
「そこであたしがちょっと声かけたらもう一発よ。自分から覚悟決めて立ち上がってあたしを誘って………白いシーツの上で…最初は緊張で身を堅くしてたけど、ぎゅって手を握ってあげたらやっと腹食ってくれてねぇ」
「それを言うなら腹くくって、だろ。しっかし…ほぉ～…あみちゃん」
「で、まぁ、ちょーっと血も出ちゃったけど…それでも終わったらすごいすっきりした落ち着いた顔で、思い切ってできてよかったって言ってくれてえぇ…ふふふ、導いた甲斐があったってもんだわ」
「ああ…なんかおめでとう、でいいのかな」
「ふふふ…ふ…ブワッ」
「ど、どうした美奈！？感極まったのか！？」
「いいのよ…あみちゃんが残念な人なのはわかってたし…別に今更…正義の味方としては…歓迎すべき事態だし…ウウッ」
「…………え？あの…ベッドインしたんじゃないのか？」
「栄養ドリンク盛って亜美ちゃんがハァハァいうとこまではそのつもりだったのに…あたしはそのつもりだったのに…」
「だめだったのか？え、じゃあ、白いシーツとか血が出たって言うのは」
「血潮が真っ赤に燃えてるから…１６歳だし、経験しておかないとって亜美ちゃん燃えちゃって…経験済みのあたし連れて……献血…」
「白いシーツに出血に１６歳の夏の初体験で、献血か………恐ろしいくらい健全なカップルだな」
「もう…いや…あんな残念な人…うわぁぁぁぁ」
「…おお、よしよし。結局誰かの役に立ってるんだし…」
「だからってっ…なんであたしを目の前にして燃えるパッションを献血に向けちゃうのよ…」
「やっぱ栄養ドリンクじゃぁダメってことだよ」
「うぅ…ダース買いしたのに…効能期待してたのに亜美ちゃんの頭が残念だから」
「その努力そのものはいつか報われるよ…たぶん。しかし献血ってそんな…効果があるんだな…」











「なぁレイ、あたしらもたまには……その、献血、行かないか？」
「なにまこと、急に、献血って？」
「あ、ほら、正義の味方だし、人の役に立つことできる範囲でって思ったんだ。特にＡＢ型は少ないみたいだし」
「それは別にいいけど…わざわざどうしたのよ？」
「あ、いや、べ、別に今のままのレイでいいんだけど！ただ…ちょっとは血の気が薄くなってくれたほうが…あ、いや、全然いやとかじゃないんだけど！別にあたしはいいんだけど、ちょっと血を抜いたら色々軽くなって楽になるんじゃないかってちょっと思って」
「(まことが何言ってるのかわからないけどなんかすごくダメ出しされてる気がする…)」





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　レイちゃんは血の気多いタイプと思います。
　献血って１６歳からでした…よね。体重制限もあったはず(ていうかイギリス行った人って献血ダメじゃなかったっけ…)

　軽くお久しぶりになってしまった。私も栄養ドリンク飲んで頑張ります…