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このごろ老人や子供の誘拐・殺傷・強盗など痛ましい世の中。警察も不祥事。どうしたらいいんでしょう?

障害者自立支援法

2005-05-08 22:36:34 | Weblog
障害者自立支援法というのが国会に上程されている。障害者が自立するのを助ける法律なんだな、と言うイメージを与えるこの法律、とんでもない内容である。

応能負担と言うことで今は無料で受けられているサービスがすべて有料となるのである。「だからできることを増やそう」と、障害者の尻をたたき、結果として自分でできることを増やしていくという算段らしい。

これはいかにも健常者が頭で考えただけのものだ。例えばALSという全身の筋肉が衰えていくという障害がある。呼吸器をつけなければ生きていくことができなくなる。呼吸器は今、無料で提供されている。この法律によれば、結果として本人が筋肉を使うことを怠けているのだから、その怠け心をなくさせるために有料にしよう、と言うのと同じなのである。

先天的に障害を持って生まれてくる子供もいる。それを社会全体の負担で育てていこう、と言うのがこれまでのやり方だった。社会保障費をどこにどう使ったかはともかく、これからは財源がなければサービスができない、という論理を旗印に、ともかく金を出せ、と言うわけだ。

障害を持つ人は自身の移動さえままならない場合がある。これを手伝ってもらうのにも金を払え、呼吸するにも金を払え、と言っているのと同じである。基本的人権(生存権)の否定ではないか。しかも生計を一にするものにまとめて「これだけ払え」というのである。裕福な家庭でなければ障害者を生活させられなくなる。

障害者は就労率も、また給与も著しく低い。何らかの支援を必要とする。しかし健常でも何の支援もなしに生きている人があるだろうか。人が生きていくのに一番必要なものは「希望」ではないか。それを奪うような法律なのである。「世界への貢献」を背景に安保理常任理事国を目指す国は、自国の弱者を切り捨てるのか?それが何の「安全」「保障」なのだろう?