初日前から、「行くぞ~、観に行くぞ~」と叫び続けていたトニー・ガトリフ監督の『トランシルヴァニア』。
試写会もタイミングが合わなくて行けなかったので、垂涎ものでした。
そして、結局観たには、公開から1ヶ月半後
青山のシアター・イメージフォーラム。
ここ、いいラインナップの映画をやってます(^_^)v
全国順次公開中 配給:日本スカイウェイ n.s.w.
2006年カンヌ国際映画祭クロージング作品として
いち早く世界に向けて公開され話題となった映画です。
日本公開まで長かったねぇ。
今回、ガトルフ監督作として初めての女性主人公という設定。
急に行方知れずになった恋人を追って
トランシルヴァニアにやってきたのがヒロインのジンガリナ(アーシア・アルジェント)。
やっとの想いで恋人を見つけたものの、ジンガリナは遊ばれていたんだね。
見事に醒め切った彼と再会します。
この彼氏、B型?(笑)。
ジンガリナがこれほど夢中になっちゃう程なんだから、
それはそれは、甘い言葉と愛を示したんでしょうね。
その瞬間は、本気だったんだろうか。
そして……、ただ醒めたのでしょうか。
最初から遊びだったのかな。
まぁ、そんな事は本作とは関係ないんですが^_^;
ジンガリナは「逢いたい!逢いたい!」っていう一途な気持ちで
はるばるやってきたというのに、想いの全てを断ち切られてしまう訳です。
だけど、彼女は彼氏の子を身ごもっている……。
恋する女の炎のような情熱の果てに残ったのは、、燃えかすのジンガリナ。
一緒について来てくれた親友のマリーとも別れて一人見知らぬ街を放浪するジンガリナと
出逢ったのが、チャンガロ(ビロル・ユーネル)。
その日暮らしの古物商のチャンガロとジンガリナは一緒に旅をする事になりますが
身体の中に悪魔がいると思い込んでいるジンガリナにチャンガロは悪魔祓いの
儀式を受けさせます。
この辺りで、ジンガリナが変わり始める。
悪魔……。
それって、人を愛する気持ち?。
自我?
それとも身ごもった「命」を抱えた脅威なのでしょうか。
儀式後、まるでロマ(ジプシーの意)のような服を着て、奔放に振舞うジンガリナ。
その彼女と争いながらも見守るチャンガロ。
やがてジンガリナは産気づき……。
『トランシルヴァニア』は、ガトリフならではのロードムービーです。
そして、本作ではガトリフが映画監督としてこなれてきた感がします。
その分、わかりやすく出来てるし、『映画っぽい』。
だからこそ、過去の作品が懐かしい^_^;
前作の『愛より強い旅』では、突然のガトリフならではの音楽の洪水と
ロマン・デュリスの全裸という衝撃というオープニングでしたが
今回は乾いた異国、トランシルヴァニアの街をカメラと音楽が駆け抜けるという
スタートになっています。
ガトリフ映画の特長というべきは、素人満載キャスティングですが
今回は主要人物の俳優の個性がより強く出ていて、
とてもクリエイティブな感じがしました。
映画の見所は、なんといってもジンガリナを演じたアーシア・アルジェントの魅力とインパクトでしょう。
一人の女が成長していく、と書くと気恥ずかしい気がしますが
彼女の身に起こった出来事、心の葛藤の山を幾つも上り下りした
ジンガリナという「女」の性の強さを見せつけられます。
ジンガリナが自分のお腹のイレズミ(アーシアの自前)の上に胎児の絵を描くシーン。
手の平に目を描き、かざすシーン。
演じたアーシアならではの迫力を感じますし、移りゆく彼女の表情も見事。
そして、チャンガロを演じたビロル・ユーネル。
スチールを見るだけだと、ムッサいオッサンだったんですが映画で観ると
なんだかステキです(爆)。
一人、自由に生きてきたチャンガロは、突然、いまだかつてないインパクトを持った
ジンガリナという女に出逢って、彼の心に葛藤が生まれ、変化していきます。
後半、苦悩するチャンガロが楽士を雇って、酒におぼれ音楽に救いを求めるのですが
楽士たちは「音楽は生きるための力だ。苦しむためじゃない」と言い捨て去って行くシーンがあります。
この言葉、印象的でした。
ロマの身体の中に血のように流れる音楽。
そして、その音楽と映画が一体となったガトリフ作品ならではの実感溢れる台詞でした。
さて、この『トランシルヴァニア』、まだまだ全国順次公開中です。
お近くで上演の際は、ぜひとも映画館にお運びください。
尚、OSTは絶賛発売中!
12月7日にはDVDが発売されますよ~。
オマケにガトリフの日本初公開作品『ガスパール~君と過ごした季節』もDVD化!
ガトリフコレクターの私ですが、
ガスパールはビデオのみ発売で、ビデオでしか持ってなかったんです。
予約しなくちゃ!!
それにしても前作『愛より強い旅』は、いつ発売されるんでしょう。
求む!、DVD化!!
『トランシルバニア』
http://www.net-broadway.com/nsw/cine/transylvania/
監督・脚本:トニー・ガトリフ
出演:アーシア・アルジェント、アミラ・カサール、ビロル・ユーネル
配給:日本スカイウェイ n.s.w.
2006年カンヌ国際映画祭クロージング作品
2006年/フランス/カラー/シネマスコープ/102分
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真葛@泉美咲月