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僕&macbexとIFの世界

小説や遊戯王(インフェルニティ)や日常の事などを雑記していきます。

ジムノペディ

2012-10-22 08:07:24 | 小説
ジムノペディ

「消えたい」
 それは酷く端的で直球な欲求だった。彼の持つシャーペンの先はノートに突き刺さり、砕けた芯は対人地雷の痕跡を思わせた。彼が書いた力のない数字達は、文系志望の僕には意味を持たない羅列にしか見えなくて、7の形なんかは体を折るようにして死んだ兵士の亡骸のように見えた。
 ラ変活用をノートに写しながら「皆、そう思ってる」と言い返す。しまった、これじゃあ僕も彼の意見に賛成しているみたいじゃないか。今のはあくまでも一般論として述べただけで僕個人の主張ではない。後からそう付け足した。
 彼のしなやかで美しい指の間から、シャーペンが零れた。転がるシャーペンはノートの渓谷に挟まりフィヨルドとなって机から滑り落ちる。その間わずか四秒。
 何をしようというのか、彼は立ち上がりこの図書館でせっせとシャーペンを動かす受験生の集団を睥睨する。彼らは一人の高校生によって睨まれていることなど気にもとめず、三十行の横線が入ったA四ノートに黒炭をこすりつけていた。
 ノートと彼。二つ同時に見ることはできないので、僕はノートを閉じると、久しぶりの背もたれの感覚を味わった。ギィィと音が鳴り、僕は浮き砲台がゆっくりと敵艦目がけて筒をもたげる姿を想像した。砲台は何を狙っているのだろう。
「でも、本気でそう思ってるのは俺くらいだ」
「皆そう思ってるよ」
 彼はどっかりと椅子に腰を下ろすと、「だから文系は嫌いなんだよ。理屈っぽくて」と吐き捨てるように言った。
 それから彼は急に静かになって、がっちりと組んだ手に視線を落とす。まるで黙祷でも捧げるみたいに。
 ノートに散った芯。
 床に転がるシャーペン。
 祈る彼。
 その三つには何らかの共通点があるような気がしたが、答があるかも分からない問題に頭を使うよりは、奥の細道の読解を進めたほうが利口だと判断して、栞代わりにしていたシャーペンをノートから引き抜いた。
 窓の外はすっかり暗くなっていて、はらはらと雪なんて降っていた。芭蕉が見たら一句ひねりそうなほど幻想的な光景だ。でも、この図書室の中は暑いくらいで、僕は外の世界と自分たちが置かれている状況に、ギャップを感じざるを得なかった。
 朝、慶應義塾卒の石原良純は「今日は傘をお持ちになったほうが良いと思います」と自信有り気に語っていて、僕はそれを見ながら、どうせまた外れるんだろうなんて思いながらトーストをかじっていた。
「曲とぴったりな窓景だな」
 どうやら彼は僕の視線を辿ったらしい。館内にはとても小さにボリュームでピアノ音が流れていた。どこかで聞いたことはあるけれど、タイトルは分からない。そんな曲だった。
「サティだよ」
「スーパーの?」
 彼は無言で僕のことを睨んだ後「エリック・サティ」と言った。そして、まだわからない僕のために「作曲家」と付け足した。
「ジムノペディは三番まであるんだが、それぞれテーマがあるんだ。これはその三番」
「どういうテーマなんだ?」
「ゆっくりと厳かに」

 図書館が閉まるのは午後六時四十五分。どうしてこんな中途半端な時間なのかというと、十五分の間に図書館の職員達が粘り続ける受験生を追い出すからだ。実際に扉がロックされるのはきっかり七時。
 僕たちは似たようなバッグパックを背負って図書館を出る。駐輪場には僕達の他に十人ほど高校生がいて、彼らはまるで見知らぬ人間の葬儀会場に紛れ込んでしまった人のように、よそよそしい態度で駐輪場を出て行った。その鬱々とした空気は、僕だけが感じていたものではないのだ。小走りで散っていく彼らの後ろ姿を見れば、それが理解できる。まるでよく訓練されたパルチザンのようだった。
 誰もいなくなった駐輪場には、僕と彼の自転車が一つずつ置かれている。ちょっとした距離を保って、遠からず、近からず。でも、どちらが前というわけではなく、カゴの位置は同じくらい。それを見ていると、僕はただ安心できた。
 クラシックに降り続ける雪のせいだろうか。僕は自転車を押すのを止めて、空を見上げた。鈍色の空は使い古した消しゴムのようにくすんでいる。雪は積もる気配を見せず、地面に激突すると機体も残さずに消えた。
「なにぼーっとしてんだ?」
 そう指摘されて、恥ずかしさから「首が疲れたからさ」と誤魔化した。
「俺はてっきり空にB29の編隊でも探してんのかと思ったよ」
 彼はこちらには目もくれず自転車を転がしながら言う。僕は誰にも見られていないことを知りつつも肩をすくめて、すぐに追いついた。
 僕たちは少しだけ周り道をして帰ることにする。それは、どちらが率先したというわけではなく、自然とそうなってしまっただけだ。僕たちはほんのニ週間前、一緒に塾を飛び出した。……いや、一緒と言うのは語弊がある。彼が最初に飛び出して、僕も追いかけるように退塾した。このまま真っ直ぐ帰ると、必ず塾の前を通ることになってしまう。それはなんだか気不味くて、こうして遠回りをすることにしたのだ。
 お前まで辞めなくてよかったのに。彼はそう言うけど、僕だって何の決意もなく退塾届けを提出したわけじゃない。僕は僕の意思の下、塾長の机を叩いたのだ。
「今なにか聞こえなかったか?」
 彼の幻聴は最早日常茶飯事と化していたので、僕はまともに取り合わずひらひらと手を振った。だが今回の彼は頑固だった。確かにピアノの音がすると言い出して、自転車のスタンドを下げたのだ。
 ため息を吐いて、僕も自転車を止める。ここは舗装されていない砂利道で、両脇を深い林が囲っている。辺りに民家はなく、ピアノの音なぞ聞こえるはずがない。だが彼の言葉に従って耳をすますと、確かにどこからか音が聞こえた。そしてそれは、僕が正気なのならば、ピアノの音だった。
 何が彼を駆り立てるのか分からないが、彼は自転車を道の隅に寄せると、音に導かれて林の中へ入っていった。幾本もの杉の木には、まるで粉砂糖のような雪が積もっていて、土は少しだけぬかるんでいた。
 当たり前のように彼の後を付いて行っている自分に嫌気がさす。僕たちはつい先日知り合ったばかりで、一緒に勉強するとき以外は連絡も取らないし会うこともない。街ですれ違っても、軽く会釈するくらいで別れるだろう。僕達の関係とはつまり、装甲兵員輸送車で偶然隣に座ってしまった兵士くらいの交わりだった。それなのに僕は彼の足跡を辿るように日々の生活を送り始めていた。
 彼は僕のことなんかお構いなしに、ずんずん進んでいく。そして、打ち捨てられた古いビルを発見すると、その中へ入った。こう言った建物は、この街では別段珍しくない。バブル時に街開発が行われた為、ビルを建てたは良いもののテナントが入らず、挙句、バブル崩壊によって維持もできなくなった。こんな具合だ。ここもその一つなのだろう。
 浮浪者が住んでいる可能性があるから、近づいてはいけないと小学校から教えられていたので、中まで入る気にはなれず、入り口から彼のことを呼んだ。いつの間にか、ピアノの音は止んでいた。
「なあ、ちょっと見てみろよ」
 僕の制止には耳も貸さず、彼は興奮した声色でそう言った。ビルの中は薄暗く、一部、崩壊した壁から月明かりが差し込んでいた。それは中に埋め込まれた鉄筋によって碁盤状になっている。そして、その光が映し出すのは一台のアップライトピアノだった。琥珀色のボディはまるで鼈甲のように澄み切っていて、放置の年齢を感じさせない威厳があった。それは人によって打ち捨てられたというよりも、あるべき場所に還って来たかのように見えた。
 辺りは廃材や朽ちたコンクリートの破片によって雑然としているのにもかかわらず、そのピアノの周りだけは見えない力によって異物が介入できないようになっているみたいだった。
 漠然とした恐怖をそのピアノに感じて、僕は彼の服を掴んで
「もう満足しただろう? 早く帰ろう」
 と促した。ピアノの音が聞こえたということは、別の誰かがここに居るということだ。その誰かは、今も物陰から僕達を伺っているかも知れない。彼は魅入られたように「音、鳴るかな」と言ってそれに近寄っていく。そして鍵盤蓋の上を人差し指でなぞり、両手を使って、まるで棺桶を開ける葬儀屋のように粛々とその蓋をとった。
 真珠のように美しい盤が妖艶に輝き、彼はその上に静かに手を載せて、叩いた。部屋の中に憂いを孕んだ微かな音が響く。それは緊張していた気持ちをほぐすような優しい音色だった。
「やっぱり大分乱れてるな」
 訝しげに彼を見て「そんな事分かるの?」と訊く。
「アップライトピアノはハンマーの動きが劣化しやすいから仕方ないんだよ。俺は調律なんて出来ないし、チューニングハンマーも持ってないから直すことは出来ないな」
「……ピアノ、やってたんだ」
「つい一ヶ月前までな」
 彼は、まるで何十年も前のことを思い出すかのように遠い眼をする。
 部屋の隅にあった脚立をピアノの前まで移動して、彼はそこに腰掛けた。そしてひと通り音を確認し終えると、「まだ辛うじて弾けそうだ」と呟いた。僕は慌てて「まさかここで演奏するのか?」と訊く。一ヶ月までやっていたのならば、ピアノを弾ける場所はここ以外にもいくらでもあるだろう。わざわざ狂ったピアノで演奏することはない。
「少しだけでいいから弾かせてくれよ。五分も掛からないから」
「僕は別に構わないけど……」
 そう言って、僕は袋詰めのコンクリートに腰を下ろした。背負っていたバックを足元に置き、鍵盤の上に手を這わせる彼を眩しげに眺める。暫く、人工的な沈黙が続いた後、おもむろに一つの鍵が叩かれた。
 それはとてもゆったりとした曲で、まるで雨音のようにぽつりぽつりと音が落ちてきた。僕はそれを鼓膜の盆で一つ一つ拾っていく。これは、図書館で聞いた曲ととても良く似ていた。でも細部が違っている。よく聴かなきゃわからないくらい微妙に。
 緩慢なテンポは、時間さえも巻き込んでスピードを弱めているように感じられた。どれくらい聴き続けているのか分からなくなった頃、まるで扉が閉められたかのように唐突に音は死んだ。
 彼は先ほどとは比べものにならないくらい乱暴に蓋を閉めると、足元に置いたままになっていた鞄を背負い、足早に歩き出す。僕は慌てて彼の後を追った。不思議と気持ちは昂っていて、「凄い上手かった」と素直に賞賛した。
「あれは図書館のと同じ曲? でも、少し違ってるような気がしたよ」
「図書館のは三番、今のは一番。同じジムノペディだけど、テーマが違うのさ」
「どういうテーマ?」
 彼は自転車のスタンドをあげながら、ぽつりと「ゆっくりと、悩める如く」呟いた。

 家に戻ると、母が酷く慌てた様子で出迎えた。
 彼女が持っていたA4の封筒には、赤赤と「合格書在中」と書かれていた。
 しばらく、それが何を意味するのかわからなかったが、運試しとばかりに推薦を受けていたことを思い出し、合点がいった。どうやら、書類審査で受かってしまったようだった。軽い気持ちで提出した物だっただけに、実感はなく、お祝いしなければと息巻く母が遠い存在に感じられた。
 そうか、僕はもう受験生ではないのか。
 それに気付いたとき、腰から力が抜けて玄関に座り込んでしまった。やっとこの鬱々とした日々から開放される。それはあまりにも突然に訪れた、終戦宣言だった。
 だが一度安堵が終わると、影のような罪悪感が僕を襲った。頭から離れないのは、僕の目の前で勉強する彼の姿だった。彼はまだ戦場にいて、僕だけが悠々と安全な場所へ帰る。そこに僕は大きな「理不尽」を垣間見たのだった。
「塾の方にも電話しなさいよ。お世話になったんだから」
と母は言ったが、今の僕はそれどころではなかった。

一ヶ月ほど前の話だ。
 塾のガイダンスは二時間の予定でスタートした。百数名の受講生がパイプ椅子に並べられて、塾長のありがたいお言葉や、受験に取り組む姿勢について聞くことになっていた。
 塾長はしきりに「受験はチーム戦であり、同じ塾生と助け合う事が合格の鍵」と強調した。でも、僕は彼の言っていることは綺麗事だと思っていた。いくら統計や心理的根拠を示されようとも、僕の考えが変わることはない。
 ――受験は戦争だ!
 受験とはつまり、如何にして他人を蹴落とすかに収束する。そのために勉強をして、蹴落とす術を身につける。仲間なんて不必要だ。だから、僕はそれから三十分にも及ぶ彼の熱弁を、聞くでもなく聞き流していた。そして、塾長が「何か質問は?」と尋ねたとき、ああ、やっと終わるのかと手放しかけていた意識を手繰り寄せた。
 誰かが手を挙げた。僕の右斜め前に座っていた男だ。彼は学ぶ舎こそ一緒だが、受講時間や受講内容が違うため、時々自習室ですれ違う程度の間柄だった。今まで話したこともないし、名前も知らない。何を言い出すのだろうと、不思議に思っていると、彼はぴしゃりと
「受験は一人(ソロ)で行うものです」
 と断言した。
 空気が凍るとはつまり、こう言うことを言うのだろう。塾長の話はさらに三十分伸びて、彼は起立したまま説教させられた。でも、僕は彼の言ったことはもっともだと思ったし、カッコイイとも思ってしまった。
 数日後、風の噂であの馬鹿者が退塾したと訊いた。そして、近くの図書館で一人勉強していることも。それを訊いたとき、胸の中で燻っていた塾の方針への怒りが爆発し、受講時間を無視して退塾届けを作り、その日に出してしまった。当然親には怒られたが、心は清々しい気持ちでいっぱいだった。
 一体彼はどういうつもりであんな事を言ったのだろう。それはまだ聞けずにいる。
「何かあったのか?」
「え?」
 今まで順調に進んでいたシャーペンが突然動きを止めた。そして、頬杖をつく僕を彼は見る。
「さっきから全然進んでないみたいだし、体調でも悪いのかと思ったんだ」
 一瞬、大学に受かったことを看破されたのかと思った。焦って損したとばかりに溜息をつく。
「ちょっと前の事を思い出したんだよ。あの、塾のガイダンスの時のこと」
 ああ。と頷いて、彼は視線を白紙の海に落っことした。どうやら、その話はしたくないようだ。お互い、塾当時のことをタブー視している嫌いがあったから、今回も深く言及するようなことはなかった。
 僕は受験にはもう必要のない勉強をしながら、いつ受かったことを切りだそうか考えた。受験を個人戦と言い切るような男だ、意外に「ふーん。おめでと」と一言いって終わりかも知れない。だが逆に、もし大きく感情が揺れ動いたのだとしても、彼にはそういうポリシーがあるから、自分の動揺を誰にも――自分にさえ――悟られないよう振舞わなければならない。それは大きな心労として彼に振りかかるだろう。
 そう考えると、むしろ秘密のままの方が無難なのではないかとすら思えた。
 図書館には相変わらずジムノペディが掛かっていた。この曲の事を、僕はもう忘れないだろう。金曜ロードショーの予告に掛かっていたとしても、ジャスコの店内放送にかかっていたとしても、僕はこの曲を思い出すたびにこの図書館へ舞い戻るのだろう。そんな気がする。
「昔のことをふと思い出すことって、あるよな」
 まるで返事を期待していない言い方だった。いつもの僕ならば無駄口を叩いている暇があったらペンを動かせとばかりに無視するのだが、今日の僕にはゆとりがあった。そして彼の昔話に興味もあった。だから、それがいい結果をもたらさないことを知りつつも「何を思い出したんだ?」と訊いてしまった。
「推薦入試のこと」
「へぇ。受けてたんだ」
「まあね。つい一ヶ月くらい前まで、音大へAO入試で入ろうとしたんだ」
「……結果はどうだった?」
「四次選考で落とされた。すっかり受かる気でいたんだ。募集人数は十人、残っていたのは十二人。俺はその二人に選ばれたんだ」
 四次選考まで残ったことは凄いと思う。昨夜、ビルに放置されていたピアノで見せた絶技も納得だった。
「……俺は本当に落ちたのかな。今見ているのは、悪い夢じゃないよな?」
 彼はうつろな目でシャーペンの先を見つめながらそう呟いた。

「おめでとう」
 彼は自転車を押しながら僕にそういった。突然のことで動揺していると、彼は綺麗に笑って「受かったんだろう?」と言った。
 僕は割と上手く隠していたつもりだったし、そんな素振りはおくびにも出さなかったはずだ。だが、彼にはどうしてか看破されていた。こればっかりは彼の洞察力を褒めるしか無い。
 なんて言おう? 暫く迷う。本当のことを言うのなら、僕は彼に謝りたかった。先に戦線を離脱してしまったことを謝罪したかった。でも、それは現役で戦い続ける彼を侮辱するような気がして、声には出来なかった。僕が俯いていると、彼は僕の頭をぽんぽんと叩いて「そんな顔すんなよ。俺は本当にほっとしてんだよ」。
 喜ぼうにも、喜べない。僕はしばらく無言で彼の隣を歩いた。前に行ってしまわないよう、注意深く。だが、彼が急に足を止めてしまったことで、僕は少しだけ彼よりも前に出た。振り返り首を傾げると、彼はスタンドをおろしながら「ピアノ、見に行かないか?」と言った。その言葉には、確信めいた物が見て取れたので、僕は自分の自転車も立てつつ「止めたっていくんだろう」と返事した。
 僕たちは再びそのピアノに出会った。ここはいつも静寂に満ちていて、頬を切るような寒さが部外者を遠ざけようとしているみたいだった。彼は十分に指をほぐした後、脚立に腰掛けて蓋を開く。そして昨日と同じようにジムノペディを奏でる。だがそれは、以前耳にした一番とも、三番とも違う。僕は即座に、ああこれが二番なんだと気付いた。
 彼は理系の大学へ行くと言っていた。どうして音大を目指さないの? とは聞けなかった。その問いは彼の決意の前には何の意味もなさないと気付いていたからだ。こんなに美しい音色を奏でる指を、シャーペンのために使うのはあまりにも勿体無いような気がした。そして、僕一人の観客を前に披露するジムノペディ第二番も。
演奏し終えた後、彼はゆっくりと蓋を閉じて大きくため息を付いた。僕はひと通り拍手した後、ピアノの前から動かない彼に「二番のテーマはなんなんだ?」と尋ねる。
 彼はクスッと笑って脚立から飛び降りた。そして、鞄を背負った後「喜び、だよ」と答えた。


書き終えて一言
そろそろ新しい作品に取り掛かりたいので、
一度載せさせていただきます。

※本作品は部誌・冬号に載せるつもりなので、悪しからず。
もう1本書くかも。

小説・「ジムノペディ」完成

2012-10-20 22:27:06 | 小説
ふぅ、やっと終わった。
今回は七千文字くらいの短編でした。
今から再び見直しをするのですが、今回の作品は管理人の受験体験を元にしているので、
結構リアリティのある話が書けたかなーって感じがします。
それに、色々と遊び要素を入れられたのは良かったかな。
「読み応えのある小説」にはできたかなと個人的に思ってる。
ブログでも公開するつもりです。その時はどうぞ感想をお願いしますm(--)m

人工羊 ②

2012-10-01 23:43:24 | 小説
終盤になってからもたついてます。
……ちょっと(IFの)研究の方に傾倒しすぎたかな?
この二日間遊戯王してばっかで、あんまり小説が進んでないんだよな……。
一旦作ってるデッキの方を封印して、今週は小説週間にしてみようかな。
早く人工羊を終わらせたいし!

じゃあ書くこともないんで執筆秘話的な話を……。
前回はサブヒロインに焦点を当てたので、
今回はメインヒロインの坂田巡ちゃんについて語ってみようと思います。
この巡ちゃんは一筋縄では行かないヒロインを目指して作りました。
その理由ってのは二つあって、

①最近のヒロインはすぐデレる。
まぁ風潮に対してのアンチテーゼです。

②天才なのに単純ではおかしい。
天才幼女の巡ちゃんならではですね。

①は全くそのとおりです。最近のヒロインは、読者が主人公を好きになるよりも早く、
主人公を好きになってしまったりするので、「読者=主人公」という感情移入が成立する前にくっついてしまうことも数々。
その場合は最悪で、ヒロインと主人公がくっついてしまった後に、読者を感情移入させるのは至難です。というか無理です。

②は巡という人間を作るとき、一番悩んだところでした。
このヒロインは、かつて研究者仲間から裏切られた経験があって、基本的に人を信用していません。
それに、頭脳も優秀なので必要以上に穿った見方をして、疑心暗鬼になっています。
例えばそんな時、主人公がヒロインの事を身を呈してかばいました。
きゃ! ○○君カッコイイ!
これが王道なんでしょうけど、管理人はこんなに簡単になびいてちゃ駄目だと思った。
これじゃあ普通のヒロインと一緒でしょう? このシーンでは、頭から血を流しながら「大丈夫?」とヒロインを案ずる
主人公に対して「貴様は何が目的だ!?」と突き飛ばすくらいじゃないと!(笑)
でも、読者に嫌われたら終わりなので、上手くやらないと途中で「こんな女に惚れられたくねぇ」と投げ出されてしまう。
うまーく、ヒロインの「天才」が崩壊するまで読者に好きでいてもらって、最後の最後にデレて「うぉぉぉぉ!」ってなってもらわないと!


冬号の部誌 テーマ:プレゼント

2012-10-01 23:43:24 | 小説
に決まったので、最近はその構想を練っていました。
なにせ今回は最初のページですからね!
部誌を手にとったとき、面白い作品が最初にあると「もっと読もう」って気持ちになってくれると思います。
だから責任は重大です!

で、今回書こうと思っている作品は中学時代に構想した小説です。
当時は漫然と小説を書いていたので、作品というより散文でした(笑)
ただ、ある意味管理人の原点に近いものだとも思うので、それを上手く読者に伝えられたらなーって思います。

原点と言えば、多くの作家志望(またはそれに準ずる人)が「黒歴史」という物を持っていると思います。
闇と光の戦いを設定だけで200P書いたとか、そういう間違っても人に見せられない物です。
管理人にもそれはあったのですが、パソコンの故障と共に失われてしまいました。
だから枕に顔をうずめてバタバタすることも出来ませんorz
なんだかそれって詰まらないですよね? 
もしかしたら黒歴史を葬れたんだからいいじゃんって思う人もいるかも知れません。
臭い言葉かもしれませんが、失って気付くことってたしかにあるんですよね……。