1度社会から断絶されるとどん底に…
貧困と無縁ではない「引きこもり」の実態
「とにかく寝たい。寝続けよう」
気がついたら、引きこもりになっていた。ところが、立ち上がろうと思っても、そういういきさつが体に刻み込まれているので、働くことに意義を見いだせなかった。
「また、あの地獄に帰っていくのか」と思うと、怖かったのだ。
1度社会から切断されると
繰り返してしまう無意味な自問自答
梅林さんによると、就労を経て引きこもった人たちからは、こうした自分の経験に似たような相談が多いという。
「共有しているのは、自分の体や心に負った痛みとはまた別の次元で、働く意義や価値を解体している。孤立した中で、向き合う相手が自分自身しかいない状況に長期間置かれると、まず自己否定する。引きこもった状況の自分自身を到底、肯定できないからです」
彼らは必然的に、自分に対して否定的な感情が芽生え、「このままでいいのか?」「なぜこうなったのか?」と、自問自答を始める。そして、理由を探したり、これからのことを考えたり、多くの問いかけをほぼ24時間続けているという。
「自問自答を繰り返すということは、言葉に置き換えると、1つ1つの事柄をすべて言葉にしていく作業。なぜ自分は生きているのか?なぜ働かなければいけないのか?といったように、疎外されない状況の中で、人と密な関わりの中で過ごしていれば、とくに必要のない問いかけをせざるを得ないのです」
その結果、暗黙の共有された価値や意義である「自明性」が崩壊していくと、梅林さんは考える。それは、本来、学校や地域、家族、会社の中で体感として育んでいくもの。しかし、1度切断されて、滑り落ちて、何もない所に置かれてしまうと、もう1度最初から、言葉にしていくしかないからだ。
「自分も働くのはもう嫌だと思って、休んでいるうちに、引きこもってしまった。そして、引きこもっている間に、さらに自分を追い込んでいく。当たり前のものを1つ1つ壊して解体していき、自分なりに積み上げようとした。結果的に、何もわからなくなってしまったのです」
梅林さんが再び社会に復帰したのは、ゆっくりした気づきがあって、言葉にしなくてもいい領域があることを理解したからだ。
暗黙の了解の中で生きている人たちにとっては、理解する必要はない。しかし、はがしてしまった人たちは、もう1度自分で言葉漬けしながら、暗黙の領域という言葉を作って、「ここは気にしないぞ!」という言葉で、カギをかけなければいけないという。
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「また、あの地獄に帰っていくのか」と思うと、怖かったのだ。
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繰り返してしまう無意味な自問自答
梅林さんによると、就労を経て引きこもった人たちからは、こうした自分の経験に似たような相談が多いという。
「共有しているのは、自分の体や心に負った痛みとはまた別の次元で、働く意義や価値を解体している。孤立した中で、向き合う相手が自分自身しかいない状況に長期間置かれると、まず自己否定する。引きこもった状況の自分自身を到底、肯定できないからです」
彼らは必然的に、自分に対して否定的な感情が芽生え、「このままでいいのか?」「なぜこうなったのか?」と、自問自答を始める。そして、理由を探したり、これからのことを考えたり、多くの問いかけをほぼ24時間続けているという。
「自問自答を繰り返すということは、言葉に置き換えると、1つ1つの事柄をすべて言葉にしていく作業。なぜ自分は生きているのか?なぜ働かなければいけないのか?といったように、疎外されない状況の中で、人と密な関わりの中で過ごしていれば、とくに必要のない問いかけをせざるを得ないのです」
その結果、暗黙の共有された価値や意義である「自明性」が崩壊していくと、梅林さんは考える。それは、本来、学校や地域、家族、会社の中で体感として育んでいくもの。しかし、1度切断されて、滑り落ちて、何もない所に置かれてしまうと、もう1度最初から、言葉にしていくしかないからだ。
「自分も働くのはもう嫌だと思って、休んでいるうちに、引きこもってしまった。そして、引きこもっている間に、さらに自分を追い込んでいく。当たり前のものを1つ1つ壊して解体していき、自分なりに積み上げようとした。結果的に、何もわからなくなってしまったのです」
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