ピカールのネコライオンな日記

日々の雑感、鑑賞した映像作品や趣味について書いたブログです。

小説 君の名は。  (後編)

2016-10-10 18:10:00 | 映画
今更ながら、『小説 君の名は。』の逐次感想の後篇です:

第四章 探訪
岐阜での探訪を続けていると、
実は入れ替わりの世界で会っていた人達は隕石落下により死んでいるという、
結構衝撃的な事実が発覚します。
普通の入れ替わり作品よりも面白い仕組みですよね。
具体的な作品名はぱっと出てきませんが、
実はあのキャラクターは死んでいたっ、という作品もあるかと思いますが、
本作ではそれを3年越しの時空をかけてやっているという点が非常に面白いですね。

そして、小説版しか読んでいない人にはここでやっと気付けるアイテム・瀧君の手首の組紐が出てきます。
ここがアニメと小説の表現方法の違いでしょうか。
さて瀧君はこの組紐からご神体の口嚙み酒を思い出します。
それから、数ページかけてご神体まで行き、口嚙み酒を飲みます。

第五章 記憶
ここで糸守湖とご神体の場所が隕石の落下地点である事が暗喩されます。
そして、三葉のかつての記憶を瀧君も共有します。
数ページに良く詰め込んだと思います。

第六章 再演
これまでの流れと章題からして瀧君が三葉になりどうこうする事が分かります。
実際、瀧君が再演しますが、結局は三葉が完遂します。

さて、婆ちゃんもかつて入れ替わりを体験していた事がさらりと出てきます。
しかも他の人も体験していた事をさらりと。
その後は町民避難計画の話が進んでいきますが結構テンポよく話が進むので読んでいて気持ちイイです。
ですが、キーマンである三葉の父(町長)を説得できずにいます。
そこで、瀧君は三葉に会うという起死回生を狙いまたご神体のある山まで行きますが、
到達するまで本物の方の三葉の回想が入ります。
この回想もなかなか心情を表しています。

そしてカタワレ時。

ついに二人は会えますがここでの会話のリズム感がやはりイイですね。
カタワレ時が終わった時の別れ方や、
瀧君が徐々に忘れていく三葉の事への表現方法も。
そして最後に、
「君の、名前は?」
と消えゆく感情を背景にひとり大声で叫ぶのも。

第七章 うつくしく、もがく
糸守町民を救う為に色々ありますが、
前章で山の上で瀧君が三葉の手のひらに自分の名前を書くと言っておきながら、
三葉が手のひらを見ると、

すきだ

としか書いていないあたりに瀧君の青臭さを感じますよね。
青少年向けの作品だなあと。
素直に自分の名前を書けよ。

第八章 君の名は。
エピローグです。
あえて細部は省略されていますが、糸守町民は隕石の落下から助かっています。
言うなれば違う世界線に来ています。
シュタインズゲートです(笑)。
その為、瀧君はなぜ糸守町にご執心だったのかさえも分からなくなっています。

けれども、心の奥底で探し続けています。
なぜかも分からずに。
ですが最後に二人は出会えます。
そして二人は同時に口を開きます、
―君の、名前は、と。

これで作品は終わるのですが、
二人の今後へ余韻を残した良い終わり方だと思います。
よかった。


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