先日、『茶遊庵』に四名の方が体験にいらっしゃり、一服を楽しまれました。
その後、有り難いことに全員の方からお稽古を始めたいとのお申し出があり、
週末の枠が足りなくなって、時間調整をしております。
体験の方の枠が本当にとれなくなりつつあり、こちらも少し考えなければなりません。
有難いことです。
秋からは少し日程が増えるかもしれません。
体験の方からお稽古を始めるにあたり、
『茶遊庵』の大人茶道には、継続して月2回通うコースと、
3回で盆略点前完結型のコースとありますが、
どう違うのですか?
どちらを選ぶとよいのですか?
という質問がありました。
茶遊庵のコースについて
まず、継続して月2回のコースは、それぞれの方のペースにあわせてお稽古を進めるというのが最大の特徴です。ゆっくり覚えたい、丁寧にという方や、お茶の雰囲気や季節も含めて楽しみたい方にお勧めです。
一方、3回完結のコースは、1回でどのくらい迄お稽古を進めるかきっちり内容を決めているので、3回で盆略点前が形になるように作られています。そのため、進み具合は早くなります。
3回完結コースを作ったのは、今は働いている方も多く、継続してお稽古をするのが難しいのではないかと思ったからです。
茶道に興味はあるけれど、長く続けるのは難しい、、、続けられるか自信がない、、、という方のために、こんなことを学びますよ、という導入となればいいなと思いました。
実際、3回完結コースで学ばれ、茶道の楽しさやどんなことをするのかがわかって、そのまま月2回のお稽古にされる方がほとんどです。
ただし、完結コースは、一応お点前ができるようにまで指導しますが、続けなければ忘れてしまいます。
盆略点前Step.1のあとはStep.2、その後は薄茶平点前Step.1、Step.2と進まれるか、
月1回でも継続してお稽古することが大切なのは言うまでもありません。
続ける時間がなくて茶道のお点前をしりたい、一度はやってみたいという目的の方には完結コースはお勧めです。
私が学んできた茶道は、毎週通うことで、先輩や先生のお点前や所作を見たり、お話を聞きながら自身で必要なことを学び取っていくという形でした。
元々大学で始めたこともあり、社会人になっても続けたいという気持ちがあったこと、
茶道に行くと季節を感じられてリフレッシュできる、美味しいお菓子とお茶が頂けるという楽しみがあったこと、そして何より、近所にすばらしい先生と魅力的な社中の先輩がいらしたからこそ通い続けられたのだと思います。
最初はとにかくお点前を覚えること、自分がお点前をすることがメインでした。
そのうち、お客さんも大事だということが見えてきて両方を頑張るようになり、やがて、準備や片付けも、といったように徐々にやるべきことが見えてきてやるようになり、先輩のまねをしたり、教えてもらったりしているうちに、様々なことをやれるようになっていった、という感じでした。
毎年月ごとにめぐるお点前を数年繰り返すうちに、この季節にはこのようなお点前を学ぶ、こんな道具を使うということを認識しました。
日本の習い事というのは、言葉で、というよりは、師匠や先輩の姿をまね、そこから学び取るという形なのではないかと思います。
やれることが増えてくると、色々なことに疑問が生じるようになり、自分で調べたり、先生に尋ねたりすることで、今までただ形として学んでいたことが、ある時理解できるようになり、意味をもつ知識として蓄積しました。
やがて点として存在した知識がパズルのように繋がって、面となっていきました。
そこからが茶道の楽しさ、奥深さに感動する日々の始まりでした。
茶道のお点前や学ぶ順番は、ただ複雑、難しいのではなく、意味があり、とても考えて作られた形です。
ですが、そう気づくところに到達するには結構な年数がかかりました。
もっと早くこの知識を知っていたら、もっと早く茶道に夢中になっていたかもしれない、真剣に貪欲になったかもしれないという思いや、皆さんに茶道の楽しさを早く伝えたいという思いがあり、
『茶遊庵』では、茶道とは何をめざしているのか、具体的には何を学ぶのか、何年でどの位お点前ができるようになるのか、など未来像をお伝えするとともに、座学によって、今自分がやっているお点前の意味や季節や茶道具のこともわかるようにしているつもりです。
柄杓の扱いを始める前には、柄杓の作りや扱いについてしっかり説明したり、茶杓の拝見をするようになったら何をどう拝見するのか、茶杓の銘にはどんなものがあるのか、など付随した知識をプリントと共にお伝えします。
これもプライベートレッスンだからこそ実現できていてメリットではありますが、一人だと学ぶ範囲は当然狭まってしまいます。
ゆくゆくは、私が学んだお稽古場のように、大勢で、色々なレベルの方がいる場で様々なものを見たり聞いたりして自分で感じ、学び取る時間も作っていきたいと思っています。
いつ実現するのか、と思いつつ、できることを粛々とやって進みます。
鎌倉芸術館和室『茶遊庵』も素敵な場所なんだけれど、
ああ、炭ができて、自由に使える茶室が欲しい!!
いつも最後はそこにいきつきます(笑)