茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

利休百首6 点前には

2008-03-18 18:17:40 | 利休百首
6.点前には弱みをすててただ強く されど風俗いやしきを去れ


 最初この歌を読んだとき、よく意味がわからなかった。点前をする際は、弱くではなく、力強く、はっきりと、けれど、卑しい風体でなく行えと言っているのかと思った。

 井口先生はこう言っている。点前はなよなよと弱すぎるのはいけない、かといって強すぎて力が入りすぎているのもいけない、力が入りすぎると見た目が卑しくなる。初心者は緊張してコチコチのお点前となり、美しく見せようと点前をすれば全ての動作が弱々しくなる。緊張を解くためには気持ちを和らげること。いいかえると、気持ちは弱く、動作は強く、そうすれば中庸を得た点前ができるのではないだろうか、と。

 大学で、割り稽古を数カ月して、初めて薄茶平点前を続けて先輩の前で行った時、そして、先生の前で初めて行った時、更に新入生が点前を披露する12月のお茶会での亭主、いずれもドキドキだった。きっとその頃の私の点前はコチコチだったに違いない。
 社会人になり、今の先生の所で、「まずはお点前を見せて下さい。」この時もとても緊張した。終わった後、「形はできていますが、お点前自体が早いですね。」その時は間違えまいと思って流れをひたすら追っていた気がする。
 こういう節目節目の自分の点前をビデオに刻んでいたらさぞ面白かったことだろうと思う。昔のお点前なんて、恥ずかしくて見られないだろうなあ、でも、もしかしたらコチコチのお点前には今にはない初々しい動きもあったのかもしれないとも思ったり。
 最近は、普段のお茶会では点前座に座っても、お運びに出ても、緊張するということが少なくなった。経験を積んだ御蔭でいい意味で平静になったのだろう。
 でも、最近たまには緊張するのもいいなあと思った出来事があった。研究会初舞台での緊張感が、終わった後に大きな達成感に変わった時。七事式の一二三で亭主に当たり、気持ちが引き締まり、久しぶりに濃茶点前と真剣に向き合った気がした時。普段よりコチコチな点前だったとは思うが、ほどよい緊張感は緩んだ点前の動きを引き締めてくれるような気がする。

 ともあれ、茶会であろうが、普段のお稽古であろうが、点前座に座ったら、頭で色々考えることなく、気持ちを和らげ、おいしいお茶を点てようと点前に専念すれば、ほどよい美しい点前ができるということなのだろう。気持は弱く、動作は強く、心は清く強く、おいしい一服を点てたいと思います。
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