茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

空は、今日も、青いか?

2006-12-27 21:19:48 | m-tamagoの物想い
 石田衣良さんがR25という無料雑誌に各週で掲載しているエッセイ「空は、今日も、青いか?」。先日「心まで格差をつけないで」と題して書かれていた。
 周囲を見渡せば、いじめ、上下格差、殺人、全く世の中どうしてしまったのかという事件が多い。ある漫画家が言っていた。「昔は世の中のあり得ないことを書いて笑わせるのが漫画だったけど、今は世の中の方がおかしくなっちゃった」
 マスコミは人の悪事を殊更に暴き立て批判し、政治家は保身に走り、長の名のつく人はいつも頭を下げている、そんな映像ばかりを見る。
 亀田興毅選手が世界王者防衛に成功した。マスコミ始め以前のことをあげ連ねて未だとやかく言っている人も多い。私自身、彼を見ていてもう少しTPOや礼儀をわきまえたらと思うことはある。けれど、疑惑の判定といわれた試合から4ヶ月、頑張って勝った彼にはエールを送りたい。この4ヶ月で彼は肉体的にも精神的にもしなやかに強く成長した、と思う。
 批判ばかりするのではなく、人の頑張りや成功、喜びを素直に認められる、褒められる世の中になってほしい。失敗したなら、批判するだけでなく、頭を下げるだけでなく、どうしたら次に間違いを繰り返さずに済むか、いい方向に変えられるかを考えてほしい。お互いに批判しあうばかりで夢や希望、喜びを語れないところに明るい未来はない。
 日々の生活の中で私の心も寛容さを失い、頑なになりがちだ。しなやかに柔らかに生きる為にはどうしたらいいのか。一人ひとりが希望をもち、お互いを受け入れ、高めあって明るく生きていくにはどうしたらいいのか。自戒をこめて衣良さんの言葉をそのまま引用させて頂く。

**************************************************
 街を歩く人の顔がますます険しくなっているように感じるのはぼくだけだろうか。誰もが自分以外の他者に対して、より厳しい態度をとるようになった。暖冬の東京なのに人の心のなかにだけ、氷水のような北風が吹いている。
 ぼくたちはなぜ、自分以外の人間にこれほど厳しくなったのだろうか。人々を上下にちぎっていく格差社会の斥力は、ひとりひとりの人間の心にも非情な勢いで働いているのではないか。社会だけでなく、人々の心さえ上下にちぎられていくのだ。
 厳しい競争社会のなかで生きている人間は、だんだんと他者への寛容を失っていく。自分だけでもいいポジションを確保しようと必死で、他人のことなどかまっていられなくなるのだ。競争にもいい面はあるけれど、度がすぎた競争は人の心からやわらかさとゆとりを奪う。 (中略)
 寛容の心をなくした世界がどんなに住みにくい場所になるか、それは紛争地域を見れば明らかだ。民族、宗教、文化、風習・・・それぞれの人がかけがえがないと思っている大切な生き方のルールや基盤が、差別と虐待の標的になる。昨日まで仲良く暮らしていた隣人が、恐ろしい敵になり牙をむく。復讐が復讐を呼び、暴力と悲しみの渦が等比級数的に拡大していくのだ。 (中略)
 世界がますます住みにくく、厳しくなっているように見える現在、ぼくたちに求められているのは寛容さなのだ。社会に格差があるからといって、自分の心のなかにまでその格差をもちこんではいけない。心まで奪われるなんて、第一くやしいじゃないか。
 ブルドーザーのようにやってきて、社会をばらばらに引き裂いてしまう斥力に、ひとりの人間としていかに抵抗していくか。ちぎれたり、砕けたり、自暴自棄になったりしないで、どんなふうにやわらかに粘るか。ぼくは新しい年のもっとも大切なテーマは、そこにあると思っている。きみはきみの場所で、北風に耐えよう。寛容と粘りとやわらかな心を忘れずに。
***************************************************
 
 いつも心に太陽を持て。これを読んで、昔暗唱した詩を思い出した。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 五島美術館 | トップ | 戌年ありがとう »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
都会と田舎。 (藍♪)
2006-12-28 00:32:34
田舎の人間の私にとって、正直いいますと、
都会はやはり、遊びに行く所であり、
すむ所ではないとおもっています。。

人が転んでいても、見向きもしない。。
助けもしないなんて、考えられない光景を
見たことがあるから。。

何で素通りするのかわからない。。
誰かがたすけるからいいやっておもってるのかなぁ?

都会も、昔のように暖かい心を育てる余裕が
あればいいのになぁ。。

時間の流れが違いすぎると思う私でした。。
(電車が1時間に数本しか来ないからのんびりしてるのかも。。笑)
返信する
北風 (とく)
2006-12-28 04:18:28
>きみはきみの場所で、北風に耐えよう。寛容と粘りとやわらかな心を忘れずに。
明日から北風が吹いて来そうです。雪も積もるかもしれない。
たまごさん、屋根雪下しとかやったことあるかい?
気持ちいいぞ(笑)
返信する
忍耐力 (草君)
2006-12-28 07:29:34
寛容さに必要なのは、忍耐力かもしれない。
忍耐力がなくなってきてるんじゃないのかなー。
あまりにも便利になりすぎた世の中では、がまんする必要はないもの。特に都会では。
自分のことをがまんできない人に、他人のことを思いやるのは難しいでしょう。やはり。
忍耐力がない、がまんができないことを恥ずかしいと思う気持ちさえ失われつつあるのでしょう。目先の楽しみに目が眩んで。
・・なんてエラそうですね。
わたしもがまんできないことは多いですが。(笑)
返信する
都会と田舎 (m-tamago)
2006-12-28 21:01:38
藍♪さん、こんばんは。
都会にも温かい人はたくさんいるのですがね~。
ただ、確かに隣人や周囲との関係は希薄、ドライかもしれません。引越しなどが多くて長く同じ場所にいないということも大きな要因かも。我が家など新興住宅地でもう30年以上住んでいる人が多いので、未だに仲がよいし、助け合いの精神がありますが。
干渉しないことは楽でもありますが、無関心になってしまうと殺伐とした雰囲気を生みますね。ちょっとしたことでも声を掛け合うということは大切だなあと思います。

藍♪さんの日記には温かさが溢れていますね。素敵な人たちに囲まれているんだなあと思って読んでいます。
返信する
北風と太陽 (m-tamago)
2006-12-28 21:04:07
とくさん、そちらは寒いですか?

>たまごさん、屋根雪下しとかやったことあるかい?
気持ちいいぞ(笑)
雪かきはあるけど、雪下ろしはないです~。
気持ちいい?!北風に耐えたらもっと寛容になれるかしら。。。。
返信する
忍耐力 (m-tamago)
2006-12-28 21:11:00
草君さん、こんばんは。

そうですね、寛容には忍耐力が必要かも。
うちの親もいいます。今の若い人は我慢が足りないって。(その通りです、ゴメンナサイ)
自分がちょっと我慢して相手の為にのこす、一歩引いて相手を認める、謙虚になることは大切なことですね。誰も一人で生きているわけじゃないから。
でも、こういうことも小さい頃から教えたり経験する機会がないと身につかないかも。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

m-tamagoの物想い」カテゴリの最新記事