カエサルの世界

今年(2019年)1月中旬から「休載中」ということになっているのだけど、まあ、ときどき更新しています。

■シロートによる救急救命(4)AED

2018年09月09日 | ☆東日本大震災  

 倒れている人がいて、意識がなく、呼吸もしていないような場合、その場にいる人たちで救急救命に取り組まねばなりません。その場にお医者さんなどがいれば言うことはないのだけど、そうした専門家がいない場合の話です。そういう場合、シロートに何ができるのかを考えるシリーズの4回目です。最終回ということになります。
 今回のメインテーマはAED(自動体外式除細動器)なんですけど、AEDだけの話をしても意味がないし、これまでの総集編という意味を含めて、「倒れている人がいたらどうするか?」ということを考えてみたいと思います。


 倒れている人がいる、もしくは、目の前で人が倒れたという場合、まず、近寄っていって、声をかけたりすることになります。
 ・・・と、簡単に書いてしまいましたけど、現実的には、このことだけでも難しいのではないかと思っています。君子危うきに近寄らず。見て見ぬ振りをして通り過ぎてしまうという可能性があります。そういうことを考えておくのが、このシリーズの主旨です。

 声をかけてみたけど返事がない、肩を叩いてみても反応がない・・・というようなとき、ネット上にUPされているマニュアルなどによると、まず、大きな声で周囲の人を集めるのだそうです。
 これも、現実的なことを考えると、難しいことだと思います。シロートです。意識を失っているらしいと思っても、その判断に自信はもてません。その状態で、見ず知らずの人たちに集まってもらうのです。簡単にできることではありません。
 でも、周囲の人に集まってもらうというのはすごくよいことだと思いました。お互いにシロートだとは言え、相談することができ、協力し合うことができます。
 迷惑をかけ、恥をかくということになるかもしれませんが、そうなっても構わないという覚悟が必要だと思います。

 人が集まったら、「119番に連絡する人」と「AEDをとってくる人」を決めるのだそうです。
 ここでカエサルは考えたのだけど、「119番に連絡する」ということはたいていの人にできると思うし、やってくれると思います。しかし、「AEDをとってくる」というのは誰にでもできることではないと思います。
 「AEDって何ですか?」などという人も少なくないと思います。それが何かを知っている人でも、どこにあるのか、どうやって持ってくることができるのかなどは知らないと思います。「AEDをとってくる」ということは、簡単にできることではありません。このことについては、あらためて考察することにします。


 119番に連絡する人とAEDをとってくる人が決まったら、「呼吸の確認」ということになります。胸と腹の動きを見て判断するのだそうですが、シロートには難しいと思います。
 呼吸をしていない場合、しゃくりあげるような不規則な呼吸をしている場合は、胸骨圧迫を開始しなければならないそうです。正常な呼吸をしているかどうかがわからない場合も、胸骨圧迫を開始するのだそうです。「明らかに正常な呼吸をしているという場合を除いては、胸骨圧搾を開始する」と考えた方がよいかもしれません。
 これまでの記事を書いている間、この判断はカエサル一人でしなければならないものだと思っていました。でも、周りに人がいれば、相談することができます。お互いにシロートなので、わからないものはわからないわけですが、自分が考えていることを話すというだけで力強いものだと思います。
 場合によっては、7年前に2時間の講習を受けただけのカエサルがこうしたことに一番くわしいということもあると思います。そのような場合、胸骨圧迫や人工呼吸について説明し、周囲の了解を得てから始めることができます。
 周囲の了解が得られないという場合もあると思います。倒れている人が女性であるような場合、胸骨圧迫を反対されることもあると思います。カエサルには専門的な知識や技術があるわけではないので、そうした反対を押し切って胸骨圧迫を始めるのは難しいと思います。そういう場合もあるという覚悟しておいた方がよいと思います。




 うまくいけば、胸骨圧迫を開始することができます。うまくいけば、人工呼吸もできることになります。胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を繰り返すことになります。救急隊が到着するか、AEDが届くまで、繰り返さねばなりません。うまくいけば、胸骨圧迫や人工呼吸を周囲の人たちと交代で行うこともできます。
 もちろん、うまくいかないこともあると思います。その覚悟はしておかねばならないと思います。


 さて、AEDが届いた・・・ということにします。
 最初にすべきことは、AEDの電源を入れるということだそうです。その後のことは、AEDが音声で指示してくれます。
 AEDというものは、シロートが使うことを前提につくられているものなので、使い方はわかりやすいし、「簡単」と言っていいと思います。どのメーカーのAEDでも同じような仕様になっているようだし、AED自体が使い方を指示してくれるので安心して使うことができると思います。


 2枚のパッドを貼り付けます。貼り付ける位置は、音声で指示されるし、パッドなどにも書かれていますが、胸の右上と左下(向かって左上と右下)です。7年前の講習では、心臓を挟むように貼ると教わりました。
 パッドは素肌に直接貼り付けます。衣服を脱がさねばならないということになります。これは、たいへんだと思います。見知らぬ人の服を、公衆の面前で脱がさねばならないのです。簡単にできるはずがありません。あらかじめ、相当の覚悟しておく必要があると思います。
 ネット上のマニュアルなどには、倒れている人が女性の場合、パッドを貼った後でその上にバスタオルなどをかければよい・・・というようなことが書かれていますが、たぶん、その場にバスタオルなどありません。また、脱がせにくい場合は、鋏で衣服を切ってもいいのだそうですが、たぶん、その場に鋏はありません。
 こうしたことは、シロートが救急救命を行う上でかなりの難関になると思います。でも、胸骨圧迫と人工呼吸を何度も繰り返した後のはずなので、この時点ではかなりの覚悟ができているんじゃないかと思います。力尽くで止められたりしない限りは、女性の衣服を脱がせることもできるような気がします。


 パッドを貼り終えると、AEDが心電図の解析を始めます。倒れている人の体に触れてはいけないそうで、胸骨圧迫も中断しなければなりませんが、そうしたこともAEDが指示してくれるはずなので、それに従えばよいということになります。
 解析の結果、心室細動(後述します)であるということであれば、電気ショックが必要になります。その旨をAEDが指示してくるので、ショックボタンを押します。自動的に電気ショックが行われてしまうということはありません。




 電気ショックの後は、胸骨圧迫を再開します。解析の結果、心室細動ではないということがわかった場合も、胸骨圧迫を再開することになります。そうしたことはすべてAEDが指示してくれるはずなので、それに従えばよいだけです。
 倒れている人に反応が現れるまで、あるいは、救急隊が到着するまで、胸骨圧迫・人工呼吸、解析・電気ショックを繰り返すことになります。
 胸骨圧迫や人工呼吸をしているときも、パッドはつけたままにするようです。解析や電気ショックのために胸骨圧迫を中断しなければならないとき、解析や電気ショックが終わって胸骨圧迫を再開するときは、すべてAEDが指示してくれるはずです。それに従えばよいだけです。


 「心室細動」というのは、心臓が痙攣を起こして、血液を送り出すポンプとしての働きができなくなっている状態・・・と理解しています。
 「AED」というのは、電気ショックを与えることによって、心室細動の状態から通常の状態に戻すための機械・・・と理解しています。
 専門的にはそうじゃないということになるかもしれませんけど、シロートに専門的な知識は必要ないだろうと思っています。

 シロートでも認識しておかねばならないのは、心室細動が起こってからAEDを使うまでの時間が救命率(社会復帰率)に直結するということだと思います。
 心室細動が起こってから1分以内にAEDを使用すれば、社会復帰率は90%以上らしいです。しかし、その後、1分ごとに10%ずつ社会復帰率が低下していくのだそうで、2分経ったら80%、3分経ったら70%・・・となっていき、10分経ったら0%ということになります。まさしく、1分1秒を争うということになります。
 AEDの使い方は、かなりわかりやすいし、カエサルでも使えると思います。問題は、このAEDをどこから、どうやって持ってくるかというところだと思います。最初に述べた「AEDをとってくる人」の重要性はここにあります。


 カエサルんちの周辺で、どこにAEDがあるかを調べてみました。けっこうあちこちにあります。
 「学校」には必ずあると思っていいようなので、児童・生徒が倒れたというような場合は、その場にいた人が走ってとってくればよいということになります。学校という所は広いところなので、数分かかってしまうようなこともあるだろうとは思いますけど、最善をつくすしかないと思います。

 この後の話は、ただひたすらにグダグダと長くなり、結論が出ません。路上でAEDが必要になった場合はどうすればよいのかということを考えてみたのです。
 たとえば、カエサルんちの前で人が倒れていて、呼吸をしていないということがあった場合、人通りはほとんどないところなので、お隣さんのドアを叩いて、協力を仰ぐことになると思います。お隣さんが留守だったら、お向かいさんかな。いずれにしても、119番への連絡はお願いできると思います。問題は、「AEDをとってくる人」ということになります。ここでは、カエサル自身がその立場になったらどうするだろうかということを考えてみたいと思います。
 まず、AEDがある場所を調べねばなりませんが、使い慣れたパソコンで調べるとしても、かなりの時間がかかってしまうと思います。パッと思いつくのは、小学校です。距離としては1kmくらいだと思うんだけど、車でいくら急いだとしても2分くらいはかかってしまうと思います。小学校がどこにあるかは知っているんだけど、校門がどこにあるのかは知りません。そうしたことで迷ったりしたら、片道で、3分・4分とかかってしまいます。
 考えたんですけど、駐車場に車を入れてはダメだと思いました。駐車場がどこにあるのかは知りませんけど、玄関から離れているという可能性があります。たとえ学校や地域の迷惑になっても、路上駐車などをしなければならないと思います。できれば、玄関の前に車を駐めて、事務室に飛び込まねばならないのだと思います。道交法とかにも目をつぶってもらうような、そういう覚悟が必要だと思います。
 事務室に飛び込んで、「倒れていて、呼吸をしていない人がいるので、AEDを貸してください」と言っても、「はい、どうぞ。」ということにはならないと思います。小学校としても、突然やって来た見ず知らずの男に高価な機器を貸してしまうわけにはいかないと思います。身分証明書の提示を求められて、借用書を書かされて・・・などということにはならないと思うんですけど、1分や2分のロスは覚悟しなければならないと思います。
 最速・最短で考えて、学校に着くまで2分、事務室などで1分、現場に戻ってくるまで2分、計5分はかかってしまいます。この段階で、倒れている人の社会復帰率は50%まで下がっています。どこかでもたついて時間をロスするということが考えられるわけですが、社会復帰率は40%・30%・・・と低下していくことになります。これは、とんでもない状況だと思います。カエサルとしては、ちょっと耐えられそうにありません。
 ・・・と、そういうことを考えているうちに、現場から小学校に電話をして、先生か誰かにAEDを持って来てもらうことができるんじゃないかということを思いつきました。もちろん、小学校でそういう対応をしてくれるかどうかはわかりません。してくれるとしても、時間がかかってしまう可能性があります。
 少なくとも、AEDをとりにいくのと同時に、他の人から小学校に連絡を入れておいてもらうべきだと思いました。1人でとりにいくのではなく、車を運転する人の他に、もう1人が同乗して、車が走っている間、小学校に連絡を入れるということもできると思いました。「AEDをとりにいく人」の他に「車を運転する人」をつけると考えた方がいいかもしれません。AEDを借りるための説明は誰にでもできることではありませんが、車の運転ができる人はいるはずです。小学校までの最短経路や校門・玄関・事務室などの場所を知っているという人もいると思います。

 これまで、「AEDをとりにいく」ということをまともに考えたことはありませんでした。場所にもよるわけですが、相当にたいへんなことだと思いました。そのことを認識できただけでも、グダグダと考えたことに意味はあったんじゃないかと思います。
 マニュアルによれば、AEDをとりにいく人を決める→呼吸を確認する→胸骨圧迫を開始する・・・ということになるわけですが、下手をすると、AEDをとりにいく人が決まらず、胸骨圧迫を始めるのが遅れるということになりかねないわけですが、そういうことだけは避けねばならないと思います。
 場合によっては、AEDをとりにいくことを諦めるという選択肢もあると思います。周囲に人がいなくて、カエサル一人ですべてをやらねばならないとしたら、そういうことになるし、周囲に人がいても、そうせざるを得ない場合があると思います。そういう場合は、AEDをとりにいっていないということに気を病むのではなく、できること、胸骨圧迫などに集中すればよいのだろうと思っています。

 言うまでもないことですが、シロートが救急救命に携わるというのは、とんでもなくたいへんなことです。
 そういうことを認識しておくことによって、いざという場合の「覚悟」を固めることができたらいいなと思っています。


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