米澤穂信氏の記事があったのでメモメモ。
小説の修業はネットで 米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)さん 28(作家)
1978年生まれ
中学生のころ、新本格ミステリーに出合い、北村薫や山口雅也らを愛読、
将来は作家に、と心に誓った。
大学卒業後、ライトノベル畑の新人賞に応募し2001年にデビュー。
この分野では芽は出なかったが、ミステリー専門出版社から出した
『さよなら妖精』(東京創元社、04年)、『犬はどこだ』(同、05年)
が2年連続で、「このミステリーがすごい!」にランクイン、ホープに
躍り出た。
という事で、デビュー前はネット上で習作を公開していたそうです。
と言っても、僕が米澤氏を知ったのはつい先日なので、ご存知の方には既知の話だとは思いますが。
それにしても、やっぱり10年くらい遅く生まれてたかったなぁ~
さて、それはともかく「春期限定いちごタルト事件」です。
先日ねっとさーふぃん(死語)していた時に、「北村薫の作品が好きなら読むべき」という言葉を見つけ、読んでみたのですが、これがなかなか良かった訳です。
アマゾンの紹介
内容(「BOOK」データベースより)
小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある
高校一年生。
きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、
二人の前には頻繁に謎が現れる。
名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう
小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?
新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。
もひとつピンと来ない紹介ですが、読んでみると確かに
北村薫作品に通じるものを感じます。
すなわち、殺人でもなく警察沙汰でもないような、気にしなければ謎とも思わずにスルーしてしまうような「謎」を、解かなくても良いのに解いてしまう小鳩君。
これはもう業ですね。止められない止まらない。
そして、訳知り顔で「謎を解く」事が必ずしも周囲の人間に歓迎されない事に気付き、その悪癖を止めようとしてるのが小鳩君な訳です。
また、小さくて童顔で控えめなだけと思われていた小山内さんは秘めたる復讐心を具現化するときに最大限に魅力を発揮したりするのです。
そんな悪癖を、高校入学に当たって亡き者にし、小市民の星(六等星w)を掴もう、というのが二人の互恵関係であり野望なのでした。
しかしながら「ミステリの登場人物」である時点で、そんな希望など軽くスルーして、日常生活に隠れた謎という横糸と、小山内さんの自転車盗難事件という縦糸で物語が紡がれていきます。
…それにしても、北村薫「円紫さんシリーズ」で提示される謎や登場人物に比べると、なんか過去が気になるし、そこはかとない悪意の通奏低音を感じるんですけど…。
っていうか、誰もが思うのは、この二人の過去(中三の夏休み?)が気になります。
まあ、多分物語にしたら、とてつもなく苦い後味を残すような気がします、のでいいや、無くても。
まあ、何よりもいいのは「小山内ゆき」です。
一見か弱く儚げな風情なのですが、黒い。黒いよ、ゆきちゃん!
彼女の黒さは続編「夏期限定トロピカルパフェ事件」でひとつのクライマックスを迎えるのですが、それはまた改めて。
とにかく、儚くフワフワしてると思ったら、実は鋭く強い小山内ゆきちゃんはツンデレじゃなくてフワツンってとこでしょうか。
や、いいですねぇ…騙されてもいいや。
こういうタイプのヒロインってなんか覚えがあると思ったのですが、以下栗本薫「ぼくらシリーズ」に関するネタバレあるので注意してください。
はい、いいですか?
それは、栗本薫「ぼくらの世界」に登場する「ちィちゃん」こと香取千鶴だったりするんです。
ちっちゃくて可愛くて、守ってあげたくて…と思っていた香取千鶴が全ての糸を引いていて、挙句に自滅してしまうんですけど、それでもイイんですよ。
何というか、「ぼくら 三部作」って否応なしに大人になっていって、色んなモノを捨てたり、親友だと思っていたのに疎遠になっていき、昔のような関係には戻れない切なさ満載でした。
その上、感情移入して擬似恋愛レベルに達していた女の子に手酷く裏切られたりして結構読後落ち込んだものです。(恥ずかしい奴…
さらに続く「薫くんシリーズ」の「猫目石」の朝吹麻衣子に至っては、さらに落ち込まされる羽目になるのですが…(マジで精神的ダメージから暫く立ち直れなかったんですよ、青いなぁ>自分
う~む、何だか自分がMなのか?って感じがして来たなぁ~。
そういう性向は全然無いんですけどねぇ…
何の話してたんだかわからなくなってきたので、今日はこれまでとします。