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雪だるま

2008年02月19日 | アンデルセン童話
寒いのが苦手な私。。早く春になってあたたかくならないかな~と日々思っております。
でも、このアンデルセン童話「雪だるま」を読んだら、冬も結構いいかもな☆と感じました。
皆さんもこのお話を知ったらそう思うかも知れませんよ。

お話


昔々、雪がたくさん降ったので、ある屋敷の一番小さい男の子が、雪だるまを作りました。
次の日、雪だるまはひとりごとを言い出しました。
「へんだなあ? ぼくの体の中で、ミシミシと音がするぞ」

雪だるまは、瓦の欠片でできた目で、西の空を落ちていく太陽を睨んで、またひとりごとを言いました。
「ギラギラ光ったって、僕は瞬きしないよ」
そして、東の空に姿を見せ始めた月を見つけると、
「なんだ、今度はあっちから出てきたのか。でも、もうギラギラするのはあきらめたみたいだな」
 
雪だるまの一人ごとを聞いていた番犬は、小屋からノソノソ出てくると、ボソボソと言いました。
「盗み聞きしていたようで、申し訳ないけどね。あんたがさっき見たのは太陽で、今、空に浮かんでいるのは月っていうのさ。
太陽は朝出て、月は夜に出て来るんだよ。ついでにもう一つ教えておくよ。
もうすぐ天気が変わる。なぜかって? 俺の左足が痛むからわかるのさ。じゃ、また。」
 
犬の言ったことは、本当でした。
夜が深くなるにつれて、霧が辺りを隠し、夜明けには風が吹き始めました。
朝日が夜の闇をすっかり追い払うと、雪だるまは、
「わあ!」と思わず感嘆の声をあげました。

キラキラ、キラキラ、キラキラ。
雪が輝き、庭は一面ダイヤモンドをしきつめたようだったのです。
すぐそばでは、若い女の人と男の人の楽しそうな声がしました。

「素敵ね。夏にはとても見られない景色よ」
「ああ、そうだね。それに雪だるまも夏には会えないね」
 二人は笑って、楽しそうに屋敷にはいって行きました。

「あの人たちは、なんなの?」
 雪だるまは、小屋から様子を見ていた犬に尋ねました。
「なんなのって、大きい坊ちゃんと奥さんになる人さ。大きい坊ちゃんは、僕が小犬の頃ストーブのある女中さんの部屋でよく
可愛がってくれたんだ。ストーブってのは、寒い日には世界一素晴らしいものになるんだよ」

「ストーブって、きれい? 僕に似てる?」
「いや、正反対だね。女中さんの部屋を見てごらん」
 雪だるまは、女中さんの部屋の赤々と燃えるストーブを見たとたん、言いました。
「あっ。僕の身体の中で、またミシミシ音がする。なんだか僕、どうしてもストーブのそばに行きたい」
「なにいってるの。あんたがストーブによりそったら、とけちゃうよ」
 犬が言うと、雪だるまは言い返しました。
「とけたってかまいません。僕は、ストーブのそばに行かなくてはならない気持ちなんです」
 
犬は呆れて
「そんなこと言ったって、誰があんたを部屋に入れるもんかね」
そう言いながら小屋にもどって、目を閉じました。
雪だるまは、ただもう、ジッとストーブを見つめて立っていました。
あたりが暗くなってくると、ストーブの火はますます赤くなって、とても美しく見えました。
太陽の光とも月の光とも違う、穏やかで総てを包んでくれそうな光でした。
女中さんが時々、ストーブの口を開けて薪をくべると、炎がサッと飛び出し、外の雪だるまの顔まで赤く赤くてらします。

「ああ、どうしてだろう?」
雪だるまは、つぶやきました。
「僕は、ストーブが大好きになったらしい。なぜだかわからないけど、そばに行きたくてたまらない」
その夜はとても寒く、女中さんの部屋の窓ガラスいっぱいに、氷の花が咲きました。
寒くて気持ちがいいはずなのに、雪だるまは悲しくなりました。
だって、氷の花がストーブの姿を、見えなくしてしまったのですから。
 
朝が来ました。
犬が、小屋から出て言いました。
「天気が変わるぞ。左足がズキズキと痛むんだ」
たしかに天気が変わりました。
太陽が、ギラギラと輝き出したのです。
雪は、みるみるうちにとけ始めました。
雪だるまもだんだんとけていきました。
それは、雪だるまにはどうすることもできないことでした。
 
次の日の朝、犬は雪だるまの立っていた所に、ストーブの火かき棒がころがっているのを見つけました。
「そうか。雪だるまの体は火かき棒が芯になっていたのか。それで、あんなにストーブのそばに行きたがっていたんだ」

犬はストーブの火かき棒にむかって、優しく言いました。
「俺はね、あんたのことを忘れないよ」
その時、屋敷の中から、春の歌を歌う子どもたちの明るい歌声が聞こえてきました。

おしまし






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