l'isle et potori

イルと灯鳥 ごはんとものとのまわり

大根2本の至福の食卓

2010年10月28日 | イル日記
寒いしなんか不節制なことをしたい気分が少し。

それで、ノートパソコンを持ち帰り

DVDでも布団にくるまって観るかなーと思っていた。

でもそうだ、その前にS農場による約束をしていることを

忘れそうだった。

スタッフのNちゃんが注文のFAXをしていた。

そのことで直後にかかって来た電話を

わたしがとり、

用件ついでに

イルさん自然栽培の大根が採れたよと。

それはもう

稲刈りでお邪魔した時にも

先日煮卵と一緒でもいただきました、と

いいながら

心の中ではもっとそいつと二人にしてくれないかなぁ

みたいな感覚があった。

大根と。

え、送っちゃったんですか、

じゃぁ今日はもらえないですよね。

いや、帰りに寄れるかなと、、、

あ、とってくるよと言ってくれるので

雨だしまたでいいですよ、と遠慮しているふりをして

その1本を私にーとどこかで思っている。

有機のと両方あるってことですよね。

両方ください!ということで

夜に立ち寄り、

少しあがって情報交換して

2本の大根と、自然栽培の人参をいただいて帰った。

時間的にも「ビデオ」は無理だ。

山道を登る車中に考えるのは

2本の大根をどうやって比べるかということだ。

家に着き、ささっと着替えてワタシモード。

今朝のお茶の片付けをして

まずは大根の葉を切り落とす。

そしてサラダにする中心を切り取り、

ステーキにする上の部分をとり、

鬼おろしでするための先をとる。

どっちの大根かわからなくならないように注意しながら。

残りは明日出勤のスタッフのために別けて袋に入れる。

サラダは千切りに。

包丁を入れる感覚はさほど変わらない。

でも皿に盛り付けると

明らかに違う。

有機のは白く澄んでいる。

無肥料のは少し黄色いがもっと澄んでいる。

オリーブオイルとゲランドの塩で和えた。

有機のは爽やかで瑞々しい。

無肥料のはこれらの調味料と見事に調和して

言葉がいらない絶品の一皿。

調理しながらの立ち食いだけど。

先の部分をおろす時、

有機の方がやわらかい。

上の部分をステーキにすると

一緒に同じ時間で焼いたのに

無肥料のが食感が残っている。


結果私の今夜の見解は

有機のはだしを

しっかり含ませる料理に向いていて

無肥料のは

ぽとりの様な素材の味に頼る料理に向いていると思う。

一緒にいただいた

無肥料の人参。

親指の半分くらいの大きさのを

葉の硬い部分でだしをとり、

そのだしで小さな人参を塩と煮て

葉先の柔らかい部分を加えた。

ローリエや昆布など合わせたい欲求を振り払いつつ

この子たちを信じて。

人参と塩だけのスープ。

若草色の汁の中に

コロコロと人参の子供達と

深い緑の若葉が沈んでいる。

この美しさは

書くことが好きな私でも

言葉にすることがはばかられる。


今日のおかずは大根と人参だけ。

玄米を炊いて。

(意外かもしれませんが自宅で玄米を「炊く」事は少ないのです)

こんなに上気して料理を楽しめたのは

素材と育てる人のおかげ。

この調理した味を育てた人とスタッフたちとお客さまと

身近な人たちに返したいと思う。

たった2本の大根が気づかせてくれる

こんな台所の時間は

料理を生きる糧にするのものにとって

至福であると感じている。

生きる糧というのは

私たちの様にそれを商売とする者、

そこで働くものだけではなくて

家庭で自分や家族にご飯をつくる

全ての人達のこと。


今夜はどんなロードショウを観るよりも

ドラマチックな体験をした感じ。

何かの命と向き合う心が

それぞれの、自らの命を生かす

糧であるのではないかと

しみじみ感じる一夜でした。





美しい現実逃避の時間

2010年10月21日 | イル日記
昨日はぽとりの定休日。

どんより天気で家にこもっているのは嫌だし、

でも出かけるのも気が乗らない。

そう言えば、前日は予想の倍のお客様が見えて

急になんでだろう、紅葉きてんのかなぁ

と、尾白川渓谷に紅葉調査兼ねて

散策に出かけた。


ぽとりがある名水公園べるがから

5分ほど車で登ると

町営(今は市営)の無料駐車場になっていて

軽食喫茶なんかもあります。

甲斐駒ケ岳の登山口のひとつでもある。

でも私には「散策路」で十分。

久しぶりに引っ張り出してきたバックパックには

試作のお菓子と入荷したてのオーガニックチョコのかけらと

豆乳ほうじ茶。

首にはモノクロームのフィルムが入ったベッサ。

トレッキングシューズを持っていない私は

黒い長靴で歩き始めた。

少し進むと竹宇甲斐駒ケ岳神社。

ぽとりからこんなに近いのに

来たのは3年?4年?ぶり。

まるで千と千尋の神隠しの入口みたいな場所。

前に来た時は、神様の水をいただきに来たのです。

本当の生きた水の味が残るゼリーを作りたくて。

小さな土地の中にいくつかの神殿(というのかな?)があって

10円玉をポケットに数枚入れて廻った。

それぞれどんなことを守ってくださる神様なのか

書いて貼ってあるので

今の私と関わってくれている人たちのことを

それぞれの状況を思いながら手を合わせた。

その ちょうどバックパックのポケットから

メールの着信音が聞こえて

みれば祈った中の一人から。



山を歩けば会った人に挨拶するのが当たり前なのだろうけど

ちょっと観光で立ち寄ったような背広のおじいちゃんとかが

こんにちはに答えて

一人?とか

どこから?とか聞いてくれて

和んでしまう。

どの辺とか説明しているうちに

思わず宣伝になっちゃりして。


神社の裏手から吊り橋を渡るのが楽しい儀式。

横に倒れるように成長している樹をくぐったり

根っこを跨いだりしながら山道を進むとすぐに

川原におりれる場所に出る。

ここではやばや休憩してお茶を出したけど

そこから10分ぐらいのぼりおりすれば

それはそれは美しい千が淵。

運動不足の私にはここまでが限度だけど

むしろここまでで十分。

紅葉ははまだ始まったばかりですが

非日常を楽しむにはとても良い場所です。


こんな場所を楽しむためのお弁当なんかを

ぽとりで用意できたらと思います。

今のところ、

平日ランチのどんぶりもののテイクアウトできますので

ご利用ください。


そして宣伝ですが

オーガニックカフェイルの時からの

秋冬の超人気商品

オーガニックチョコレートと

ネパールのカラフルニットが

今日から店頭に並んでいます。

早くも男性陣がまとめ買いされるという

毎年の風景が見られます。

御買い物だけでもお気軽に、お早めに、

ご利用くださいませ。

平日ランチは大根ステーキ丼と

生凍り豆腐カツの麻味噌ソース丼がにんきです。

週末ビュッフェは

11月スペシャルな1ヶ月を予定しています。

それはそれで、

通常のビュッフェは今年は今月いっぱいで終わりです。


直送5分

2010年10月19日 | イル日記
今夜は久し振りに土鍋でご飯を炊いた。

白い米を炊かずにはいられなかったのは

1kgに満たないくらいの米を持ち帰ったから。

6時に約束して

帰宅途中

身体気象農場に立ち寄った。

精米機を買ったから

ぽとりで使う分搗き米のための調整を

してもらいに。

少しずつダイヤルを回してもらいながら

出てくる米の表情に集中する。

まだ茶色い、もう少しもう少し

白い感じになったところで止めてもらう。

灯りがよくあたるところで

標準の白米と比べてみると

分かるかわからないくらいに

うっすら茶色を残していて

胚芽の部分はしっかり残っている。

これでいいと思います。

0.5くらい目盛りをかえた2つの袋を

試し炊き用にいただいて

お礼を言って外に出た。

外では今畑から収穫してきたばかりの

ほうれん草を袋に詰める作業が進められていた。

軒下には水菜、かぶ、小松菜が控える。

しばし話し込み

お土産に少しいただいた。

何にも包まず

手から手へ、そのまま車に。


そこから自宅まで五分。

今日も国道までもおりずに

同じ山の斜面の中を行き来して

けれどたくさんの人に会った。


さて、今夜は友達が来る予定だったので

いただいた作物たちを一緒にいただこうと

献立を考えながら帰ったのに、

仕事が終わらずこれず。

それでも炊きたいさっきのお米。

稲刈りの時とか、

すでにいただいている新米。

それでも精米する時に目を凝らして

向き合ったお米たち。

水に通して軽く研いで

土鍋に手を入れて水加減を決める、

湯気の勢いや香りに注意しながら

火を加減して炊く。

その間に残っていた野菜で持つおかずを数品作ってみたり。

素材にわくわくした日はいつも

必要以上に料理をしたくなるもの。

かぶは久しぶりにサラダで。

出始めですもの。

スライスして水菜と一緒に

ポルトガル風日本製の皿にサクッと乗せて

ゲランド粗塩とワサビ入りオリーブオイル。

ご飯が納豆と梅干を呼んでいる。

ココナツカレーを食べちゃなきゃなのに。

結局全部並べて納豆ご飯からはじめたら

納豆と梅干で2膳、

サラダもカレーも

そして何ということ

ワインも忘れて。

そしてさらにカレーでもう1膳。

今日も食べすぎだな。


残った直送野菜たちは

冷蔵庫にしまうのがさびしくて

バットに寝かせたまま階段に段々。


ぽとりのお客さまには申し訳ない発言だけど

土を離れて一晩経ったり、

袋詰めされたり

冷蔵されたりする前の

作物は澄んだ生き物の味、香り。

ぽとりに至るまでのこの仕事を続けてきた想いの

原点に還らせてくれる時間。

5年前に始めた

オーガニックカフェイルで

場が作られることを覚え、

場は自然と作られるからと

場を決めずにイルとして個人で動き

ぽとりという場をいただいて

また場が先走りしているジレンマを超えて

核になる想いと

場が

お互いに助け合う形になりつつあります。

3年目のぽとりが

半年過ぎました。

ようやく始まった感じのする秋を迎えています。

まだまだ店としては未完成。

いたらないところがたくさんあります。

もっと

食する人が自分の命と共に

食する生き物を感じられる場であるように

成長して行きたいと思っています。

みなさまどうぞ

様々な形でおつき合いくださいませ。


布を育てる

2010年10月15日 | イル日記
ぽとりのスタッフ達が身につけるのは

fog linen work のリネンエプロン。

2年と6ヶ月店に立ったエプロン達は

穴があいたり 汚れが染み付いたりして

その役目を終えたものが数枚。

新しい柄にいくつかいれかえて

古いものにハサミを入れた。

ダスターに生まれ変わったのです。

こうしてまじまじと柔らかくなれた

麻のキレに向き合うと

新しいパリッとした魅力とは別の

愛うしさを発見します。

半分はぽとりで

残りの半分は自宅で。

料理に向かう時間をくたっと見守る

そのキレ達は

場を整え

洗っては広げて乾かすを繰り返して

また育ちながら

料理をする手と心を

育ててくれる

美しい存在のひとつ。

この秋は

いい道具との出会いが多く

暮らしに趣をくれる。

作り手の気配がするいい道具と

暮らす積み重ねは

今という時をありのままに

受け入れる穏やかな幸せに

気づかせてくれる

生きた協力者に思えます。



平日ランチがお手軽に!

2010年10月11日 | ぽとり日記
連休最終日、今日も白州は秋晴れです。

ガラス越しに見えるクラフト市の風景が

いい感じ。

ぽとりにもぜひお立ち寄りください。


さて、

明日から平日ランチを一新し

お気軽にご利用いただけるようになります。

単品でご注文いただけますので

日常の食堂使いに

温泉ついでにささっと

てな感じでも。

いろいろ食べたいのー


という方は

小さなタパスメニューから

お選びいただきお好きな組み合わせで。

いろいろ少しずつ

みんなで分け合うもいいですね。

メニューの一例後ほどおしらせしますね。




3連休です

2010年10月09日 | ぽとり日記
おはようございます。

今日から3連休ですが、天気は悪そう。

でもべるがでは

北杜市で制作活動をする作家さんたちの

「おらんうーたん」

クラフトフェアが3日間開かれます。

じっくり作品にふれて

作家さんたちの話をきいて

ぽとりでゆっくりの

休日をお過ごしください。


きのこ!

2010年10月04日 | イル日記
おつかれさまー、とそれぞれ車に乗りこみ

走り出したのにスタッフのひとりが

すぐにべるが内で停車。

山栗を拾うのかと思ったら

きのこ!

シャクナゲの下におとぎ話に出てくるような

きのこがポコポコと顔をだしている。

夜にみると

なんだかちょっと艶かしくて

あっちは?こっちは?と

どんどん森の奥へひきこまれそう。

ちょうどさっきまで

あたらしいランチメニューのことで

盛り上がっていて

しかもきのこの話だったので

やっぱきのこだねーという感じ。


昨日の朝、自宅付近の山を友人と散歩していて

やっぱりきのこの怪しくかわいさに

魅せられたところ。

私はキノコの種類なんて全然わからないから

ただその造形と

最盛期を迎えた生命の

あたたかさを楽しむだけ。

それでも

自分もまたこの土地でこの季節に

暮らしていることに安らかさを憶える

ひとときです。


さあ、誘惑のきのこ、

新メニューに盛り込み試作中です。

来週から登場予定。