l'isle et potori

イルと灯鳥 ごはんとものとのまわり

満月

2014年07月12日 | オフごはん
夜に帰宅しても家の中が蒸し暑い。

満月は山に隠れて見えないけど、

外で涼みながらビールと辛い晩ごはん。

茂みの向こうでは

動物が活動していると思われる音。

なんの動物がわからないのを

ただ聞いているというのがいい。



やがて月が姿を見せた。

樹のシルエットを通して向き合う月は

どんどん山際を離れて

右斜めに登って行く。


やがて

ざわざわした思考が静まっていくのと

反比例して

小川の流れの音が

はっきりと浮かび上がってきた。

土に近い、草の根元の匂い。

足首を包む夜気の温度。


一滴の碧を溶かした墨で描かれた世界は

夢の中に似て、

色とりどりの日常とは繋がらない

別の世界。

その絵の中に

丸くぼんやり描き込まれる

二つの柔らかな黄味。

空にひとつ、

私の内側にひとつ。








l'isle

有機的なプラシーボ

2014年06月24日 | オフごはん




SanPatrignano Aulente 2012

品種は大好きなサンジョヴェーゼ。

裏ラベルには以下のように記されている。

「イタリア•リミニの丘にある、更生施設サン•パトリニャーノ。
元薬物中毒の若者らが「尊敬」と「希望」を取り戻すために、
家族のように絆を深めながら、丹誠込めてぶどうを育てています。
彼らの誇りとも呼べる高品質なワインをぜひご賞味ください。」

いい物を伝えたり、使用したりする際に、

作り手のことを伝えるやり方と、伝えないやり方がある。

数年前に見つけた県外のビストロでは、

地元産のすばらしい食材をたくさん使っているのに

生産者を明記していなかった。

オーナーさんと少し話しをする流れになり、

そのことについて率直に質問してみた。

答えは、ストーリーに惑わされずにそのものを味わって欲しいから。

なるほど、と思った。

このエピソードは記憶に残り、

時々思い出される、私にとっての解決しない問いのひとつだ。


器などを販売するギャラリーのような店でも

作家さんの名前を知らせずに

おそらく同じように、作品そのものを感じて欲しいという想いでそうしているのだろう

という方法を見かけたことがある。


私の考えはというと

何せ解決しない問いなので、

あくまで現時点で感じて選択していることなのだけど、

素材がどうやって生まれるか、

どこでどんな風にどんな人に作られたのか、

それを使っている他の人はどんなことを感じたのか、、、

そんなストーリーを

中間地点に立つ人が伝えるというのは

とても有機的で、

それによってその物をより楽しめて、

使う人がそのものに更によいエネルギーと愛情を注いだら

それは実際もっと力を増すのではないかと思う。


この薬はこういう効果があります。と聞かされて

実際はそうではないのに、効果を発揮する、という現象や疑似薬のことを

プラシーボとかプラセボとか呼ぶそうだが

それは人の心持ち方がいかに物理的なことより力を持っているか、

ということではないだろうか。


ストーリーを得ることによって、

使う人、味わう人の心が、

作る人の期待を遥かに超えて行き、

知らず知らずに多くの人や物や自然にエネルギーを戻して行く。

文明は自然を破壊する一方で、言葉や祈りという人間が持っているツールを使って

自然と調和して行くのも一つの在り方なのかもしれません。



販促用のPOPにはこのような言葉も書かれていた。

「人生はやり直せる」。


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一瞬たりとも

2014年04月30日 | オフごはん



時間は止まらず進んでいるのである。

という事実を否応無しに認めざるを得ない春という季節。

家の前の山桜は半分緑になった。

山桜は、花から葉に移ろう過程も美しい。

「禿げた」感じがないし、どちらの色も柔らかい。


雨の一日の落ち着いた感じを引きずっているのか

今夜のオフご飯は ザ•粗食。

ルクルーゼで白飯炊いて、納豆少し、

蓮根と白胡麻のきんぴら、

菊芋と新タマネギのみそ汁(こぶとどんこといりこ)、

野せりのゆでたの酢醤油で。

これがうまくてハッとする。

井上古式醤油、心の酢、少しの麻の実オイル。

素材がいいとやっぱりすごいと実感。

副菜ではなくメインな感じでもりもりいただいた。


農家さんたちの畑では今頃 毎日野菜が目に見えて成長しているのだろう。

毎年同じでも、今年初、が、いつも嬉しい。


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てんとう虫の冒険

2014年04月16日 | オフごはん
東京出張。

昼ごはんは車中で自分製弁当。

クロスの結び目をほどいたら、

あら、また、てんとう虫。

ウチから連れて来ちゃった。

電車の振動にビビっているのか

動きがいつもより早い。


知らんところに連れて来てしまって

申し訳ないが、

大事に連れて廻るわけにもいかないし。

中央線を行ったり来たりする電車から

ヤツはどこで降りるのだろう。


l'isle

てんとう虫も

2014年03月28日 | オフごはん



まだまだやらねばの仕事が残っているけど今夜は電池切れ。

久しぶりにどうでもいいブログを書こう。


今朝は霧で暗かったというのに自然に早く目が覚めた。

仕入れで小諸に行く車中食べるためにおむすびを握った。

玄米ご飯にオルゾペルラート(イタリアの大麦)を混ぜて炊き、

頂き物のトリュフ塩で握ってみた。

握ってラップの上に置いたら、てんとう虫がめり込んでいる。

うちではこの季節、西側の窓にてんとう虫が大発生するのだ。

あらー、と思って観察していると、うにうに動き出して脱出。

お味はいかがでしたでしょうか。



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立春

2014年02月04日 | オフごはん
今日は立春。

なのに、昨日までの春のような暖かさから逆戻り。

白州では一瞬だけ雪が降った。

休暇明け初仕事は

新らーめんのレシピ最終調整。

休暇前に煮詰まって保留にしていたのが

やはり正解。

どの味、どの香りを生かしたいのか

スッキリ明確に浮かび上がって

よりシンプルにしたらピントがあった。


節分から一日遅れて豆まきしようかと

青大豆を煎ったけど

拾えないともったいなくて

それぞれ歳の数だけ食べることにした。

黙々とそれぞれ数えて

今日のメンバーでは私が一番時間がかかる。

節分の昨日に合わせれば40粒、

今日なら41。

誕生日なので少し迷って

結局食べたいだけポリポリと

止まらず食べ続け

いったい何歳分食べたのやら。

昨夜から煎り具合いを何度も味見しているから

期待している以上に

相当健やかな一年になるに違いない。


立春という実にいい日に産んでくれた

母からのおめでとうメールにニヤリ。

絵文字バリバリ入った

ハッピーバースデーの歌の歌詞が

歌っているように書かれていた。

一瞬怯みつつ、仕事の集中から開放された。

イチゴが乗ったバースデーケーキに

ムズムズ嬉しさを隠していた

少女時代の誕生日。

お兄ちゃんとセットじゃない

自分だけのスペシャルなケーキとプレゼント。

分け合うのが素直に嬉しくなった今は

うん、大人になったもんだね。



l'isle

midsummer

2013年08月09日 | オフごはん
気がつけば

最近のよるご飯は

ほんのつまむ程度。

お昼ご飯を食べるのが遅めの午後で

おなかが好かないから自然にそうなる。


今夜ははじめにきゅうり。

拍子切りみたいにしてもろきゅう。

超熟成の甘味噌に(懐かしの通ったあの農場の)

40年ものの地産ワインビネガーで酢味噌。

次の皿は半熟ゆで卵。

やっぱりビネガー。

粗塩とハイビスカスワインビネガーを。


午前に郵便局の用事の為に台ヶ原宿へ行った。

お給料の振込。

では、と

斜め向かいの金精軒さんへチラシをおかせていただき

生麩まんじゅうを今日のスタッフ分6個買って、

そしてまたその斜め向かいの七賢さんで

自分へのお給料と

蔵限定の純米酒だな、の思いつきで

渡り今夜の冷酒購入。

で、そのつまみがキュウリと卵になった。

今日は蒸し暑い。

この山でも。

ランチのお客様が予想を遥かに下回ったのは

明日から長い夏休みをとる大人が多いらしく

出かける準備と留守にする家の片付けに時間をとっていると

想像して

明日からババんと来るだろうと都合のよい予想。

私はずっと休みなしになりそうだったのが

今日から入ったスタッフ(救世主!)と

家の都合で休みだったスタッフがでれることになったおかげで

急遽、日中は休みをとれることになって

かなりのごきげんさんなわたし。

資源物捨てて、美容院に行って

あの写真展にも行けるかなーと

無邪気な気分。


スタッフのMちゃんが持ってきてくれたスイカと

べるがの森をやたらと歩く用が重なって

今日はすっかり子供モード。


こんながいい。

いつもこんな自分でいようか。






l'isle