夜に帰宅しても家の中が蒸し暑い。
満月は山に隠れて見えないけど、
外で涼みながらビールと辛い晩ごはん。
茂みの向こうでは
動物が活動していると思われる音。
なんの動物がわからないのを
ただ聞いているというのがいい。
やがて月が姿を見せた。
樹のシルエットを通して向き合う月は
どんどん山際を離れて
右斜めに登って行く。
やがて
ざわざわした思考が静まっていくのと
反比例して
小川の流れの音が
はっきりと浮かび上がってきた。
土に近い、草の根元の匂い。
足首を包む夜気の温度。
一滴の碧を溶かした墨で描かれた世界は
夢の中に似て、
色とりどりの日常とは繋がらない
別の世界。
その絵の中に
丸くぼんやり描き込まれる
二つの柔らかな黄味。
空にひとつ、
私の内側にひとつ。
l'isle
満月は山に隠れて見えないけど、
外で涼みながらビールと辛い晩ごはん。
茂みの向こうでは
動物が活動していると思われる音。
なんの動物がわからないのを
ただ聞いているというのがいい。
やがて月が姿を見せた。
樹のシルエットを通して向き合う月は
どんどん山際を離れて
右斜めに登って行く。
やがて
ざわざわした思考が静まっていくのと
反比例して
小川の流れの音が
はっきりと浮かび上がってきた。
土に近い、草の根元の匂い。
足首を包む夜気の温度。
一滴の碧を溶かした墨で描かれた世界は
夢の中に似て、
色とりどりの日常とは繋がらない
別の世界。
その絵の中に
丸くぼんやり描き込まれる
二つの柔らかな黄味。
空にひとつ、
私の内側にひとつ。
l'isle