花と文。(暮らしと本と花と)

日々の心に残る記しておきたいこと。

無花果とハナミズキ。

2008年09月21日 | 旅するように
 美しい日本語が好きだといい、古き良き日本語を歌の歌詞に登場させる
 一青 窈さん。

 「あこるでぃおん」という大好きな歌があります。

 「よく熟れている 無花果(イチジク)を

  両手で割ったような・・・・」。

 とても有名で、私達の心の隅々まで沁み渡った
 「ハナミズキ」と言う歌。

 「空を押し上げて

  手を伸ばす君 五月のこと・・・」実はこちら神戸に越してきて
実際のものを知ったのです。

 イチジクは夏になるとスーパーや、フルーツショップに出回る。
「朝もぎ・・・」という札と一緒に。片手におさまるくらいの
深い赤色で手のひらにのせると少しずっしりとした重みも感じる。
不思議な食べ物に出くわしたような、食べ方も知らない私は
お店の人に聞いてみる。
聞かれた方が、不思議そうである。
北海道では干したものしか知らなかった。しかも整腸のために食べるとか
デザートという存在ではない。第一、市場に出ていないのだ。

 手でさっくりと割ってみる。そっと口を寄せて食べてみる。
甘い。外側が白くて、中央になるにしたがい、「落ちた朱色」。
歌の歌詞に出ているのとまったく同じだ。
すっぱさもなく、甘い。よく味わうと、こんな味なんだというのがわかってくる。
手で割って食べる。そんな風情が歌の歌詞にのっていくのに
ふさわしい感じがする。

 「ハナミズキ」は近所の整備された細いバス通りに植えられている。
細いつるっとしたこげ茶の幹は華奢であった。きっと大きくもなるであろう
その樹は、私の中での「ハナミズキ」の樹とぴったりと重なる。

 日本が贈ったソメイヨシノの桜の樹の返礼にと、アメリカから
贈られたという「ハナミズキ」。
花言葉は「私の想いを受けてください。」
どこまでもやさしい響きである。

歌の歌詞からは、犠牲的な渾身の愛を感じる。
実際のその花の佇まいも、
ひっそりと、清らかな、誇りをもっているような気高さも感じる。


 美しい日本の「ことば」には、人の心をとらえる力があるようです。
その小さなひとつの「名前」から、そこから生まれる表現の
あちらこちらからほころび落ちる伝わること。
知らなかった「そのもの」のイメージがそのままで
あったというすごいさ。
 
「ハナミズキ」と「無花果」。
一青 窈さん・・・何を感じ、何を見つめたのか。彼女の歌う詞の美しさ
素敵すぎます。






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4 Comments

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Unknown (mura)
2008-09-21 21:56:00
私も一青さん好き。
「ハナミズキ」はこれからもずっと残っていく名曲だよね。
前にNHKで観たんだけど、この曲9.11のテロがきっかけで
作ったんだって。
表現者って凄いね
返信する
そうだね。 (lily)
2008-09-22 06:40:26
すごいよね。
9.11のテロの時の・・・と思えば、聴けばまた
切なく胸に響くね。
あのどこまでも、澄んだ9月の秋の空の映像が
忘れられないです。


返信する
まとめてコメント・・・ (take)
2008-09-22 11:13:09
同じだ。
無花果が果物屋の並んでいると、
ついつい立ち止まってしまうよ。
私たちにとっては、めずらしい果物だよね
本州に住んでから、不思議な果物を度々見かけるよね。
その度に、「食べてみたいな~」「どうやて食べるのだろう?」と、
しばらく果物の前で停止している。変な人に見られているかも。
“アケビ”は食べてみた?

「ハナミズキ」・・・この歌を聴くと、
うちの夫婦は琴似の商店街を思い出してしまうのだ
(街頭放送でよく流れていたの)
美しい日本のことばの話なのに・・・、スミマセン

体育会があったんだね
ウルウル、私もよくスイッチ入ります。
小学生の頃、修学旅行の見送りで、母親がウルウルしてるのを見て、“なんで泣くんだ”って思ったけど、今なら気持ちがわかるようになった。
この前、下町の祭りで神輿かついでいるのを見て、また泣いちゃったよ
返信する
わかる~! (lily)
2008-09-22 15:22:55
実は私も、こちらの「だんじり」の神輿を見た時
同じような気持ちになったよ。
なんだか、あのいなせな感じが、琴線に響くというのかな。
「アケビ」は食べたことないです。
なんだか、結構保守的な自分がいて、いまだに食べたことのない魚に手がでなかったり・・・もう、終わっちゃったけど、「ウルルン・・・」で秘境には決していけない私です。

そういえば、「ハナミズキ」の歌詞にもうひとつ・・
「な~つは暑すぎて~♪」というのがありますが、
それも、ほんとにその通りだな・・と思いました。コメント、ありがとう。
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