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花と文。(暮らしと本と花と)

日々の心に残る記しておきたいこと。

大切にしているもの。1

2014年07月05日 | 



うつむく青年 詩集 谷川俊太郎  ㈱サンリオ

平野甲賀さんの装丁とのこと。
引き寄せられるように手に取った詩集。
いつ買ったのか、たぶん20代の後半くらいだったかも。

心に落とすように
じっと耳を澄ます
一つひとつ
その言葉の魔法にかかる
そして掴まれてしまう

軽めのものの中にも、しっとりとした部分があったりと
谷川さんの作る詩には
誰もが感じたことのある
普段は気づかないくらいの
経験したことのあるだろう小さな幾つもの感情がある


    ~憐愍~ 

   なんでもないごくあたりまえな事
   たとえば子供等の遊ぶのを見ていて
   胸いっぱいにあふれてくるものについて
   誰が正確に述べる事ができよう
   それは人の内にわいてくるのではなく
   ひとつの宇宙のように人を外から包むのだ
   秋の日に照らされる一枚の枯葉が

   すぐに朽ちて忘れられるものでありながら
   私たちの目と手と心に
   どうしようもなく触れてくる今日
   青空のように限りないものに抱かれて
   言葉なき嬰児である私たちに
   ただ無力な双手を生きとし生けるものへと
   差し伸べることだけが許されている

           (五つの感情 その五)
      

広いページの余白の中央に、優しい明朝体の文字が並ぶ。
無限の広がりともいえるだろう、私たちの中に眠る優しい何か。

もう20年以上も経っている詩だから
古典であるといえます。

きっとその紡ぎ出された当時に出会っても
そして今読んでいる自分も
匂いだけは同じものを感じとっていると思うんです。







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