キュピリちゃんのNEWS FLASH

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おはなしめぐり:「レネット 金色の林檎」~インタビュー

2012年05月23日 | 妖精村からのお知らせ
<レネット~金色の林檎>発刊に際して、名木田先生のインタビューが新聞に掲載されました。


おはなしめぐり:「レネット 金色の林檎」 名木田恵子さん
毎日新聞 2012年05月23日 東京朝刊


 ◇福島の子たち、励ましたい−−名木田恵子さん(62)
 26年前に起きた旧ソ連(現在のウクライナ)のチェルノブイリ原発事故をテーマした児童書「レネット 金色の林檎」が先月、講談社青い鳥文庫から発行された。作者の名木田恵子さん(62)は、東日本大震災や福島第1原発事故でふるさとに戻れない子どもたちに思いをはせる。

 物語では被ばくしたベラルーシの少年と、日本人少女の触れ合いを描きました。少年は保養のために訪れた北海道・余市の少女の家で、ひと夏を過ごします。少年を素直に受け入れなかった少女ですが、大人になり夏の日々を振り返ります。

 チェルノブイリ事故の翌年、当時3歳だった娘とイギリス・ロンドンへ旅行しました。行く前に知り合いから、「放射性物質の汚染はヨーロッパ全土に広がっている。牛乳もアイスクリームも安全とは言えず、子どもを連れて行くのは良くない」と忠告されました。被害の大きかったベラルーシの人たちは大変だろうと思いつつも、ロンドンでは食べ物に気を使った自分の行為が利己的で、後ろめたい気持ちにもなりました。

 その後も、ベラルーシの人たちはどうしているのだろうと気にしていたところ、今から15年ほど前にテレビのドキュメンタリー番組を見たんです。ベラルーシの子どもたちを日本に呼び寄せ、保養させる団体の活動を紹介していました。顔色が悪く弱々しいベラルーシの男の子と、日本人の元気な女の子が遊んでいる姿が映し出され、「チェルノブイリ事故をテーマに、初恋を書きたい」と強く思ったんです。

 1行も書いていないのに、私の中では少年が亡くなる物語ができていました。なかなか書けずにいましたが、6年前に北海道で保養活動をしている人に取材できました。その人が、「500人近い子が日本で保養したが、一人も亡くなっていない」と教えてくれ、物語の展開ががらりと変わりました。「少年は死なない」と決めたとたん、私もうれしくなりました。数年間温めていましたが、2週間足らずで書き上げました。書きながら、息ができないほど泣くこともありました。

 「善意の行為は、自分のためであってもいい」というのが、物語のもう一つのテーマです。物語の少女の兄は、少年と同い年で亡くなっています。両親は少年に息子を重ね、かわいがります。自分がいやされるためでも、人に尽くすことは素晴らしいと思います。

 06年の初版刊行時に、チェルノブイリ事故を「私たちにも起こりうること」とあとがきに書きました。日本でも原発事故が起きました。福島の子どもたちは、不条理なことにさらされています。子どもたちを我が身に置き換えて考え、励ませるのは、本の役割のように思います。