キュピリちゃんのNEWS FLASH

児童文学作家の名木田恵子さんに関するニュースを
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air~だれも知らない5日間

2011年06月11日 | 新刊情報










青い鳥文庫 Yシリーズ
air ~だれも知らない5日間
名木田恵子:著
toi8:絵
講談社
ISBN : 978-4-06-285221-0
税込価格: \714 (本体 : \680)



青い鳥文庫に新しいシリーズが誕生です♪
中学生向けの作品を集めたYシリーズ

名木田先生のちょっと懐かしい作品 airが装丁も新たに登場です。

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中学2年生の絵亜は、厳格な両親~自立した母、研究に没頭する父~のもと、常に両親の愛を感じられないまま、両親は自分には関心がないのだという疎外感を感じながら毎日を送っていた。
そんな絵亜の心のよりどころは、小学4年生のときから、『いつでも家出できるように・・・』と言う思いでそっと隠していた赤いリュックサック。
そんな孤独な日々の中、偶然出合ったのは小学生の頃の同級生、佐和子だった。佐和子は「プチ家出」の最中だという。

AOIレジデンス809号室___そこは、家出をした子のシェルターだった。

真夏のある日、絵亜もそのシェルターに身を寄せる。両親が出張で留守をする間の短い間・・・・。

それぞれに事情~スピード、援助交際、虐待~を抱えた少年、少女たちが身を寄せる場所・・・。そこでの不思議な生活を通じて、自分自身がこの世に存在しているという証しを見出していく、絵亜。心を通い合わす・・・少年、衆介。

私の体に流れているもの___それは、愛。



とても衝撃的なキーワードが並んでいるこの作品ですが、読んでいただけると分かると思いますが、名木田先生の手にかかると、どこかさわやかで、すがすがしい風が流れているんですよね。そして、真夏の陽炎のような・・・切なく淡い初恋の物語になってしまうから、不思議・・・。
物語の中で印象的だったのは、衆介の言葉・・・『つらいことって、それぞれみんなちがうからな・・・』。二人がはじめて心を通い合わせる場面で、衆介がそっとつぶやくんですけど・・・。絵亜の生まれ育った境遇は、一見すると、衆介や佐和子たちに比べると、恵まれているように見えます。だけど、絵亜は・・・毎日、『自分には愛が流れていない!』と孤独を感じていたんですよね。

物語の中で流れている、優しく切ないアリア<私を泣かせてください>は、絵亜の心だけでなく、私たちの心にも響き渡りました。

【妖精村ライブラリ:とっておきの1冊~より転載】