国家戦略室 (アンダーグラウンド)

日本本来の政治、統治、歴史についての研究

米の本音が見え隠れするアーミテージレポート

2012年08月24日 | TPP関連

http://www.kyodo-center.jp/ugoki/kiji/070216armitage.htm


「世界規模の不確実性と移行の時代において、米国の揺るぎない利益のために求められるのは、これからの挑戦と現れつつある世界秩序をベストの形に仕上げる潜在的なチャンスを把握するための地平の先を見る明敏な認識だ。アジアは、世界人口の半分、世界経済の3分の1の力を擁し、国際システムにおいて経済、金融、技術、政治的な重要さを増しており、米国の利益をもっとも増進する安定し繁栄した世界秩序のカギを握っている。」

【意訳】

アメリカの利益のために儲かっているアジアから搾取する。アジアはアメリカの狩場だ。


「この点で、アジアを正しく方向付けるとは、米国の価値をこの地域で押し付けることを意味しない。そうではなくむしろ、地域の指導者たちが自らの国の成功を米国の政治的、経済的目標と一致するように定義するような環境を整えることである。それは、市場原理、自由で開かれた貿易、知的所有権の保護、労働基本権、環境を基礎とした経済的繁栄である。それは、いまこの地域が享受している経済的成功を強める自由な諸制度をともなう、より大きな政治的自由である。」

【意訳】

無理やりアメリカの要求を押し付けるのではなく、自動的にアメリカのメリットが得られるようなシステムをこの地域で作ってしまうことである。

 

「米日同盟に背を向けたり、日本に対するわれわれの期待を低めたりすることは、地域の安定と地域における日本の役割に否定的な影響を与えるだろう。2020年の国際システムを支える日本の代わりに、日本は、せいぜい「中程度の力」に安住する国になるかもしれないし、御しがたく、厄介で、最悪の場合には国家主義的な国になるかもしれない。

【意訳】

 米日同盟をやめれば日本は欧米にとってにとってやっかいな国になる。「御しがたく」と言ったのは日本は常にアメリカがたずなを握った馬車馬であるべきだからだ。国家主義に傾けば日本はアメリカのコントロールできない国になるかもしれない。 

 十分先の将来においても、米国と日本は、アジアにおける経済繁栄と安定のカギを握っている。われわれ2カ国は、アジアが主要な牽引となっている国際経済システムに対して指導力と賢明な管理者役を行使するという第一義的な責任を持っている。同様に、われわれは、それぞれの経済的、構造的、戦略的な課題を首尾よく克服するようお互いを援助する方法を考える必要がある。国際貿易交渉のドーハ・ラウンドが混乱しているなかで、われわれにとっては、単に経済だけでなく国家戦略にもしっかりと目を向けながら、経済パートナーシップの緊密さと深さを広げる方法を考えることがますます重要である。米国と日本は、2国間の自由貿易合意に向けた交渉を立ち上げることで、自由貿易と経済統合の力の促進と確保に向けてすばやく行動することを必要としている。これは、アジアで出現しているFTAのネットワークの拠点になるだろうし、世界経済全体にエネルギーを提供するだろう。

 自由貿易の交渉のための基盤がまだ存在していないと主張する人もいるかもしれない。実際、日本の規制制度を政府が約束しているグローバル・スタンダードに一致するようにし、その代わりに外国人と日本人企業家にとっての市場アクセスを高めるようにするには、多くの予備作業がまだなされなければならない。製薬、電話通信、医療サービス、農業、情報技術、エネルギーといった部門においては、効率性を高め、アクセスを広げるために削減することができるたくさんの具体的な障壁がある。金融サービスといった顕著な進展がみられる分野でさえも問題はまだ残っている。とりわけ、日本郵政システムの民営化が進むなかで、そのシステムを通じて商品を売買し、最終的には資産を購入するための外国人のアクセスに関しては、問題が残っている。

 同時に、自由貿易の良い兆候を示す強力な内部圧力も働いている。たとえば、日本の農業部門における人口統計の変動だけでも、保護主義的政策の根本的な変化を強いている。日本の農業部門は低下しており、そのGDPへの貢献は1990年の2.4%から2004年の1.2%以下へと半減している(GDPへの農業の貢献は、工業の20分の1に過ぎない)。農民の圧倒的多数は、パートタイムであり、「農業世帯」が農業から得ている収入は彼らの収入全体の4分の1にすぎない。さらに、農業人口は急激に減っており、今日の290万人から2015年には210万人という低さにまで減るという見通しである。65歳を超える農民の割合は、15から64歳の間の農民のおよそ倍である。数の上で増えつつある農民人口の唯一の部分は、70歳を超える部分である。信じられないことだが、2015年の日本における農業労働者の平均年齢は65歳を越え、老齢者はとりわけ過酷なコメ栽培部門に集中しているだろう。要するに、日本は農業において人口統計的な危機に直面しているのである。

 人口統計に駆り立てられて、日本は農業をよりいっそう自由化するための非常に強力な理由を持っているが、実行可能な代替案はほとんど持っていない。コメを含むすべての部門を交渉対象として、農業は米国と日本のFTAの中心になれるし、なるべきである。しかし、そうしたFTAは、日本の農民の感情と「コメ文化」を慎重に考慮する必要がある。自由化の課題のすっきりした解決策は、農民の引退と農業人口の減少を円滑かつ効果的に結合しながら、今後10年にわたって、関税引き下げを段階的にすすめることにあるだろう。同時に、日本国民は、自由化が日本における農業の抹消を意味するものではないことを認識する必要がある。リンゴ、牛肉、オレンジのようなすでに自由化が行われた部分に見られるように、野菜や果物、コメの農家は間違いなく、有機栽培のような高品質の得意分野に転換するだろうし、規模の経済を通じて効率性を高めることだろう。自由化は、農業においてさえも、日本にとってはウィン・ウィンの提案になりうる。

【意訳】

日本の従来型の農業を速やかに終わらせ、有機栽培などの一部の分野だけに限定させ、あとは米国から輸出したものでまかなえるようにする。

どうせ農業は高齢化がすすんでいるのだろう、だまっていても2020年までには衰退する。高齢者には農業は過酷なんだからあとはアメリカに甘い汁を吸わせろ。

 

 こうした理由から、米国と日本は、包括的な自由貿易合意についての交渉をできるだけ早く始める意図を宣言すべきである。貿易促進権限法が近々期限切れを迎えることで、FTA合意は2008年の選挙の前にはありそうもないが、米国と日本の指導者らは、それにもかかわらず、この目標を視野に入れておくべきである。この合意は、関税と税関手続きを調整するだけではなく、太平洋の両側において生産性を著しく向上させるという目標を持って、規制と投資環境の一致を目指していっそう深い内容に到達するだろう。ドーハの義務と両立するFTAは、日本の市場における外国人と新規参入者のための機会を顕著に促進しながら、条件を公平化し、全体的に透明性を高めるだろう。また、正しく行われるFTAは、間違いなく日本での米国の投資へより広く門戸を開放するだろうし、そのかわり、高齢化する社会に直面しているなかでさえも構造調整の課題を日本が達成することを支援するだろう。今後20年以上にわたり、米日FTAは、日本の対内直接投資のレベルをGDPの2.1%からGDPの14%という米国のレベルへと引き揚げることを目指すべきである(そうなったとしても、GDPの20%というG7平均を下回っている)。

 最後に、そして決定的な点として、WTOと両立する2国間自由貿易合意は、この地域の市場経済のネットワークの拠点として役に立つことができる。特に、米日FTAは、米国がシンガポール、オーストラリア、韓国、マレーシア、タイと結んでいるかあるいは交渉しているFTA網の一部分となりうるだろう。これは、中国がWTOの義務を果たすための力強い誘因になるだろうし、重要なことに、この質の高いFTA網の部分ともなるだろう。
 要するに、包括的な米日自由貿易合意の直接的な経済利益は相当なものになるだろうということである。しかしながら、アジア太平洋州の共同体のすべての構成員にとっての政治的、戦略的な利益は、さらに大きなものになるだろう。米国と日本にとって、経済同盟の合意に署名すること――それは米日安全保障条約を基礎付けているものとまったく同様に強力な共通の核心的原則に基づいている――は、この地域と世界に著しく強力なシグナルを送るだろう。それは、経済的かつ政治的に、われわれ2カ国が国民の未来と世界の安定、繁栄のために同じ夢と願いを共有しているということを示すだろう。

 


 

アーミテージは以下のことを無視している。

日本の食料自給率が4割を割り込んだまま回復のめどが立たない。 

食料自給率の低下で懸念されるのは、国際紛争など万一の際に海外から供給が途絶えることだけではない。多くの食品の原材料である穀物価格が高騰すると、幅広い食品に値上げの影響が広がりやすくなることだ。

2012/8/22 <輸入小麦>価格3%引き上げ 米干ばつで相場高騰。

うどん、菓子用の米国産など2銘柄が8%引き上げられる。

 日本は小麦、大麦など麦の需要の約9割を輸入に頼っている。

 穀物価格が今後も高値で推移すれば、小麦の輸入価格がさらに引き上げられる可能性がある。

TPPに入る→食料の依存率が高くなる(自給率がさらに低下)→米に干ばつなどが起きる→輸入価格が上がる。→食料品が高くなり、嗜好品などの買い控えが起きる。企業利益も減る。→経済の低迷

 


米ジョージ・ワシントン大シグール・センターの顔

2012年08月05日 | TPP関連


【ワシントン時事】

オバマ米政権が、鳩山由紀夫首相の提唱する「東アジア共同体」構想への懸念を強めている。岡田克也外相は7日、米国を正式な加盟国としない考えを表明。米国排除の動きに、米政府が反発を強めるのは必至で、11月の日米首脳会談を控え、知日派の間からは、「日米関係の新たな火種になる恐れがある」との指摘も出始めている。

 米政府は、鳩山首相がアジア重視の姿勢を明確にし、中国との関係強化に乗り出していることに神経質になっている。東アジア共同体構想についても、「アジアにおける米国の影響力を弱体化させる恐れがある」(米政府筋)と疑心暗鬼になっている。

 ブッシュ前政権で国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長を務めたマイケル・グリーン氏は、鳩山首相がニューヨークで行った中国の胡錦濤国家主席との首脳会談で、東アジア共同体構想を提案したことに「ホワイトハウスは驚いた」と指摘する。首相がオバマ大統領との会談で、同構想を全く説明せず、中国に提案したことに米政府は不信感を強めたという。

 鳩山首相は就任会見で、東アジア共同体構想に関し、「米国を排除するつもりはない」と言明。日米間で、同構想を協議していくと考えていた矢先に、岡田外相が米国を加盟国としないと言明したことで、米国は冷や水を浴びせられた形だ。

 米ジョージ・ワシントン大シグール・センターのマイク・モチヅキ所長は、「アジア諸国は、近隣諸国だけでなく米国と協調していくことを望んでいる」と述べ、同構想に米国を関与させるべきだと主張している。(2009/10/08-14:48)


小沢一郎の「日本改造計画」の自由貿易礼賛思想とTPP宗像直子の論文

2012年08月02日 | TPP関連

 

http://elmerboris.exblog.jp/10343550/より

小沢氏が書いたとされる「日本改造計画Bluprint for New Japan」には自由貿易が礼賛されている。現在のTPP反対の小沢氏からは考えられないが民主党に移ったころから考え方が変わっていったようだ。

推測になるがもともと小沢氏は貿易、世界経済に関しては得意ではなかった。ルイーザの教育により自由貿易を吹き込まれたが、市場経済の行き過ぎに疑問を持ち始め自民党を離党すると同時に、CIAも小沢氏に期待しなくなり、ルイーザはアメリカに帰ったのではないだろうか。

この本の自由貿易の部分は宗像直子の論文との共通点があまりにも多く、どこかに接点があるのではないかとみた。

それがこの英語文の翻訳者とされるルイーザ・ルービンファイン(もとルービンシュタイン、ルービンフィーンと読むか)

彼女は小沢氏の政策秘書をつとめたCIA上級分析官といわれている。一説に彼女が書いた英語版が元本ではないかともいわれている)。

この本は日本での評価とは裏腹に推薦文にそうそうたる顔ぶれがみられる。彼女の家族を知るとなお理解できる。ルイーザの夫は、ロスチャイルドの石油開発・掘削事業部門の取締役でもある。

現在の小沢氏の言行からみればはこの本の内容は修正せざるを得ないだろう。

すでにのべたように宗像直子の経歴とルイーザ・ルービンファインの経歴に共通点がある。

ともにジョージワシントン大学シグールアジア研究センターとかかわりがあった。

ルイーザ・ルービンフィーンは現在もここの研究員とのこと

また宗像直子は2002年7月 ジョージワシントン大学シグールアジア研究センター客員スカラーとしてかかわっている。

宗像はこのほか2001年 ブルッキングス研究所北東アジア政策研究センター客員フェローにもなっているが、

このブルッキングス研究所の幹部はそうそうたるメンバーでアメリカ最大のシンクタンクで軍事と経済を研究する。アメリカの政府活動研究所である。宗像直子の論文の視点がいつのまにかアメリカ人研究者、財閥富裕層よりに有利な研究の視点になってしまっている理由がここで納得される。

 http://satehate.exblog.jp/10096394/

彼女はこの二つの大学で薫陶をうけ、アメリカ人の視点を刷り込まれ、国内事情や日本国家の内部と近隣諸国の関係について深く研究することなく、保護主義を単なる遅れ、劣ったレベルのものとし、貿易、市場開放があるほうがレベルが高く、地域的な連携や国内保護は抵抗勢力と信じてしまっている。

しかしながら急進的な開放はNAFTA、日韓FTAの結果が示すように、国家の威信に関わるような事態が起きている。

このような事態が起きた場合、宗像直子というたかが1官僚に国家的な責任がとれるはずがない。

かつてイギリスはインドの間接統治を、インド人の留学生を教育して母国に帰すことでそれを行った。もしくは王様と私のように、家庭教師を送り込み、権威者を教育した。

アメリカは小沢一郎を都合よく育てようとして失敗し、次のターゲットとして経済産業省の官僚をターゲットにしたのではないだろうか。これに気づいた官僚内保護派は反TPPである中野氏を呼び戻さしたのではないだろうか。そうでもなければただのバカどもの集まりである。

クリントンが、あらためて小沢一郎にすりよっても彼ももはやTPPの参加をするほど愚かではないだろう。


TPPの黒幕 宗像直子の論文 精査

2012年08月02日 | TPP関連

宗像直子の論文 2002年11月29日発行 『時事トップ・コンフィデンシャル』に掲載された

http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/munakata/02.html

 

「米国は、日本の経済パワーを懸念した80年代末から90年代初頭には、EAEC構想に猛反発し、APECの枠組を強化してアジアの貿易自由化推進の道具として活用しようとした。その半面、米国は、94年に北米自由貿易協定(NAFTA)を発効させ、米州自由貿易協定構想を打ち出し、APECメンバーに米州とそれ以外の非対称性を意識させた。」

マレーシアのマハティールが日本をリーダーにEAECを作ろうと声をあげたところ、アメリカが猛反対して、アメリカつきのAPECでやろうとしながらう、自分のところは米、カナダ、メキシコとNAFTAを作って好き放題をし始めた。アジアには口を出しておきながら、自分のテリトリー近くは好き放題をやる。これを

「APECメンバーに米州とそれ以外の非対称性を意識させた。」と言い換えている。

ところがこういうあいまいな表現の裏にははっきりいえない実態がある。

NAFTAがメキシコとカナダに与えた影響を考えればアメリカのやり方がみえてくるというものである。宗像はこの部分について言及していない。知らないでは済まされない部分である。

悲惨な事実が見えてきている。

http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-f933.html

http://blog.goo.ne.jp/youteifan6/e/093b15d82e662e79ffd9b035c0b8b4e1

 さらに宗像の視点は日本の官僚とは思えない、米国の対日分析官が書いたらこうなるだろうというような文章になってゆく。

「確かに日本は、長引く国内経済停滞に加え、保護主義的勢力の抵抗によって大胆な貿易自由化に動けずにいる。しかし、よく見ると、日本は、一歩一歩着実にFTA交渉を進めている。まず、農産品の輸出が殆どないシンガポールから始め、次に、農産品が対日輸出の2割を占める一方、NAFTAやEUとのFTAにより日本の輸出が受ける関税差別が大きく、FTAの利益が明確なメキシコと交渉を開始し、その次には経済発展段階が高く地政学的利益の明確な韓国との交渉開始を目指す、というように、相手国を慎重に選んで、成功の確率を高める工夫をしている。」

 「保護主義的勢力の抵抗によって大胆な貿易自由化に動けずにいる。」とは何たる言い草か。彼女は貿易自由化の側に立って、保護主義の分析をせずに貿易自由化の反対を抵抗としかとらえていない。

「確かに、日本経済が強くなければ、対外交渉力も保護主義を克服する力も弱まる。」

「保護主義」は克服すべきものではない。それはTPPのような無差別の戦いにおいて、自国のシステムが崩壊するのを防ぐためのバリアである。

結論としてはこの宗像直子という官僚は国内経済の保護の必要性、重要性がまったくわかっておらず、貿易自由化、FTAやTPPの破壊的作用についての理解がまったくない。

ただ貿易自由化が一部の産業にだけメリットがあることに注目しそれをもって日本経済の活性化を論じている。

 


EAECに触発された宗像直子しかし  マハティール「私が首相だったらTPPに絶対参加しない」

2012年08月01日 | TPP関連

宗像直子はもともとEAECに触発された。 しかしながらブルッキング研究所でどうしたことか洗脳?され「Transforming East Asia: The Evolution of Regional Economic Integration」という著作を出してもらっている。

『この研究の動機は、90年代初めにマレーシアが提案したEAEC構想に対する米国の強い反発と、これに直面した日本の動揺を目の当たりにしたときに形成されました。「日本は米国に安全保障を依存しており、その米国が反対している以上、EAECに賛同することはできない」という議論が、当時は反論を許されない命題でしたが、これに対して私は素朴な疑問を抱きました。つまり、

・かつて欧州統合を応援した米国は、いかなるアジアの統合にも反対し続けるのか。

・なぜ日本は一切米国を説得しようとしないのか。

・日本は、果たして米国からもアジア諸国からも信頼されるようになれるのか。

ということです。』

 

反論

・米国は第二次世界大戦前後のようにアジアが再び力をもつことを嫌がっている。アメリカ抜きのアジア、VS欧米になることを恐れてもいる。思想のバックボーンにこれがあることは否定できない。「アメリカには太平洋は西と東、つまり、欧米とアジアを隔てるものだとの認識が依然として根強い。あなたの考えは、この分離主義を刺激し、太平洋に線を引くものだ。それは、日本とアメリカの分断につながる」。ベーカーは、91年11月11日にも、「どんな形であれ、太平洋に線を引くことは、絶対に認められない。EAEC構想は太平洋を二分し、日米両国を分断するものだ」(ベーカ-国務長官91年11月11日)

・アメリカにこれだけ明確に反対されつつ、説得することが安保下の日本で出来るとは思えない。日本がアメリカの意図に反する独自外交を行えば日米安保そのものが危うくなる。日本国内の外務省内部で意見が割れていた。説得以前に日本国内部で意見がまとまっていなければいかんともしがたい。

 

最も明確なEAEC賛成論を発表していたのは、元外務官僚の故・古川栄一である。古川氏は、1953年外務省入省、在タイ大使館参事官を経て、国連アジア太平洋開発センター副所長を務めた人物で、1991年に日本国際戦略センターを設立していた。1991年に日本国際戦略センターを設立していた。また、福田政権時の外務省アジア局長で、三菱重工顧問の中江要介氏は、よりはっきりと日本政府を批判してこう述べていた。「マハティール首相構想の場合にもまた、日本は先に米国の顔色を窺っているのである。米国がノーといえば、一緒になって何かとあら探しをする。米国がアジアの経済圏構想に反対するのは、米国の覇権主義が邪魔されるからであろう。そのしり馬に乗って構想をつぶすのに加担したとすると、それは日本の政治的役割を放棄したことになる。アジアと反対の方向に向いている日本には、アジアでの政治的役割はない」 ・・・

・・・通産省(現経済産業省)内にもEAEC賛成派は存在していた。短期的にはともかく、長期的に対米貿易より対アジア貿易によって日本産業全体の利益が守られると判断すれば、むしろ政治的影響を度外視しても通産省はEAEC推進に傾くと予想するむきもある。通産省自身がアジア経済圏の可能性を検討してきているのだ。すでに1988年頃から、通産省においても、過度のアメリカ市場依存の産業政策を見直すべきだとのかんがえ方が台頭していた。1988年にはまた、通産省などが経済審議会(首相の諮問機関)の国際経済部会(田淵節也部会長)審議を通じて、東アジア経済圏構想をまとめていた。構想は、アメリカなどがメンバーに含まれず、EAEC同様の東アジア諸国だけの経済圏である(「霞が関が進める『東アジア経済圏』構想」『選択』1988年6月、80―81ページ)。

http://tsubouchitakahiko.com/?p=1862  よりの引用

 

 

・他国の信頼以前に、日本は自国の信頼を得ているのかということだ。他国の意向に配慮することは必要だが、それは日本独自の戦略があってのことだ。初めから確固たり方針なく他国に信頼をうるために他国の政策にのろうとするのは売国である。

  EAEC提案した当のマハティールは 「私が首相だったらTPPに絶対参加しない」と明言している。

当たり前である。

「経済連携の枠組は、参加国すべての利益になるものでなくてはならないとし、TPPはアメリカ主導の枠組みであって、政府調達や知的所有権などマレーシアの利益になることは期待できない」という見解を示しました。2012/5/23