東京史跡巡り・人物編
勝海舟別荘（洗足軒）跡地
勝海舟の別荘があった場所です。
勝海舟別荘（洗足軒）跡地勝海舟（一八二三～九九）の別荘は戦後まもなく焼失しましたが、茅葺の農家風の建物でした。鳥羽・伏見の戦い（一八六八）で幕府軍が敗れると、徳川慶喜より幕府側の代表として任じられた海舟は、官軍の参謀西郷隆盛（南洲）と会見するため、官軍の本陣が置かれた池上本門寺に赴きました。その会見により江戸城は平和的に開けわたされ、江戸の街は戦禍を免れたのです。海舟は江戸庶民の大恩人と言えるでしょう。その際、通り掛った洗足池の深谷の趣のある自然に感嘆し、池畔の茶屋で休息したことが縁となり、農学者津田仙（津田塾大学創始者、梅子の父）の仲立ちで土地を求めました。明治二十四年（一八九一）自ら洗足軒と名付けた別荘を建築し次のような歌を詠んでいます。池のもに 月影清き今宵しもうき世の塵の跡だにもなし晩年海舟は晴耕雨読の生活の中で、かえで、さくら、松、秋の草々などを移し植え次のようにも詠んでいます。うゑをかば よしや人こそ訪はずとも秋はにしきを織りいだすらむ明治三十二年（一八九九）７７歳で没しましたが、「富士を見ながら土に入りたい」との思いから、生前より別荘背後の丘に墓所を造りました。石塔の「海舟」の文字は徳川慶喜の筆と伝えられています。当初は海舟一人の墓所でしたが、後に妻たみも合祀され、大田区の史跡に指定されています。平成十一年三月海舟没後百年を記念して公益社団法人 洗足風致協会
所在地
東京都大田区南千束２丁目２－７
最後に
跡地は現在、大田区立 大森第六中学校となっていました。
実物を見て、彼がどのように過ごしたのか想像したかったのですが、焼失してしまったようです。
とても残念に思います。
